【ブログ meganegoshi】アーティスト牛木匡憲さんに似顔絵を描いてもらう 後編 ーVISITORSの誕生!!

前編はコチラ→アーティスト牛木匡憲さんに似顔絵を描いてもらう 前編 -牛木匡憲は愉快犯。
中編はコチラ→アーティスト牛木匡憲さんに似顔絵を描いてもらう 中編 -ピロリ菌と予備校と美大と。

中村:visitorsをはじめられて、どれくらいでしょうか。
牛木:2年です。今まで600以上のvisitorsを描いてきました。
中村:すでに10年くらい続いているかのような錯覚がありました(笑)。
牛木:あ!10年前にもvisitorsのように、人をたくさん書いてたのがあります。お見せしましょうか?
中村:嬉しいです。描いたものは全部とっておくのですか?
牛木:そういうわけではないけれど、これはとってありますね。ありました!これです。10年くらい前に描いたものだけど、この時も顔をたくさん描いて、コラージュしていました。今より結構リアルに描いているけれど、人を描くというのは変わっていません。

中村:visitorsの前身ですね!ところで、どうして人なのでしょうか?そして、どうして顔なのでしょうか?
牛木:たぶん、一つは自分の顔へのコンプレックスです。昔から顔のことでよくからかわれていました。もう一つは人が好きなんだと思うんです。人と話すのが好きだし、その人の人生に関われることも嬉しいし、この絵を描いていた10年前も文具メーカーで営業業務みたいなことをしていて、よく出先で怒られたりはしてたけど、なんか結局その人が好きだったり。いろんな世代の色々な立場の人と猛烈に関わっていた時だったように記憶してます。それに顔やキャラクターって無限にアイデアが出てくるし、なんか集めたくなるじゃないですか。左を向いているのは右利きだからですね。それに加えて、visitorsのコンセプトは、毎日更新するところにあるから、全身を描いていると時間がかかりすぎで続けられない。だから顔だけになりました。
中村:なるほど。ご自身のコンプレックスと人への興味関心、そして効率と継続性を考えて「顔」になったわけですね。

牛木:ソーシャル時代において、毎日更新することはとても大切です。メディア時代のアルゴリズムをうまく使うことが重要!毎日更新し続けたら、「良いユーザー」と認識してもらえるから、検索に引っかかりやすくなったりするんだよね。 それと、ソーシャルつながりでいえば、インスタの見栄えも大切ですね。UIを考えて掲載しないと、美しくないし、インスタグラマーたちにウケない。だから、何も考えずに適当にUPした写真は消していかないといけないんです。

中村:モノクロで描くのも効率を重視してですか?
牛木:そうですね。だけど、visitorsをはじめた当時は、イラストレーション界でモノクロが流行っていたころなんですよ。ファッションもモノトーンが流行っていて、世界的にモノクロブームでした。
中村:カラス族とかではないですよね?
牛木:ほんと数年前のことです。何でみんなモノクロ着てるのよ!つまんないわよ!みたいな時期があったんですよ。ぼくはファッションも作品も超カラフルだったから、「やばいなー、時代にあってないなー」ってなりました。
中村:では、visitorsは、時代によせてモノクロになったと。
牛木:そうです。だけど、visitorsはクライアントワークにしようとは思っていないくて、つまりこれで仕事を得ようは思っておらず、イラストレーションのモノクロばかりの時代の流れを皮肉にした作品です。「俺も、モノクロにしたぜ!これで仕事くるかなー?」みたいな。
中村:モノクロなのも、愉快犯要素がたっぷりなのですね。
牛木:そう!そのとおり。だって、みんな右ならえでモノクロなんだもの。

中村:しかし、ヒーローズのシリーズは、めちゃめちゃカラフルですよね。
牛木:ヒーローズはカラーで、発散してます(笑)。だけど色をつけたら30分では描けない。すごい時間とられちゃうから、visitorsみたいに毎日続けられないです。visitorsもね、いつまで続けるかなーって思っていて…とりあえず、作品数1,000点を目指していることろです。
中村:visitorsには終わりがきてしまうのですか!?
牛木:はじめは100点で、と思っていたんです。
中村:継続していると周囲の期待が膨らんできますしね。
牛木:もともとカラフルなのが好きだといってくれる方々が、なんでカラーはしてくれないのかと聞いてくることもあり…。
中村:確か、カラーのzineも作成していましたよね?
牛木:はい。だけど、カラーのzineをつづけちゃうとvisitorsの価値が下がるかな、と思ったりもして…。「価値」といえば、今度、若い子たちのイベントに誘われて、zineの販売とかをするんだけど(※イベントはすでに終了しています)、若い人たちが企画をしたイベントに誘ってもらったのが嬉しかったです。僕の仕事は数字にならないことが多いんですよ。だから、仕事を選ぶ基準はいつも難しい。今回は、権威とか地位が確立された人に声をかけられるより、若い人の声に応えたほうが「価値」があると考えて、引き受けました。

中村:何に「価値」を見出すか、仕事を選ぶ上でとても大切ですね。そのイベントは似顔絵もやるのですか?
牛木:去年、「牛木匡憲=似顔絵の人」みたいになるくらい、似顔絵を描きまくってたので、今年はやりません。全く同じことをしたくないんですよね。似顔絵をやるにしても違う手法を取り入れたい。何かチャレンジング要素がないと廃れていくと思うんですよ。この前、台湾で似顔絵イベントをしたのですが、台湾での似顔絵はチャレンジの第一歩でした。すっごく楽しかったよ台湾!
中村:海外進出ですね!台湾でもこんな感じで、お話ししながら似顔絵を描くんですか?
牛木:通訳の方がいたので、通訳してもらいながらだけど、毎回通訳されるのも疲れるし、英語も超伝わるわけじゃないし。結局、最終的に顔芸みたいになってきて、でもこれが何故かうけるんですよ(笑)。
中村:いいですね(笑)。楽しそう!
牛木:言葉は通じなくとも心がちゃんと通じ合う感じがして、「台湾にきてよかったー、似顔絵やってよかったー!!」って、心の底から思いました。

牛木:この仕事していると、儲かるときと儲からないときの波がとても激しい。お金のことしか考えてない時期もあって、「何でこんな仕事してるんだろう…」って悩んだりするときもあります。だけど、こうして若い人のイベントに誘ってもらったり、台湾をはじめ、似顔絵イベントでお客さんと触れ合ってダイレクトに反応もらえると、「やっぱりこの仕事やっててよかった!」と本当に思うんですよ。この道をめざしてよかったなと。この体験は、お金では絶対買えないですしね。常にチャレンジしていこうという気持ちと姿勢があれば、辛いときも乗り越えて、仕事を楽しめます。日本でどんなにかっこいい展覧会をやっても、ここまで幸せな気持ちは沸かないかも。
中村:私もなんだか幸せな気持ちになってきました。常にチャレンジ!の中には、台湾でイベントを行ったように、海外進出も視野に入れられているのでしょうか?
牛木:はい!世界は意識しています。日本だけでは食べていけないし、世界に出ていかないとマズイと思っています。レジデンスにも参加しようと思ったけど、年齢制限があったり、子どものこともあったりで断念しましたが、ここ東京から、世界発信をがんばろうと思います。
中村:銀座 蔦屋書店でも、日本の方はもちろん、海外からのお客様にも牛木さんのzineをよく手にとっていただいて、嬉しいなーと感じています!これからアーティスト牛木匡憲がいかにして世界に広がっていくのか楽しみです。

牛木:今、流行っているものやことにくっついて、時代に合わせていくのが一番長生きできて、良いと考えています。一つの柄や作風を育てていくというイラストレーターの定説があるのですが、あまリにもこだわりすぎて、がんじがらめになってしまうのは良くないと思うんですよ。それに、同じ柄や作風は5年もすれば飽きられるとイラストレーターの大御所の方に話を伺ったことがあります。だからぼくは、いっぱい間口を持って、がんじがらめになってしまっている人たちの凝り固まってしまっているところに一石を投じるような活動をしていきたいと思っています。
中村:作風がどんどん化けていくわけですね。
牛木:石を投げることそのもの、愉快犯的な行為そのものを作風にしていきたいです。業界にも良い循環ができると思います。ぼくは、イラストレーターさんみたいに、一定で描けないんですよ。作風も決まっているわけではないし、その時々のスキルで描いているから一定にならないんですよね。けど、それっておもしろくないですか?ヘタだなーって思うときもあるけど、ヘタな部分も出していこうと思う。そっか、だからぼくの作品はイラストレーションではないんですよ。描かれているもの、表層だけじゃなくて、作品の背景とか流れとかを面白がってもらえたら嬉しいな。
中村:アーティストとして、そして愉快犯として、牛木さんがどのように私たちを面白がらせてくれるか、そして裏切ってくれるかをこれからも楽しみにしています!

【おまけ ―パソコン編】
牛木:できたーーーー!これで完成。なんだか可愛らしくなったので、眼を血走らせて、悪意を込めました(笑)。
中村:ありがとうございます(笑)。完成にいたるまでのものも見せてもらえますか?

牛木:途中で、おちょぼ口がチャームポイントだって気づいたから、口の形を三角から円に変えました。
中村:おおお。やはり、完成系が、悪意度合いもほどよくて、一番いいなー。嬉しいです!
牛木:これからパソコン作業に入りますけど、見ます?
中村:見たいです!

中村:は、早い!みるみるうちにできていく…どの部分を描いているときが楽しいとか、気持ちいい!とかありますか?
牛木:髪の毛!ストロークを描くのが気持ちいいですね。はい、これで本当に完成!!可愛いに落とし込みつつ、とんがってて、悪意を込めましたよー。
中村:ありがとうございます!!ブログの顔として、ブログを訪れてくれるvisitorsの皆さんをこれでお迎えします。

(2018.05.11 牛木さん宅にて)

----------【牛木匡憲 新刊情報!】------------------------------------------------------------------------
『VISITORS.』(9月初旬発売予定):3,996円/税込
並製本/ビニールカバー/判型 B6縦/512ページ(300キャラ掲載)
銀座 蔦屋書店でも販売決定!刊行を楽しみにお待ちください。

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【プロフィール】
牛木 匡憲 (うしき まさのり)
新潟県出身。武蔵野美術大学卒業。文具メーカー、WEB制作会社勤務を経て、現在イラストレーター兼アーティスト。漫画、アニメ、特撮などの表現をベースとしてユーモラスなものからファッションを意識したものまで時代や媒体に合わせた表現を発表し続けている。
Web : http://www.ushikima.com/

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