【展示】深堀隆介展示「水底に描く "Drawing of the Depths"」
本展では、「水底(みなそこ)に描く」と題し、代表シリーズ金魚酒、額にアートワークを施した絵画などの新作を中心に、普段発表することが少ないドローイング作品も合わせて展示します。表面張力の中に金魚の住む世界を見出し、水彩紙の上の水面に色を落とすように描いたドローイングには、時間の経過と共に水分が蒸発した後、立体的なリアリティーとは異なる抽象的な美しい痕跡が残ります。
具象と抽象、職人と作家という境界を行き来しながら制作した作品群には、多様な媒体と独自の技法を用いた絵画表現に対しての作家の挑戦的な姿勢がうかがえます。是非本展にてご高覧ください。
Drawing of the Depths
私はドローイングをしている時に、あることに気がついた。それは、紙の上に垂らした水彩絵具にも水面があるということだった。水面があるということは水底もある。つまり僅かではあるがそこには水深があり、金魚たちの棲息領域が絵を描く行為の中で生まれていることを発見したのだ。私はその彼らの領域に色を垂らし込み、棒やヘラで引っ掻いたり伸ばしたりして、彼らの領域を拡大させていく。垂らしこんだ色の粒子は微かに生まれる水流によって意図しない方向へ流れ、他の色と混ざり合い繋がっていく。私は、そこに一つの海が生まれたような錯覚を覚える。しかしせっかく出来上がったその海も、時間の経過と共に蒸発し痕跡だけが残る。私にとってこの痕跡は、彼らの領域が存在した証なのだ。火星にはかつて海があったと言われている。水の無い火星だが、地表には幾つもの水の作用によって刻まれた痕跡が残されている。もしかすると、その海も何かの生命体の棲息領域だったのかもしれない。いつか地球の海も痕跡になってしまうのだろうか。
深堀隆介
横浜美術大学客員教授、愛知県弥富市広報大使。
作品は平塚市美術館をはじめとした国内の美術館のほか、毓繡美術館(台湾)、アメリカのナイキ本社、Four Seasons Resort LANAI、KITHなどのアパレルブランド、横浜美術大学、愛知県立芸術大学といった美術大学にもコレクションされている。
1973年 愛知県生。
1995年 愛知県立芸術大学卒業。
2000年 スランプ時に飼っていた金魚に魅了される。(金魚救い)
2002年 透明樹脂に直接絵を描く新絵画技法「2.5D Painting」を考案し発表する。
2009年 この頃からニューヨーク・ロンドン・台湾など、海外での個展を開催。
2017年 「金魚美抄展」監修(2017 金沢21 世紀美術館、2020 豊川市桜ヶ丘ミュージアムなど巡回)
2018年 個展「平成しんちう屋」(平塚市美術館、刈谷市美術館など巡回)
2021年 個展「金魚鉢、地球鉢」(上野の森美術館、長崎県美術館、岩手県立美術館など巡回)
2023年 個展「水面のゆらぎの中へ」(札幌芸術の森美術館、帯広美術館など巡回中)
2023年 「シン・ジャパニーズ・ペインティング展」 (ポーラ美術館)
抽選結果発表|2月14日(水)より順次 ※3月中に順次お届けを予定
※抽選販売に関する注意事項は販売ページにてご確認ください。
- 会期 2024年2月6日(火)~2月21日(水)※終了⽇は変更になる場合があります。
- 時間 当店Webサイトをご確認ください。
- 会場 銀座 蔦屋書店 GINZA ART SQUARE
- 主催 銀座 蔦屋書店
- 協力 金魚養画場
- 入場 無料
- お問い合わせ 03-3575-7755(営業時間内) / info.ginza@ccc.co.jp