『HAPPY VICTIMS』刊行記念トークイベント&サイン会
都築響一(編集者/写真家)×藪前知子(キュレーター/東京都現代美術館学芸員)

ファッション
銀座 蔦屋書店 BOOK EVENT SPACE(アートブックフロア内) 2025年 07月27日(日)
編集者、写真家である都築響一さんの作品集『HAPPY VICTIMS/着倒れ方丈記』の新装復刻版がバルセロナを拠点とするスペインの出版社「APARTAMENTO」より刊行となります。銀座 蔦屋書店では、本書刊行を記念して、7月11日(金)より『HAPPY VICTIMS』、昨年復刊された同著者の『TOKYO STYLE』をはじめとして、APARTAMENTOが今まで刊行してきた、インテリア、アート、建築、デザイン、食など多様なジャンルの書籍とグッズを紹介するフェアを開催します。
 
フェア会期中の7月27日(日)には、都築響一さんと藪前知子(キュレーター/東京都現代美術館学芸員)さんによるトークイベントを開催します。トークイベント終了後には、同会場で都築さんによるサイン会も予定しております。この機会にぜひご参加くださいませ。
 
※登壇内容は変更となる場合がございます。予めご了承くださいませ。
※トークイベントは事前予約が必須となりますが、サイン会は事前予約なしでもご来場いただくことが可能です。ただし当日ご参加分の書籍の数に限りがございますので、事前にご予約いただいた上でのご来場をお勧めいたします。
※サイン会は都築響一さんのみのご参加となり、藪前知子さんはご参加されません。
 
[対象書籍のご案内]
 
『HAPPY VICTIMS』
価格:12500円+税
日本人編集者、写真家である都築響一による写真集。1999年4月から2006年8月まで計87回にわたる『流行通信』誌での連載をまとめた形として2008年に刊行された名作『着倒れ方丈記 HAPPY VICTIMS』(青幻舎)の復刻新装版です。オリジナル版はカルト的な人気を誇るだけでなく、この書籍自体が「収集というカルト」への賛歌でもありました。
 
今回の復刊ではオリジナル版のソフトカバーから装いを新たにハードカバーによる製本。掲載されるすべての画像も、今回新たに著者自身で調整が施された「リマスター版」となります。著者である都築響一がオリジナルの序文に加えて、復刊にあたっての新たな序文を執筆、またニューヨークとロンドンに店を構えるファッション・ブックショップとして名高い「Climax」の創設者であるイザベラ・バーレイ(Isabella Burley)による解説も付されています。
 
本書の内容は連載から20年以上経った現在でも、奇妙なまでに反抗的に見えます。崇拝するブランドの世界観と広告表現の信奉者たちへのメッセージであるはずのファッション誌に掲載されながら、それは「美しいモデルが、美しい家で、美しい服を着て、美しい生活を送る」というような、我々が通常こころに描く「ハイファッション」のイメージではありません。ここにいるのは、コム デ ギャルソンに熱中する若いお坊さんや、紙のように薄い壁越しに聞こえてくる隣人の会話に耳を澄ますアレキサンダー・マックイーンのコレクターといった、すぐそこにいる人間たち。それぞれの自室で、コレクションを広げて撮影された匿名の信奉者/犠牲者たちは、それぞれのブランドへの執着から生まれる儀式と犠牲を楽しげに語ります。彼ら“アンチ・ヒーロー”たちは、名声、ファンタジー、グラマー(魅力)といったハイファッションの世界観と並行した、もうひとつの現実として存在しているのです。

表紙と帯はすっかりリニューアルしましたが、内容はオリジナル版から引き継がれたシンプルなドキュメンタリーのフォーマットが保たれています。見開きページひとつにつきひとりの「幸福な犠牲者(happy victim)」が登場し、作者が撮影した部屋の写真それぞれに、その人物に関する短い解説と、典型的な一日のスケジュールが添えられています。その多くは富裕層ですらないため、彼らは毎日仕事場と家を往復し、その合間に服の手入れをする時間を見つけなければなりません。本書の全編に漂う共感や親近感からは、同時に「このプロジェクトをいま再現することの困難さ」も滲み出します。SNS上であらゆるストーリーが大規模に生み出され消費され消し去られながら、ファッション産業そのものが限りなく断片化され、拡散した文化現象となりつつある現在。そしてファスト・ファッションとストリート・レベル、両方のトレンドにハイファッションが本来の場を奪われつつある現在においては。

この「幸福な犠牲者」たちへの著者の眼差しは、書籍や美術品、音楽などに比べてファッションのコレクターをヒエラルキーの最下層に位置づけるような、世間の偏見に一貫して異議を唱えつづけます。彼らの純粋な情熱のありようそのものが、著者にとって魔術的な魅力の発現なのです。けっきょく、テキストを寄稿した著名なファッション・ジャーナリストのイザベラ・バーレイが言うように、2025年のいま、われらはみな(さまざまな顔をした)「幸福な犠牲者」たちなのだから。
全編英語表記。
 
[登壇者プロフィール]
 
都築 響一 (つづき・きょういち)
1956年東京生まれ。ポパイ、ブルータス誌の編集を経て、全102巻の現代美術全集『アート・ランダム』(京都書院)を刊行。以来現代美術、建築、写真、デザインなどの分野での執筆・編集活動を続けている。93年『TOKYO STYLE』刊行(京都書院、のちちくま文庫)。96年刊行の『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』(アスペクト、のちちくま文庫)で、第23回木村伊兵衛賞を受賞。その他『賃貸宇宙UNIVERSE forRENT』(ちくま文庫)、『現代美術場外乱闘』(洋泉社)『珍世界紀行ヨーロッパ編』『夜露死苦現代詩』『珍日本超老伝』(ちくま文庫)『ROADSIDE USA 珍世界紀行アメリカ編』(アスペクト)『東京スナック飲みある記』(ミリオン出版)『東京右半分』(筑摩書房)『圏外編集者』(朝日出版)など著書多数。2012年より個人で有料メールマガジン『ROADSIDERS' weekly』を毎週水曜日に配信中(http://www.roadsiders.com/)。
 
藪前 知子(やぶまえ・ともこ)
東京都現代美術館学芸員。企画担当した展覧会に「大竹伸朗 全景 1955-2006」(2006)、「山口小夜子 未来を着る人」(2015)、「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」(2015)、「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」(2020)、「クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する](2021)、「日本現代美術私観 高橋龍太郎コレクション」(2024)、「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジコ Time Unfolding Here」(2025、以上東京都現代美術館)など。札幌国際芸術祭2017ではバンドメンバー(キュレーション担当)として参加。雑誌等に日本の近現代美術についての寄稿多数。
 
[イベント詳細]
 
●フェア
会期:7月11日(金)~31日(木)※最終日は17時まで
会場:銀座 蔦屋書店 アートブックフロア
 
●トークイベント&サイン会
日時:7月27日(日)
会場:銀座 蔦屋書店  BOOK EVENT SPACE(アートブックフロア内)
トークイベント 13:00~14:30
トークイベントにご参加いただいた方対象のサイン会 14:30~15:00
サイン会のみご参加希望の方対象のサイン会 15:00~並びが途切れ次第終了予定
※トークイベントは事前予約が必須となりますが、サイン会は事前予約なしでもご来場いただくことが可能です。ただし当日ご参加分の書籍の数には限りがございますので、事前にご予約いただいた上でのご来場をお勧めいたします
 

【お申し込みについて】

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<下記ご確認の上、お申込みボタンを押下ください>
・デビットカードでのお支払いはお受けできません。
・クレジットカードのみお受けいたします。お支払い限度額を確認の上、お申込みください。
・EventManagerにご登録いただくご住所はお部屋番号までお間違えの無いようにお願いします
 
終了いたしました。
  • 会期 2025年7月27日(日)
  • 時間 13:00~16:00
  • 場所 銀座 蔦屋書店 BOOK EVENT SPACE(アートブックフロア内)
  • 主催 銀座 蔦屋書店
  • 協力 APARTAMENTO、twelvebooks
  • 問い合わせ先 03-3575-7755
mail

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