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及川の部屋Vol.4『VISTA WALKERHILL SEOUL選曲プロジェクトと初夏に聴きたい爽快ジャズ』

今回は、代官山 蔦屋書店を飛び出して、選曲プロジェクトのお話をしましょう。
今年の初め頃、ソウル特別市にある5つ星ホテル・VISTA WALKERHILL SEOUL(ビスタ ウォーカーヒル ソウル)よりオファーを受け、ホテル内でかける音楽の選曲をしました。
 
また、去年の代官山 蔦屋書店グリーンクリスマス以来ご縁があり、プランツハンターの西畠清順さんと今回一緒にお仕事をすることに。
"植物と音楽"のコラボレーションが実現しました。
この西畠さんのプランツは美しさだけでなく生命力を感じるというか。さすがですよね。
 
 
私のミッションはというと、ホテルのエントランス・バー・レストラン(日本食とイタリアン)・スカイヤードに流れる四季折々の音楽を選曲すること、コンピレーションCDの選曲製作です。
RESPIRATIONは、再び呼吸するなどという意味があり、このVISTAのリニューアルにぴったりのタイトルとなっています。
 
 
CDについては曲の順番に悩まされました。
曲と曲の繋がり方って、とても大事なんです。
お風呂に浸かっているとき、お茶を飲んでいるとき、プライベート空間でリラックスしているときに、ひらめくことが多かったです。
「これはこの曲の後の方がいいな、やっぱりこれは最初の方に持ってこよう。」などと、頭の中で会議しながら、渾身の一枚に仕上げました。
 
 
客室すべてに置いてあり、宿泊者がこのCDを部屋で聴けるようになっていて、購入も可能です。
(こちらはホテル内でしか買えないので、残念ながら日本での販売はございません。)

実際宿泊してみて、お客様を最高のホスピタリティでもてなす、VISTAのプライドとプロ意識を感じ、私もその期待にしっかり応えようと、身が引き締まる思いでした。

漢江の先に広がるソウルのきらびやかな景色が望める、特別な空間ですから、特別なおもてなしをしなくてはなりません。

ありきたりな、ホテルの王道BGMではなく、その空間、音の広がり方、全てをプロデュースするのです。
 
 
私が特に感動した、広大な漢江。
そこに広がる景色とマッチした、音楽はどんなものにしよう。

空間を彩り、日本では考えられない規模の、広大な敷地内にそびえたつVISTAというホテル。
この一流ホテルの品格に華を添え、季節の香りがほのかに漂うような...
そんな選曲を心掛けました。
 
 
スカイガーデンはワイルドな西畠清順さんのプランツにあわせて、朝はラテン系で活力を。
夜はクラッシックにしました。(のびのび育って欲しいという想いを込めて...。)
クラッシックは長いので、単調になりすぎないよう程よく表情が変わるものをセレクト。

日本食レストランで日本の伝統曲を流すことは100%の王道ですが、わたしはあえてイージーリスニング系・そしてフュージョンを持ってきました。
とてもモダンで、雰囲気も格好よく仕上がりました。

イタリアンレストランはバロック音楽をメインに、チェンバロやアコーディオン・マンドリンなどが心地い軽妙なジャズを。

夜になるとより全体の雰囲気がアダルトに、よりモダンになります。
それだけで男性は何も言わなくていいくらい(!?)女性をロマンチックな気分にしてくれることでしょう。

今回のプロデュースにおいて私の最大の試練は何だったかというと、
内装ひとつひとつの規模が大きいということです。
天井の高さ、入り口の広さ。
そしてソウルの夜景が売りなだけあり、本当に室内にいることを忘れてしまうような、どこまでも広がる景色。
ほとんどガラス張りなのです。
そのガラスの反響により音が逃げ場を失い、ワァンワァンという少し嫌な後味が耳に残ってしまう。

カーペットや天然素材があれば、音をすうっと吸収してくれるのですが、なにせガラス張りのパノラマビュー&高い天井。
同じ曲でも、代官山 蔦屋書店で流すのと、わけが違います。
(ちなみに代官山 蔦屋書店もガラス張りですが、本やウッドテーブル、カーペットが音を逃がしてくれる役割をしてくれていますので、ぶつかり合わずにいられるのです。)

ですがここは、コンシェルジュである私の腕の見せ所です。
チェンバロだけだったものにフルートを足したりと、楽器の足し算引き算をして、音の調節をします。
この空間には弦の響きがきっといいと思っても、実際流してみると、想像していた音より違う場合も多々ありました。
そんなときに活躍してくれるのが管楽器です。
管楽器を入れると、全体の音のカドが取れて良い感じに中和されるのです。
 
 
このような場面に直面し、担当の方が私に実際に現場を見に来て下さいと仰っていた意味がはっきりと分かりました。
実際現場を見ながら微調整できたので、納得のいく仕上がりとなりました。


すこし話は戻りますが、
まだこのプロジェクトに関わるかどうか決めていない段階で、VISTAに招待して頂いたときのことです。
各フロアを下見していると、あの時感じたなつかしい感覚がふと蘇ったのです。
それは、昔わたしがニューヨークへ旅行に行ったときのこと。
ブルックリンのストリートで”私ここにまた戻ってくるな”という不思議な直感が働いたのです。

その直感が、現実となり、ニューヨークへ住み、そこで数年間仕事をしました。

そのときと同じ感覚になったとき、このプロジェクトに運命的なものを感じずにはいられませんでした。

人間も動物ですから、本能に従った方がいい時は結構あるものです。
私自身、海外でまた仕事をしたいと思っていたところでしたし、このオファーを受けることにしました。

スケジュールはとてつもなくタイトでしたが、そのぶん本当に内容の濃い3週間でした。
(CDにしても普通は3、4か月かけて制作します...)

けれど書店内にとどまらず、私たちの”知識”が皆さんの暮らしを少しでも豊かにできるんだ、私たちにとっても、新しい活躍の場ともなり得るのだと、私たちコンシェルジュの可能性を見つけたような気がしました。

結果、今回のプロジェクトを通して、私はたくさんのものを得ることが出来ました。

もう今は次の夏に向けての選曲に着手しています。
夏といえばボサノヴァ。春の選曲とはまた違った雰囲気の、さわやかなジャズを選びたいと思います。

さて、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
最後に皆さんへ、夏に聴きたい爽快ジャズをご紹介して、及川の部屋vol.4は終わりにしましょう。
 
 
◆JAZZnDIVANOWA/DIVaNOVA
5人の女性ヴォーカリストの歌声とメロディが初夏を感じさせる、バリエーションに富んだ、今大注目の1枚です。

◆Songs To Watch The Moon/Isabella Lundgren
スウェーデン出身女性ヴォーカル。
月をテーマにした1枚。キュートな歌声は、初夏にも似合います。

◆MAGNETISM/Ive Mendes
ブラジルのシャーデーこと、イヴィ・メンデス。なんとこのアルバムの1曲目はcoldplayのyellowです。
リラックスできる心地いいボーカルが凝り固まった体ををほぐしてくれるでしょう。

■【お知らせ】「おとなJAZZ~JAZZトークと女性ヴォーカル~」を開催いたします。
梶原まり子さん、小杉敏さんと女性JAZZヴォーカリストについて、お話します。
ぜひお越しください。
日時:2017年6月9日(金)
場所:横浜市神奈川区民文化センターかなっくホール・ホール
時間:19:00開演
チケットお問合せ:お電話にてお申し込み可能です。
045-440-1219(受付時間10:00~21:00 ※休館日は除く)
料金:1000円


代官山 蔦屋書店 音楽フロア
ジャズ・コンシェルジュ
及川 亮子

 
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