【ARTIST NEWS】磯崎寛也詩画集『ソラリスの襞』の刊行記念として、挿画を担当した現代美術家・伊藤公象による作品展を開催

磯崎寛也詩画集『ソラリスの襞』(芸術新聞社)刊行記念 伊藤公象作品展を6月10日(金)から6月30日(木)の期間にスターバックス前スペースにて開催いたします。展示作品は店頭・オンラインにて販売いたします。
 
 
 
 
概要
 
この度、銀座 蔦屋書店では6月10日(金)に刊行される、磯﨑寛也詩画集『ソラリスの襞』の刊行を記念し、同書で挿画を担当した現代美術家・伊藤公象による作品展を開催いたします。

複数の企業の経営に携わりながら、数々のアートプロジェクトをディレクションしている、磯崎寛也。
青年時代に詩人を志したことがあった磯崎は、2017年から2度にわたって患った大病をきっかけに、ふたたび作詩に取り組みます。2018年に茨城県水戸市で「ARTS ISOZAKI」というギャラリーをオープンした彼は、現代美術家・伊藤公象らの作品からインスピレーションを得て詩作を深めることとなりました。そのおりに、伊藤より詩集の刊行を勧められます。

今回刊行する詩画集「ソラリスの襞」は、同ギャラリーにおける伊藤の2度目の個展「ソラリスの海《回帰記憶》のなかで」に因んで名付けられました。本書には、大病からの回復過程で「生命を発見」し、そして自らの言葉をみつけた詩人の心の叫びがつづられています。

本書にて挿画を担当した伊藤公象は、土を素材として陶造形をおこなう現代美術家です。土を凍らせる、または、乾燥させることで生じる土の収縮や亀裂など、自然現象を活かした独自の造形は世界的な注目を集めました。1978年のインド・トリエンナーレ、1984年のヴェネツィア・ビエンナーレにそれぞれ日本代表として参加、2009年には東京都現代美術館にて大規模な個展が開催されるなど、その活躍の場は国内外を問わず多岐に渡ります。

本展では、今回刊行する詩集のために伊藤が描き下ろした挿画と立体作品を展示いたします。挿画は、インクでプリントされたイメージに、被せられた陶土が乾燥・収縮することで、紙に複雑な襞(ひだ)のある色彩と形態が出現しました。土に潜むエロス(生命)を表現し続けてきた現代美術の巨匠が90 歳にして挑んだ、初のカラードローイングとなります。

詩人・磯崎寛也との出会いから生まれた伊藤公象の新たな境地。この機会に是非、銀座の地で貴重な作品の数々をご覧ください。
 
『ソラリスの襞』 磯﨑寛也・著 伊藤公象・画
 
「ソラリスの襞」 紙と土による襞のドローイング 2022年
 
 
 
アーティストステートメント
 
作品集刊行記念展と詩集挿画に思う事
 
2022年6月3日、ときの忘れもの(東京)で伊藤公象作品集刊行記念展「ソラリスの襞」の初日を迎えることができた。次いで6月10日から、銀座蔦屋で開催される磯崎寛也氏の初詩集『ソラリスの襞』の刊行記念発表会が開かれる。その記念すべき詩集の挿画(新たな作法によるドローイング)に拙作が用いられた。
 
思えば2019年秋、ARTS ISOZAKI (水戸)での個展、そして作品集の巻頭になる二度目の個展「ソラリスの海《回帰記憶》のなかで」を契機に磯崎寛也氏の企画発案、小泉晋弥氏監修のもとに卒寿の記念にもなる作品集が「ときの忘れもの」社から刊行される。その作品集の製作費はクラウドファンディングによるもので、礒崎氏を代表に多くの有志が働きかけ、多額の資金を得て実行された。
約半世紀になる土を主な素材にした国内外の美術館や画廊などでの制作発表活動を俯瞰され、一冊の本を創られた各位にただただ感謝したい。加えて、「ときの忘れもの」での作品集刊行記念個展の開催、磯崎寛也詩集の挿画委嘱と、かつて無いご厚情をいただいた。あらためて心からの謝辞を申しのべる。
 
実は、作品集や詩集の挿画は終活、即ち九十歳を超えた身の最後の仕事だと言う思いがあった。磯崎氏は死の淵から生を得たと詩集に綴られている。
僕にも2度そのようなことがある。子供のころ赤痢に罹り、救急車で専門病院へ。医師からもう好きなものを与えて下さいと母に告げられ、それでも母は三日三晩寝ずに祈り、奇跡的に蘇生した。今も脳裏にしるされているが、救急車に乗せられた僕を、白衣と手に鈴のようなものを持った天使が暗闇の中を両側に並んでいた。が、救急車が動き出すと同時にふっと消えた。また、1990年の正月早々、胸部の膿疱摘出で背中から斜に50センチの手術を受けた。こぶし大の膿疱が肥大してパンクのように肺に穴をあけたのだ。治療初めに膿疱を萎縮させる薬方を試みたのだが、その激痛に耐え難く手術を選んだ。手術室に入るとき、妻にもしものときは太平洋と故郷金沢の日本海に散骨をと頼んだ。
 
後期高齢になると、難聴や言語の衰え、膝、腰が弱り、歩行もおぼつかない。幸い名医に恵まれ、胆石や胆嚢摘出は術後も良好だ。ただ妻や息子夫婦には世話を掛け、今回の個展の展示や、初日には車に乗せて貰いなんとか出席できた。それに、パソコンでの操作やメールなど、頭の回転はともかく、片指でのキー打ちは疲れる。誤変換や確認の詰めが甘い。FBでメールやメッセージの返信を控えさせて頂くお願いをしたが、思い出のシェア、身近な光景や新作の投稿などについ手を出してしまう。唯一制作の他にFBでの会話が楽しく、孤独を紛らしているのかも知れない。
 
さて、作品集刊行記念展と詩画についてこの機会に述べさせて頂く。
先に終活についての生死を述べたが、一作家としては終活と制作は=する。個展の場合は当然ながら作品展示のこと以外は無に等しい。合理的なことには頭が空になる。
作品集はインスタレーションが主体なので、ページを開く度に当時の状況が思い浮かぶ。14、5年になる美術大学での勤めから、学生の手を借りた展示作業の数々、そして展示が完成して展覧会がはじまると、すぐに次の作品を考えてしまう。詩でも絵でもそうではないだろうか! 創作への情熱は年老いても持続する。
伊藤公象作品集「ソラリスの海…..」のタイトルで僕が思い浮かべたのは「惑星ソラリス」だった。「ときの忘れもの」での個展は一般的に美術館や画廊に無い居住空間を「惑星ソラリス」から降り注ぐ襞をと意図した。庭に、各階や階段に、壁面にと。「惑星ソラリス」に漂う海の襞を意図して、新たな仮設空間を演出することだった。
伊藤公象作品集刊行記念展は伊藤公象個展と位置付けている。
 
詩画に話を移そう。
詩集にドローイングをと礒崎氏からお話をいただいたとき、何故僕にと思った。氏は絵も描かれるからそれだけで詩画集が出来る。なのに伊藤にと言うのは、ドローイングを描かせて伊藤のドローイングを広めようと言う意味合いを感じた。ドローイングについては詩集にも記したが、線の筆致を重視することは承知していたが、今日のアート表現でドローイングを新たな視点から見ることの意味を探って見たかった。
30数点を一気に作り上げて、20点を挿画ように選ばれた。残りはお蔵入りである。 
 
「ときの忘れもの」での個展には新作のドローイングと「惑星ソラリスの襞」を意図した卵形と球形のコラージュも。また、未発表の陶造形や、お蔵入りから家人が見つけ出した旧作も加えた展示である。
 
今回、二つの作品発表が、どのような批評を得られるのか、関係各位に深謝するとともに、老化した脳裏にしかと刻みたいと思う。
 
長文の記述をご容赦願います。
 
2022年6月吉日
伊藤公象
 
 
 
 
アーティストプロフィール
 
磯﨑寛也/Isozaki Hiroya
 

1965 茨城県日立市生まれ
1989 早稲田大学第一文学部卒業
1995 神戸市にて阪神・淡路大震災被災
2000 (株)ITH 設立 代表取締役就任
2007 N&A(株)代表取締役就任
2010 十和田市現代美術館GM就任
2004 (特非)雇用人材協会創立
2009 (一社)アート& パブリック協会創立
2011 水戸市にて東日本大震災被災
2016 ムスカイ・ボリタンテス創立
展覧会「ムスカイ・ボリタンテス/飛蚊的黙示録」「ユートピア/ディストピア」「ストーリー/ヒストリー2017」企画参加
2017 水戸赤十字病院に脊椎炎で入院
2018 ギャラリーARTS ISOZAKI 設立
2019 茨城電機工業(株)代表取締役就任
(株)QFF設立 代表取締役就任
2022 四万十町「森の美術館」出品
現在、水戸市在住
 
伊藤公象/Ito Koshou
1932 石川県金沢市生まれ
1959 二紀会彫刻部に出品。同人(〜67年、69年退会)
1969 茨城県笠間市に転居
1972 「美術工房 桑土舎」を設立
1975 山本太郎詩集「鬼文」(青土社刊)の装丁
1977 北関東美術展でグランプリを受賞
1978 インド・トリエンナーレでゴールドメダルを受賞
1984 ヴェネツィア・ビエンナーレに日本代表として参加
1985 「’85 涸沼・土の光景」を企画・主宰
1995 女子美術大学芸術学部教授に就任
1996 「土の地平 伊藤公象展─人為と自然の間に」(富山県立美術館)
2002 金沢美術工芸大学大学院専任教授に就任
2002 個展「ウイルス─地の襞、海の襞」(テート・セント・アイヴス/英国)
2009 「伊藤公象 WORKS 1974~2009」展(東京都現代美術館、茨城県陶芸美術館)
2016 茨城県北芸術祭に参加
2017 金沢美術工芸大学名誉客員教授に就任
2018 「水と土の芸術祭2018」に参加
2019 個展「土のひだ」(ARTS ISOZAKI)
2021 個展「ソラリスの海《回帰記憶》のなかで」(ARTS ISOZAKI)
2022 『伊藤公象作品集』出版
 
 
 
展覧会詳細
 
磯崎寛也詩画集『ソラリスの襞』刊行記念 伊藤公象作品展
 
会期:2022年 6月10日(金)~6月30日(木) ※終了⽇は変更になる場合があります。
時間:当店Webサイトをご確認ください。
会場:銀座 蔦屋書店 スターバックス前
⼊場:無料
主催:銀座 蔦屋書店
協力:ARTS ISOZAKI 、小泉晋弥
お問い合わせ:03-3575-7755(営業時間内) / info.ginza@ccc.co.jp
 
 
 
販売について
 
銀座 蔦屋書店店頭・アートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術⼿帖」にて販売いたします。
店頭|6月10日(金)10時半より販売開始
オンライン|6月17日(金)12時より販売開始
 
\オンラインストアで購入する/
2022年6月17日(金) 12:00~販売開始
 

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