【フェア】東風凍りを解く

アート
2F 天平ギャラリー 2024年05月14日(火) - 06月02日(日)
Thaw the east wind Freeze

本展のテーマである 東風解凍 とは、 日本の季節を5日ごとに分け気候の動きや動植物の変化を表す季節の暦、七十二候の最初の季語です。日本では古来より暖かい東側から吹く風により川や湖の氷が解け出す頃、新年が始まるとされています。このテーマを通じて、アートの持つ新たな視点の提示や実験的に時制を探る特性を“東風”に見立て、 新たな息吹をもたらし、現代アートの魅力と 興味 深さを味わっていただ きたいと思います 。様々な画風、表現形式を駆使し、東風のように冷え切った感覚を解きほぐす、作品が会場を飾ります。この機会に、是非ご高覧ください。
 
 

作品紹介/作品販売につきまして

こちらの専用ページよりご確認くださいませ。
 
 

作家紹介 


▪河崎海斗                                
 

「緋色和金」
純銅、銀 10×10×10cm
 
自然界が生み出す動物、植物、そして鉱物の形や色には、究極の美しさが宿っています。その美しさに触発されながら、私は作品を制作しています。しかし、自然の美には決して敵わないということを認識しています。そこで、人間が生み出した技術を駆使して、究極の美しさを完成させることを目指しています。                            
 

2024年 東京藝術大学美術学部工芸科鋳金専攻 卒業
2024年 東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻鋳金 入学
2021年 大和ミュージアム クラウドファンディング返礼品デザインコンペ最優秀賞
2022年 東京藝術大学奨学金制度安宅賞
2023年 藝大アートプラザ大賞展 入選
2024月 藝大アートプラザ・アートアワード 審査員特別賞
2024年 平成芸術賞                          
     
 
 
 
      
▪平山悠羽 
 
                               

「花のイメージ」
キャンバスに油彩 91×72.7cm

私は生活の中で生まれるイメージを描きたいと考えています。生活とは人間が生まれてから死ぬまでにかけて意識的、無意識的に繰り返し行う行為によって生まれるものです。現在さまざまな生活の行為の一つである「窓を見る」ことをテーマに制作をしています。窓という固定されたの矩形の景色を繰り返し見る経験は似たようなイメージになっていき日常化する。しかし繰り返しの中での周りの変化や自身の変化によって、そのイメージに差異が生まれ非日常化する。
そのふたつが繰り返し行われ生活になっていく。人間が住居に定住する様になって繰り返し行われてきたその「窓を見る」という行為の些細な変化や変わらないものに気づき、その景色を絵画にする事で自身の感情、人の生きる意味、価値を実感したいと思い制作しています。                                
 
 

大阪出身
2018年京都造形芸術大学卒
主な展示歴
2017年
・Galerie Aubu 個展「まざる」
2019年
・歩歩琳堂画廊 個展「平山悠羽展」
2021年
・ギャラリーサイハテ 個展「小さくて大きい世界」
・歩歩琳堂画廊 個展「イメージの探究」
・awaiya books グループ展示「まなざしとフィソロフィー」
2022年
・日本橋三越本店 「 MITSUKOSHI ART WEEK」
・歩歩琳堂画廊 個展「平山悠羽展」
2023年
・「 study:大阪関西国際芸術祭アートフェア 2023」
・「 MITSUKOSHI ART WEEK」
・「神戸アートマルシェ」
・「アートフェア台北」
・グループ展「ゆれたら、みえた」
2024年
・個展 京都蔦屋書店「営みの景色は続く」
                                
 
 
 

                              
▪檜皮一彦

                             
「hiwadrome type△_1」       
          
大阪生まれ。身体性をテーマとした映像作品やパフォーマンス、自身も使用する車椅子を用いたインスタレーション作品「 HIWADROME」シリーズをファーストラインに、ワークショップなどを通してモビリティ及びアクセシビリティをリサーチするプロジェクト「 walkingpractice」、ペインティング作品を中心とした「 DRAWING EXPERIMENT」、衣服を用いてボディと社会の関係性を考察する「HIWADROModE by Kazuhiko Hiwa」などのラインを展開している。                                      
                                
最近の活動として「クリエイティブ・ウェルビーイング・トーキョー」(東京都美術館 / 東京 2023)、「 MEET YOUR ART FESTIVAL 2023」 (寺田倉庫 G1ビル / 東京 )、「アブソリュート・チェアーズ」 (埼玉県立近代美術館 / 埼玉 )などがある。                                
 
 

▪中本 雅    
 
                                                           
「温柔」            
岩絵具、水干絵具、胡粉、墨  36.4×51.5cm 

目に見えないもの、伝えにくいもの。漠然とした中に感じる何か。その瞬間を切り取り、自分の中で再構築して筆に託す。時間とともにぼやけていくような感覚を確かなものとして残したくて絵を描いているのだと思う。                                
                                
                                
2021年
・再興第106回院展初入選
2022年
・第26回越後湯沢全国童画展 入選
・第77回春の院展 初入選
・ギャラリーMOS 企画展「 IKIMONO展」出品
・ギャラリーちいさいおうち企画展「第9回京都5美術大学交流展」出品
・再興第107回院展 入選
2023年
・第78回春の院展 入選
・Gallery OPET グループ展出品
・第5回 気更来会出品
・GALLERY ART POINT「玉響Ⅱ Fleeting Moment」出品
・ギャラリーちいさいおうち「アートソムリエ 山本冬彦 選抜展」出品
・ギャラリーちいさいおうち企画展「第10回 京都5美術大学交流展」出品
・Gallery OPET ART EXHIBITION GRACEFUL なんばパークス 出品
・再興第108回院展 入選(日本美術院院友)
2024年
・京都芸術大学大学院修士課程卒業
・第79回春の院展 入選
・第11回郷さくら美術館 桜花賞展 出品
                                
 
 
 
                              
▪西垣 肇也樹                                
 
                               
「A day in Tokyo2」 
墨、金箔、顔料、膠、柿渋、インク、アクリル、和紙、パネル       
91×106cm
     
さまよい歩く器  ————
コスメティック(化粧品)はコスモ(宇宙)を語源とする。かつて人々は泥を肌に塗り、石をアクセサリーにし、未知なる宇宙(秩序)との対話を図ろうとしていた。しかし近代史にある産業革命は、人に自然を操作する術を与え人が秩序とするものだった。国芳は西洋画に興味を持ち、コレクションを他人に見せるほどのコレクターであったが、その研究から彼は、西洋人(人)が宇宙(秩序)を生み出していくとする思想を知ったはずだろう。そこで彼はアルチンボルトを参照にしながら、顔に裸の “ 人 ” を着せる=コスメティックと皮肉ったのである。アニミズムが存在する日本人から見れば、西洋人のその考えは先進的であり、暴力的であったはずだ。
 
初代ゴジラは唯一被爆国民の代弁者として登場、上映されるも、時代の変化とともにヒーロー化を遂げ、環境問題を取り上げ、自身の息子も登場し父親へと変貌していく。ゴジラはある時代設定の中に配置され、コンテクストと自我の無い怪獣となってさまよい歩いてきた。自我の無いゴジラは何かを代弁する器としての価値(日本人)を持たされたのであるが、中身は初代ゴジラの本質とはかけ離れたものであった。
 
この現象は現代の情報コミュニケーションにも類似する。メールや SNS を始めとするネット上で行うものは、作者から離れた位置にコミュニケーション環境が設定されることで、常に管理される。また、その環境下に於いて様々な定型文のコピー&ペーストによって、特別な自我を無くされ記録され操作されていく。すなわち私たちのコミュニケーションはその環境下において無意識化を促されることで、円滑なコミュニケーションを可能としている。かつて自然が秩序として存在していた時、自ら対話を図ろうと泥を塗る行為そのものがコミュニケーションの欲求だったが、もはやそれは形骸化しており、定型文のやり取りでしかない。このような本質を骨抜きされた定型文の流用は、あらゆるカルチャーにおいてもパターンの引用やマナーとして一般化し、たくさんの作品が作り出された。例えば、未来に破滅を待つ RPG では必ず過去に戻り歴史をやり直すし、定番のマルチエンディングは幾度もキャラクターを蘇生させ、時代を繰り返す。小中学生を永遠とループするキャラクターは決まって夏休みを背景にする映画であるし、エヴァンゲリオンはもう終わらない。アイドルの画像は SNS で加工され歳をとることを許されず、マイナーチェンジされたアイドルの転生において時を巻き戻す。
 
コンテクストと自我の無いゴジラと同様、どうも高度経済成長の終焉とともに日本人の自我の喪失はさらに進んだ。また、同時にわたしたちの潜在意識には昔の思い出が繰り返し流れ始めたようで、あのときをもう一度と言わんばかりに、同じ時に居座りさまよい歩く日常を消費し続けている。そしてその感覚は、日本の特性や文化として広く認識されていると思う。
日本人は自我を無くし無意識下で記録され操作され、骨抜きされたフィクション上で生活することに何ら抵抗が無くなった。果たしてこれは日本だけの問題と言えるのだろうか。わたしはこれを、現代の桃源郷と捉える。わたしの表現は、国芳の内在するものを見つめる視線、手法を現代で引用することで、器=ゴジラ(日本人)に宇宙(秩序)を再びコスメティックすることである。これは、社会に内在するものを表面化することで、現代におけるコミュニケーション欲求の再考、及び再提示が目的である。そして、初代仮面ライダーが偶然自我を取り戻し戦い始めたように、桃源郷=無限ループの先には何があるのか。わたしは芸術という感性の宙吊りを使って、その先をユーモラスに考えたい。                                

1985年兵庫県生まれ
2012年京都造形芸術大学大学院修士課程芸術研究科芸術表現専攻洋画領域修了
〇個展歴
2014年
・「和泉屋旅館×西垣肇也樹」 和泉屋旅館(京都)
2018 年
・「不覚のオープンワールド」 TS4312(東京)
2020年
・ 「 Artist-in-Residence 賀茂なす vol.003 西垣 肇也樹」 AIR賀茂なす(京都)
2021年
・ 「海トモ山トモ知レナイガ、」 TS4312(東京)
2023年
・「酔顔を見合わせて、ええじゃないか」下鴨茶寮 , ARTISTS FAIR KYOTO 2023 特別展(京都)
・「 A Monster of Our Own Making」 Ronin Gallery(ニューヨーク)

〇グループ展
2015年
・「 STUDIOHAIDENBAN OPEN STUDIO」 スタジオハイデンバン(京都)
2016年
・二人展「西垣肇也樹×竹内義博 2人展」 TS4312(東京)
2017年
・JOINT EXHIBITION「 yodo studio××STUDIOHAIDENBAN」 スタジオハイデンバン(京都)
・「 SHIBUYA ART FESTIVAL 2017」 渋谷駅特設会場(東京)
2018年
・「ワンダーシード 2018」 入選トーキョーアーツアンドスペース本郷 (東京 )
2021年
・「 art bit Contemporary Art & Indie Game Culture -」 ホテル アンテルーム京都(京都)
2022年
・「 GOLDMEMBER 2022」下鴨茶寮 , ARTISTS FAIR KYOTO 2022特別展(京都)
・Yousif Ahmed氏との 2人展「紙の対話」 3331アーツ千代田(東京)
〇レジデンス
2020年
・ Artist-in-Residence 賀茂なす(京都)
・「門司港アートワーフ 2020」 門司港エリア(福岡)
2022年
・QATAR MUSEUMS(ドーハ )
2023年
・RONIN、 GLOBUS、 ONBEAT アーティスト・イン・レジデンス・プログラム(ニューヨーク ) 
 
 
            
HP: https://www.gallery-opet.com/        
  • 会期 2023年5月14日(火)~6月2日(日)
  • 時間 8:00~23:00
  • 場所 2F 天平ギャラリー
  • 主催 奈良 蔦屋書店
  • 共催 Gallery OPET
  • 問い合わせ先 0742-35-0600(奈良 蔦屋書店)

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