【ブログ meganegoshi】
ルーベンス展-バロックの誕生@国立西洋美術館
熱狂的絵画

秋風がだんだんと街になじむようになってきましたね。
わたしの周りでは、急な気温の変化で体調を崩してしまっている人がちらほら。
みなさんもどうぞご自愛くださいませ。
 
 
秋といえば、食欲に、スポーツ欲に、読書欲…いろいろな欲望がうずまく季節ですが、今年の秋は上野公園がわたしたちの芸術欲をビシビシ刺激してくるのです。
10月2日にデュシャンと日本美術展(メガネ越しでの紹介はコチラ)と慶派の展覧会が東京国立博物館で開幕し、上野の森美術館ではフェルメール展が、そしてついに10月16日から国立西洋美術館で「ルーベンス展-バロックの誕生」が幕をあけました!祝!


国立西洋美術館 外観

 
 
バロックの父 ペーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)。
17世紀を代表する、ベルギーの町アントウェルペンで工房をかまえて活動をしていましたが、若い頃は、古代とルネサンスの巨匠の作品を現地で学ぶべく、イタリアに数年間滞在し、古代彫刻をはじめ、ミケランジェロやラファエロ、さらに同時代に活躍をしていたカラヴァッジョなど、さまざま美術に触れ、吸収し、自身の絵画を確立させていきました。イタリア滞在は彼にとってとても重要な時期だったのですね。
ドイツで生まれ、父の死後に両親の故郷であるアントウェルペンに戻り、活躍をしたルーベンスですが、彼の作品には「イタリア」の空気、光、香りが漂っているといえるでしょう。


第1章「ルーベンスの世界」展示風景
真ん中に見えるのはルーベンス作品の模写《自画像》
(1623年以降、フィレンツェ、ウフィッツィ美術館)

 
 
まさに、今回の展覧会は「ルーベンスとイタリア」に焦点をあてた、ルーベンスをイタリアの画家として紹介することを試みた展覧会です。
多くの展覧会において、作家の作品を時系列に展示するのが常套ですが、本展はさまざまな「テーマ」で編集されているため、ルーベンスの画力、絵画への想い、人柄がより深く伝わってきます。


第4章「絵筆の熱狂」展示風景

 
 
そして、どの章のタイトルも美しいのです!わたしのお気に入りは「絵筆の熱狂」という章。「絵筆の熱狂」って素敵なタイトルじゃないですか?
ルーベンスの筆さばきはまさに熱狂的!本展で作品を目の前にするとそれがよくわかりますし、絵画に対峙していると、彼の筆さばきの音とか勢いとかを全身に浴びている感覚になります。本展監修者のアンナ・ロ・ビアンコさんによると、ルーベンスは構想からキャンヴァスに落とし込むのがとても早かったとのこと。細部を省略し、逆に誇張を用いることで、画面に統一感を生み出しながらも、強烈なイメージを生み出し、見るものを魅了します。そのスピード感、熱量があいまって、彼が描き出す作品には活気、そして生命力があふれているのですね。
 


第4章「絵筆の熱狂」展示風景
左:ルーベンスと工房《ヘラクレスとネメアの獅子》(1639年以降、個人蔵)
中:ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ《獅子を引き裂くサムソン》(1631年頃、個人蔵)
右:ジョヴァンニ・ランフランコ《獅子を引き裂くサムソン》(1633-38年頃、ボローニャ国立絵画館)
次世代のイタリアの画家たちもルーベンス絵画に追随し、
ルーベンス絵画の個性は美術史に脈々と刻印されていきました。

 

 
 
生命力といえば、彼の作品に登場する人物は、筋骨隆々といいますか、肉感が特徴的ですよね。
血が通っているあたたかみを感じられる人々。ルーベンスは、はじめて聖人を英雄のように描いたといわれています。
 
「英雄としての聖人たち」の章では、英雄のようなたくましい聖人たちが出迎えてくれます。それらのモデルは、古典の彫刻郡。「過去の伝統」の章でルーベンスの《ラオコーン群像》の模写素描が展示されていたのですが、線の美しさに惚れ惚れしてしまうとともに、ルーベンスが像からさまざまな事象を吸収しようとする気概すら感じることができました。ルーベンスはラオコーン像に自身の芸術と相通ずるものを感じ取り、しばしば、像の姿勢や表情を引用していたようです。


第2章「過去の伝統」の展示風景
ガラスケース内は、ルーベンス《ラオコーン群像》の模写素描
(1601-02年、ミラノ、アンブロジアーナ図書館)

 
 
本展の監修を勤めたのは17〜18世紀イタリア美術が専門の美術史家 アンナ・ロ・ビアンコさんと国立西洋美術館主任研究員の渡辺晋輔さんです。渡辺さんは、近年では「ラファエロ」展や「グエルチーノ」展「アルチンボルド」展、「非日常からの呼び声 平野啓一郎が選ぶ西洋美術の名品」展などを担当されていらっしゃいます。ルーベンス展もそうですが、名だたる西洋の巨匠たちの展覧会を担当しながら、平野啓一郎さんとのコラボ展を企画されたり、ラファエロ展の際にはラファエロ特集の別冊美術手帖で現代アーティストの諏訪敦さんと対談をされたりと、さまざまな角度から西洋美術の魅力を発信してくださっています。感謝。
 
いやはや、最初から最後まで圧倒されっぱなしの展覧会でした。
ルーベンスは、ルーベンスがいるだけで調和が生まれるといわれていたほど、寛大で、愛の深い人で、立派だけど、人間味溢れる画家だったようです。展覧会を見終わって、ちょっと元気をもらった気がするのは、そんな彼の内面にも触れることができたからかもしれません。


第2章「英雄としての聖人たち―宗教画とバロック―」の展示風景
一番奥に見えるのはルーベンス《聖アンデレの殉教》
(1638-39年、マドリード、カルロス・デ・アンベレス財団) 本作は普段病院に展示されていて、
照明などが整った状態で観賞ができる貴重な機会とのこと。
この作品の対峙するように《法悦のマグダラのマリア》(1625-28)が展示してあるですが、
この2つを同じ空間で見ることができるのは二度とないかもしれないとのこと。重ねて貴重!

 

 

 
 
国立西洋美術館は日本で唯一、西洋美術を専門とする国立美術館。川崎造船所の初代社長である松方幸次郎氏(1866‐1950)がヨーロッパで収集した美術品のコレクションを土台に1959年6月に開館しました。松方氏はいずれ自身で美術館を設立し、「日本の若い画家たちにも本物の西洋美術を見せたい」という夢を抱き、絵画、彫刻、家具、宝石にいたるまで、1万点にも及ぶ作品を収集したようです。そのコレクションは遜色おとらず。

ぜひ、ルーベンス展とともに、常設展もあわせて、ゆっくりのんびり西洋美術館を楽しんでくださいね。
銀座 蔦屋書店でも、本展の図録をご購入いただけます。表紙は2種類!《エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち》と《パエトンの墜落》。
どちらにしようか悩みますねえ。どうぞ、ゆっくりじっくり、店頭で吟味されてください。
ほかにもルーベンスの関連書籍をご用意してお待ちしております。


 
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【展覧会情報】
ルーベンス展―バロックの誕生
会期:2018年10月16日〜2019年1月20日
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
開館時間:9:30~17:30(金土〜20:00、11月17日〜17:30)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月(12月24日、1月14日は開館)、12月28日~1月1日、1月15日
公式WEBサイト:http://www.tbs.co.jp/rubens2018/
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【関連テレビ番組情報】
「サワコのひとり旅 in ベルギー」
放送日:
TBS(副題:画家・ルーベンスを訪ねる極上三ツ星紀行) 10/27(土)16:30〜17:00/ナレーター 真矢ミキ
BS TBS(副題:画家・ルーベンスを訪ねて) 11/3(土)13:00〜13:54/ ナレーター 坂上みき
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