【展示】奥村岳史 - Scramble paintings –

銀座 蔦屋書店が選出する、若手作家の作品展示企画として奥村岳史作品展「奥村岳史 - Scramble paintings –」を開催いたします。

奥村は生産と消費の間に身を置き、風化や劣化などの現象や、それに伴って生じる物体の持つ記号的な価値と本質的な価値の変化に着目して絵画作品を制作します。
その表現方法として、描いた絵を塗膜として支持体から引き剥がし、熱湯や流水に晒す事によって何枚も混ぜ合わせる手法を用いています。

 

企画協力：スタジオ航大

【Artist Statement】
趣味である古着収集やリサイクルショップで働いた経験から、生産と消費の間に身を置き、風化や劣化などの現象や、それに伴って生じる物体の持つ記号的な価値と本質的な価値の変化に着目して絵画を制作しています。
多種多様な物や風景が写真や動画によって共有される現代では、実際の価値や出来事から切り離された表層的なイメージがある種の記号として消費され、無限に複製される情報の波に当てられ物事の価値判断基準を見失ったような感覚を覚えます。
高価な物や安価な物、新しい物や古い物、珍しい物やありふれた物、綺麗な物や汚い物、幸せな出来事や残酷な出来事などが同一の画面に並べられ、時には現実の風景すら張りぼてのように感じてしまう状況の中、キャンバスの上に描いた自身の絵もまた、空虚な表層、あるいはイラストという一つの記号として捉え始めるようになりました。
描いた絵を塗膜として支持体から引き剥がし、熱湯や流水に晒す事によって何枚も混ぜ合わせた画面は、ネット上や街中で記号的に消費されるイメージがマテリアルという本質を露わにしながら解体され、虚像と実像がどちら付かずで見え隠れするオブジェとして立ち現れます。
それは本音と建前、現実と非現実、真実と嘘が混ざり合いそれぞれの境界が不明瞭になった現代の状況を絵画の構造へ落とし込み、物理的な現象として可視化した状態でもあります。
また、そのような状態を絵画として提示する事で、アナログな世界の有為転変を改めて認識し、デジタルな世界の不確かな情報や記号的な価値感に飲み込まれた思考を一時的にリセットさせ、身近にある確かな現実や物事の本質的な価値に目を向ける為の装置として作品を機能させる事ができるのではないかと考えています。

「Scramble painting ‘man’」 木製パネルに綿布、アクリル絵の具 560 x 560 x 45mm

 

「Scramble painting ‘SALE’」  木製パネルに綿布、アクリル絵の具 560 x 560 x 45mm

 

[アーティストプロフィール]

 

[作品の販売について]

作品は、銀座 蔦屋書店店頭、オンラインストア「OIL by 美術⼿帖」にて、9月17日（土）10:30より販売いたします。
※作品はプレセールスの状況により展覧会会期開始前に販売が終了することがあります。