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コンシェルジュ渾身の「柔らかく残る写真」 / 柴田あすか

おそらく8年前。

 

はじめてきちんと市橋さんのお名前を知ったのは、2010年末の東北新幹線新青森開業の広告だったと思う。

 

とても真っ直ぐで、何か他の広告とは違って見えて、誰が撮った写真なのか検索し、市橋さんのお名前に

繋がった。その後、他にも撮られた作品を探して見、カメラ雑誌での記事を読むうちに、すっかりファン

になった。きれいな青の色表現もとても好みだった。それ以降、2012年のPOLA MUSEUM ANNEXでの

展や、彫刻の森美術館での展覧会など、彼女の活躍を陰ながら応援しずっと追っている。昨年、パイイ

ターナショナルの営業担当さんから、「来月の新刊です」と案内をいただいた時、ついに!と思った。

市橋さんの新刊をデザインジャンル担当として、売り手として扱うことができる、そのことがとても嬉し

かった。

 


※『TOWN』と私物の『”QUOTATION” SPECIAL ISSUE 市橋織江の現在』(日販アイ・ピー・エス刊)

 

 

“写真集『TOWN』”

 

前作『BEAUTIFUL DAYS』発売から、もう6年が経過したのかと思うと、本当に時間が経つのが早く感じる。

前作含め、今までの市橋さんの作品集と今回の作品集は、本質的には同じだけれど、今回の『TOWN』につ

いては、どこか以前よりも透明度が高いような印象を受けた。内容紹介として出版社からリリースされた文

章にはこんなことが書かれていた。「様々な都市の今を独特の距離感を持って切り取り続ける写真家 市橋織

江。6年ぶりとなる作品集に綴られるのは、移ろいゆく時間のなかから心が騒つくような感覚を拾い集めよう

とする旅で巡り会った、ある街の5日間の光と影。」

 

 

 

 

光と影”

 

市橋さんがシャッターを切るのは「心が騒つく瞬間」と何かのインタビューでも仰っていたが、その「騒つく」

感覚は、全く知らない街なのに淋しさや郷愁が凛とした空気を纏って降りかかかってくるような感覚となって、

私たちに訴えかけてきているように感じられた。昨年12月より、富山県をスタートとして開催された、市橋織

江写真展「TOWN」ミュゼふくおかカメラ館での展示を、運よく出張に合わせて会期スタート直後に見に行く

ことができた。安藤忠雄建築である、静寂に包まれた館内と、窓から差し込む光と木々の影とが相まって、今

回の写真集とマッチした印象的な展示空間だった。

 

 

 

 

 

市橋さんの撮る風景写真からは街の音はあまり聞こえてこない。しん、としている。ただ、光の温度や風の

流れ、水の冷たさといったものを感じることが出来る。冷たいわけではなく、シャッターを切るタイミングは、

その一瞬でなければならなかったと思うような、完璧に切取られた時間がある。それが私たちの琴線に触れ、

何とも表現できない感覚を呼び、柔らかく心に残るのだ。是非、みなさんにもそんな感覚を味わって頂きたいと思う。

 

 

 

◎柴田あすか(デザインコンシェルジュ)

 

大学でプロダクトデザインを学んだ後、大学院修了。

在学中より記録映像の研究・実践に取り組む。

卒業後はフリーのカメラマンとして活動しながら、

スタジオや映像制作会社に勤務。

幼い頃憧れた書店員の職に就く。

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