おかげさまで代官山 蔦屋書店は今年12月5日で10周年を迎えます。
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12月13日(月)は浦上大輔さんと郡司ぺギオ幸夫さんの登場です。

経験に依存して計算の探索空間を限定し、効率を上げる計算が、いわゆるベイズ的な方法です。そしてそれは、「自由エネルギー原理(free energy principle)」や「能動推論(active inference)」などと言い換えられて、脳科学・認知科学を席巻しています。しかし、それは変化のない、定常状態での計算に有効なだけで、動的に変化する環境や、創造に向かうことのできる計算ではありません。自らが想定している「外部」に向けた計算を考えるには、経験的に無駄な部分といえる「外部」を除いてはならないのです。

「外部」を常に取り込む計算を試みると、意図的に考えなくても、効率と万能性がうまくバランスし、臨界的な振る舞いが得られるのです。それを射程に収める計算がまさに、天然知能に基づく計算です。この天然知能を、情報科学における基本的な計算モデルであるセルオートマトンを通して展開していくのが、今回我々が書き上げた『セルオートマトンによる知能シミュレーション－天然知能を実装する－』です。論理の展開には数学を用いていますが、いわゆる文系や理系を問わず読めるよう平易に記述しました。

本書の特徴は、浦上と郡司の共著であることです。郡司が「稲妻」であるならば浦上は「避雷針」になることを心掛けました。郡司のアイデアを正面から受け止め、できるだけ平易に言い換えることが浦上の役割です。読者の中には郡司の別の著作を手にして、その難解さに「感電」してしまった方もいるかもしれません。そのような人にこそ本書をお勧めしたいです。もちろん、郡司の著作を初めて読む人にとっても、本書は最初に読む本としてふさわしいものであります。
 

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