【ARTIST NEWS】「安藤忠雄 ― 光を求めて」 建築家・安藤忠雄の最新ポートフォリオが10月23日から登場

建築家・安藤忠雄のポートフォリオ最新作『ANDO BOX Ⅵ』発表・展覧会

 
 
 
建築家・安藤忠雄氏のポートフォリオ最新作『ANDO BOX Ⅵ』(amanasalto)の発表・展覧会を開催いたします。今回のポートフォリオ集は、安藤氏が手掛けた建築を自身で撮影した写真を、高精細のプラチナプリントで制作しています。
 
今回選ばれた15枚の写真は、安藤氏が求める「建築の光」を自らの目で写しとったものであり、単なる建築写真や特定の建築作品の表層的な断片にとどまらず、安藤建築の普遍性を伝える写真群と言えます。
 
本展では、この15枚の写真に加え、同ポートフォリオに含まれている安藤氏の描いたオリジナルドローイング3点と、直島にある地中美術館のコンセプト模型を展示します。さらにはオープニングレセプションにて安藤氏が展示壁画に直接スケッチを描き、展示が完成するという特別な仕立てになっております。
 
※10月23日(水)10:00~16:00は招待者限定レセプションのため、一般のお客様はご入場いただけません。ご注意ください。
 
 
 
建築の光
 
忘れ難い建築との出会いがある。
その一つが二〇代後半、初めての世界旅行の際に訪れたル・コルビュジエのロンシャン礼拝堂だ。モダニズムの礎を築いた巨匠が、人生の最後に、その道程を否定するかのごとく、創り上げた奔放なコンクリートの造形。湾曲する壁の狭間から内部に足を踏み入れると、そこはありとあらゆる角度から、ありとあらゆる種類の〝光〟が差し込む混沌の空間だった。その衝撃は一日では受け止めきれるものでなく、翌日、翌々日と訪問を重ねた。三日目に、ミサの場面に遭遇、美しくも激しい光が降り注ぐ空間で、人々が肩を寄せ合い、一心に祈る情景を目にした。ただ光を追い求めるだけで、建築ができることを、私はこのとき知った。

人工物とは全て、いつかは風化して潰えるものだ。その宿命に抗い、永遠性を希求する人間の営為の一断面が、ギリシアに始まる建築の歴史なのかもしれないが――かなうならば私は、物質それ自体や形式ではなく、記憶として、人々の心の中に、永遠に生き続ける建築をつくりたい。その理想に近づくべく、コンクリートによる〝裸形〟の空間を試みる。表層を覆う一切の装飾物を削ぎ落すことで無地のキャンバスのような〝余白〟が現れる。そこに自然の断片が映し出されたときに生まれる空気、生命感に、人間の魂に訴える力を期待する。その自然の断片の象徴が、光であり、それによって浮かび上がる影の表情だ。

その場所でしか出来ない、その建物だけが持つ光の空間。それを、いかなる骨格・構成をもって、いかなるヴォリューム、オリエンテーションの光をつくりだすか。こうして、ただ光を追い求める時間を今日まで過ごしてきた。手ですくい取りたくなるような量感の光。心深くにまでしみ込んでくるような、静かで柔らかな光。イメージずっと心にあるのだが、現実の仕事では、なかなかそこまで辿り着かない。試行錯誤を続けている。
 
安藤忠雄
 


【プロフィール】
安藤 忠雄(あんどう ただお)
1941年⼤阪⽣まれ。独学で建築を学び、1969年安藤忠雄建築研究所設⽴。代表作に「光の教会」「ピューリッツァー美術館」「直島・地中美術館」など。1979年「住吉の⻑屋」で⽇本建築学会賞、1993年⽇本芸術院賞、1995年プリツカー賞、2005年国際建築家連合(UIA) ゴールドメダル、2010年ジョン・F・ケネディーセンター芸術⾦賞、後藤新平賞、⽂化勲章、2013年フランス芸術⽂化勲章(コマンドゥール)、2015年イタリアの星勲章グランデ・ウフィチャ―レ章、2016年イサム・ノグチ賞など受賞多数。1991年ニューヨーク近代美術館、1993年・2018年にパリのポンピドー・センターにて個展開催。イェール、コロンビア、ハーバード⼤学の客員教授歴任。1997年から東京⼤学教授、現在、名誉教授。
 

 
【銀座 蔦屋書店 ~建築~】
銀座 蔦屋書店は、本を介してアートと日本文化と暮らしをつなぎ、「アートのある暮らし」を提案します。 アートを眺めながら、また、アートブックをひらきながら、珈琲を飲むことができるカフェやギャラリーを併設しています。 建築書売場は、一級建築士でもある建築コンシェルジュが国内外からセレクトした約6,000冊のタイトルが並びます。特に全体の1/2を占める作品集が充実。幻の名著もヴィンテージ古書で多数取り揃え、それら全てが建築家の系譜に基づいたレイアウトで構成された売場はさながら本の建築ミュージアム。 専門知識を擁したコンシェルジュがお客様の様々なリクエストに対応致します。
 
 
 
 
【サイン入り書籍販売(オンラインショップ)】
『Tadao Ando|0  Process and Idea 安藤忠雄の建築(増補改訂版)』(TOTO出版) サイン入り:部数限定

本書は4巻まで刊行されている同シリーズの0巻。1巻に先立ち刊行されたということではなく、各プロジェクトの原点に迫るという意味が込められた「0」となっています。収録された72作品(11作品を新たに追加)を通じて、安藤氏が最初に描くスケッチが、図面に起こされ、模型でスタディされ、建築ができあがるプロセスをうかがい知ることの出来る一冊になっています。

※店頭・ネットでお買い求めいただけます。

 
 
『安藤忠雄の建築 1 住宅』(TOTO出版) サイン入り:部数限定

第1巻は住宅の特集となっています。安藤氏の処女作は富島邸で、その後も住宅作品を数多く手掛けています。安藤氏が挑戦するのは「限られた素材、要素で新しい建築をつくること」ですから、住宅を作れば作るほどに、想像力の限界を試されることになります。本書の中で安藤氏は最後の仕事は住宅だと明言していますが、それは理想というよりは、覚悟なのではないでしょうか。安藤氏の最後の住宅を想像すること― これこそがこの一冊の究極の楽しみ方ではないでしょうか。

※店頭・ネットでお買い求めいただけます。

 
 
『安藤忠雄の建築 2 海外』(TOTO出版) サイン入り:部数限定

第2巻は海外プロジェクトの特集となっています。安藤氏の建築は単純な形態で構成されているが故に、施工精度の善し悪しが直接建築の質に跳ね返ってきます。日本の高い建築施工技術が望めない海外での仕事は、文化の違いや距離の問題も相まって、苦戦の連続であったことが本書でも伺えます。しかし、乗り越えるべき課題の多さによって、挑戦をし続ける安藤氏の建築家像が浮き彫りにされているようです。

※店頭・ネットでお買い求めいただけます。

 
 
『安藤忠雄の建築 3 海外』(TOTO出版) サイン入り:部数限定

第3巻は日本での仕事が「公共性」をテーマに特集されています。雑多な都市空間、あるいは壮大な自然の中において安藤氏の建築はぽっかりと空く余白のような空間を生み出します。収録されている写真には人が写っているカットが多く、それは建築のスケールを掴み易くするためというよりは、実際に利用されている風景を見せるためと考えられます。環境と人をつなぐ為の場所としての建築をつくることを通して、安藤氏が公共性とどう向き合ってきたかを知ることのできる一冊です。

※店頭・ネットでお買い求めいただけます。

 
 
『安藤忠雄の建築 4 海外』(TOTO出版) サイン入り:部数限定

第4巻は「挑戦」がテーマです。独学で建築を学び、他者に追随することなく建築家人生を歩んできた安藤氏の取り組みは常に挑戦であったといえます。そのことを振り返り、総括する意味合いもあるでしょうが、新たな挑戦としての活動にも注目して読みたい一冊です。急激な発展を続ける中国でのプロジェクトや、歴史的な文脈の色濃い欧州での建築再生プロジェクトなど、より複雑で現代性を孕む仕事に加え、巻末にはアーバンプロジェクトと題された、建築家人生を通して続けてきた取り組みの歴史が収録されています。

※店頭・ネットでお買い求めいただけます。

 
 

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