【フェア】『歴史の屑拾い』(講談社)・『植物考』(生きのびるブックス)刊行記念「藤原辰史のあたまの中」

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蔦屋書店1号館 1階 ブックフロア 2022年11月01日(火) - 01月05日(木)
この秋、歴史学者の藤原辰史さんが二冊の著作、『歴史の屑拾い』と『植物考』を刊行することになりました。
これまでの著作やこの二冊に通底する藤原さんの「あたまの中」には、いったいどんな本があるのかを伺い、5つのテーマにそってそれぞれ各5さつ選書して頂きました。
フェアでは、1冊ずつのコメントの掲載された選書のリストを配布しております。
思わぬ出会いや気づきを得られる本を探しに、ぜひいらしてください。

〇 アーティストと出会う
その場にとどまること。ひたすら現状を見届けること…。時代を超えるアートは、アーティストが純粋な観察者となったとき、初めて生まれるのかもしれない。静かな力強さに圧倒される5冊。
・『ひろしま』石内都 集英社
・『図説 写真小史』ヴァルター・ベンヤミン 筑摩書房
・『したてやのサーカス』曽我大穂/監修協力 髙松夕佳/聞き手・編 三田村亮/写真 夕書房
・『プリズン・サークル』坂上香 岩波書店
・『ハンナ・ヘーヒ 透視のイメージ遊戯』香川檀 水声社

〇 人間ならざるもの
動物や植物に癒される人は少なくない。だが、「飼いならすことのできる自然」などあるのだろうか。人の思惑をすりぬけ、人類の運命を左右してきた手ごわい相手が私たちの傍らで同居している。その驚きと喜びを同時に噛み締めていたい。
・『山椒魚戦争』カレル・チャペック 岩波書店
・『マツタケ 不確定な時代を生きる術』アナ・チン みすず書房
・『植物の生の哲学 混合の形而上学』エマヌエーレ・コッチャ 勁草書房
・『漱石の白百合、三島の松 近代文学植物誌 』塚谷裕一 中央公論新社
・『ボタニカル・ライフ 植物生活』いとうせいこう 新潮社

〇 戦争をつたえる
戦争を知らない世代が、戦争を知る世代を引継ぎ、どう語りうるのか、ということを自問し続けている。日常の小さな事実や、断片の生、敗者や死者の声を拾い上げ、つたえる営みを考えるための5冊。
・『96歳 元海軍兵の「遺言」』瀧本邦慶(聞き手/下地穀) 朝日新聞出版
・『ぼくが遺骨を掘る人「ガマフヤー」になったわけ。 サトウキビの島は戦場だった』具志堅隆松 合同出版
・『亜鉛の少年たち アフガン帰還兵の証言 増補版』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ/著 奈倉有里/訳 岩波書店
・『パンと野いちご 戦火のセルビア、食物の記憶』山崎佳代子 勁草書房
・『そこから青い闇がささやき ベオグラード、戦争と言葉』山崎佳代子 筑摩書房

〇 居場所をつくる
あなたはあなたとしてそこにいてよい、という場所があることが、どれだけ人を救うか。そのことは時代も場所も超えて変わらない。その場所を誰がどうつくってきたか。つくりうるか。
・『ルポ 入管 絶望の外国人収容施設』平野雄吾 筑摩書房
・『ポースケ』津村記久子 中央公論新社
・『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』黒岩比佐子 講談社
・『逃げおくれた「伴走者」 分断された社会で人とつながる』奥田知志 本の種出版
・『所有と分配の人類学 エチオピア農村社会の土地と富をめぐる力学』松村圭一郎 世界思想社

〇 からだを生きる
『歴史の屑拾い』というタイトルで私がイメージしたのは、ボードレールの詩での、酔っ払った屑拾いがギクシャク動きながらゴミを拾う姿です。からだは自然との交流の場所でもあり、歴史研究者も、自然的な存在としての自己を意識しながら考えていかなければならないと思うのです。
・『手の倫理』伊藤亜紗 講談社
・『プシコ ナウティカ イタリア精神医療の人類学』松嶋健 世界思想社
・『性的人身取引 現代奴隷制というビジネスの内側』シドハース・カーラ/著 山岡万里子/訳 明石書店
・『外国航路石炭夫日記 世界恐慌下を最底辺で生きる』広野八郎 石風社
・『分解者たち 見沼田んぼのほとりを生きる』猪瀬浩平/著 森田友希/写真 生活書院

【関連イベント】
『歴史の屑拾い』(講談社)・『植物考』(生きのびるブックス)刊行記念 藤原辰史×猪瀬浩平トークイベント 「土、泥、そして屑と植物をめぐって」
 
【プロフィール】
藤原 辰史 (ふじはら・たつし)
1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は食と農の現代史。著書に『ナチス・ドイツの有機農業』、『ナチスのキッチン』(河合隼雄学芸賞)、『食べること考えること』、『トラクターの世界史』、『給食の歴史』(辻静雄食文化賞)、『食べるとはどういうことか』、『分解の哲学』(サントリー学芸賞)、『縁食論』、『農の原理の史的研究』、『中学生から知りたいウクライナのこと』など。
  • 会期 2022年11月1日(火)~2023年1月5日(木)
  • 時間 営業時間の通り
  • 場所 蔦屋書店1号館 1階 ブックフロア
  • 主催 代官山 蔦屋書店
  • 共催・協力 講談社・生きのびるブックス
  • 問い合わせ先 03-3770-2525

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