【展示】東金聖 展示「刻む、継ぐ、揺らぐ」

アート
銀座 蔦屋書店 インフォメーションカウンター前 2025年09月06日(土) - 09月26日(金)
左:「もののけ魂」, H1060mm x W720mm x D1130mm , FRP、陶磁、貴金属、苔、木,2024
右:「カップを片手にダウジングをする認定魔術師」, H1120mm x W720mm x D1250mm , 陶磁、貴金属、鉄、綿 , 2023年
 
東金聖の展示「刻む、継ぐ、揺らぐ」を2025年9月6日(土)~2025年9月26日(金)の期間、銀座 蔦屋書店インフォメーションカウンター前で開催します。
 
[展示概要/作家より]
本展では、私が長年取り組んできた三つの異なるシリーズを通して、「時代を写し未来に残すこと」「技術の継承」「人間という存在のあり方」という普遍的かつ現代的なテーマを探求します。失われゆく伝統や人の営みの価値を問い直し、未来へ繋ぐ架け橋としての芸術の可能性を示したいと考えています。
 
■ 生き写し人体彫刻《時空を超える輝き》(2009年〜) 炎の試練を潜り抜けて焼き上げられる陶磁彫刻は、その過程で表面に刻まれたヒビや痕跡を纏い、より深みのある美しさを得ます。これらの「傷」は独自に調合する「貫入釉」で表されており、この釉薬のヒビ割れは試練を乗り越えた証として表現されています。その苦難の積み重ねが、強さと輝きを兼ね備えた本物の美しさへと昇華していくのです。「傷こそが美である」という言葉は、単なる見た目の美しさを超え、作品に刻まれた歴史と時間の痕跡を意味しています。私は学生時代に出会ったヘレニズム彫刻の、生き生きとした人体表現と迫力に深く感化されました。その感動がきっかけで人体彫刻を志すようになり、何千年も残る陶磁という素材に人間の「生きた証」を刻むことを目指しています。ヘレニズム彫刻が持つ時代を超えた魅力と精神性に倣い、私の作品も今ここにある生命の輝きを永遠のかたちとして刻み込みたいと考えています。 
 
■ 器作品《魅せる器、繋ぐ技法》(2014年〜) かつて美濃焼の製陶産業を支えながら、時代の流れとともに失われつつある伝統技法「ガバいこみ」。この器シリーズは、その技法を現代に蘇らせる試みです。ヨーロッパ家具や女性のシルエットをモチーフとしたフォルム。限界まで絞られた脚の上に大ぶりな碗をのせ、内側には重厚な金が焼き付けられています。美と実用の両立、そして「愛情と繁栄」をテーマにし、使う者の心を惹きつける存在感を持ちます。大量生産と効率化の中で忘れられた技術は、ただ保存するだけでは継承されません。人が「美しい」「欲しい」「触れてみたい」と感じることでこそ、技法は次代へとつながっていくのです。この作品を通して、鑑賞者が伝統技法の魅力に触れ、未来への継承を考えるきっかけとなれば幸いです。 
 
■ 抽象彫刻《もののけ魂》(2018年〜) ポリエステルやスチロールなどの人工的な廃材に、養鶏の羽や苔、陶磁を組み合わせて制作された本シリーズは、有機物と無機物、自然と人工、誕生と廃棄といった対極の要素を融合させることで、「もののけ」という境界線が曖昧な生命の魂を表現した抽象彫刻です。自然に属しながらも自然を破壊し、自らの欲望で無機物を生み出していく人間。その曖昧で矛盾に満ちた存在の本質を、他次元と現実世界の境界に浮かび上がるような生命的フォルムとして立ち上げています。DNAやアメーバ、幾何学構造を思わせる形態は、進化や循環、そして存在の不確かさを内包し、鑑賞者に美と憎悪、対立と調和の感情を呼び起こします。 
三つのシリーズは異なる表現手法と素材を用いながらも、いずれも 「時代を写し未来に残せるか」「技術の継承は可能か」「人間は自然か、異物か」という問いを根底に持ちます。 それぞれの問いかけを通じて、過去と現在、そして未来をつなぐ創造の在り方を見つめ直すこと。それこそが、本展の核心です。 
 
[アーティストステートメント]
 私の作品は、「時間の経過」「伝統技術の継承」「人間存在の曖昧さ」といったテーマを軸にしています。 代表作である等身大の陶磁人体彫刻では、生命の痕跡や精神性を永続するかたちとして陶に刻むことを試みています。 また、美濃の伝統技法「ガバいこみ」を現代的に再解釈した器シリーズでは、「使う器」と「観る彫刻」の境界を問い直す作品を展開しています。 近年は《もののけ魂》シリーズに取り組み、人工物と自然物の融合によって、人間の存在の矛盾や曖昧さ、そして自然との関係性を表現しています。 私は、伝統と革新、精神と物質、工芸と美術といった二項の「あわい(狭間)」にこそ、今の表現の可能性があると信じ、制作を続けています。
東金聖
 
[アーティストプロフィール]
東金聖(とうがね ひじり)
 
岐阜県土岐市を拠点に活動する日本人の陶芸家・美術作家。 東京都出身。幼少期にイギリスに留学し、日本の高校卒業後にアメリカで美術を学ぶ。2012年、サンフランシスコのアカデミー・オブ・アート大学卒業。 等身大の陶磁製人体彫刻をはじめ、器作品、抽象彫刻など多岐にわたる表現を展開し、国内外で精力的に活動している。
 
[販売について]
店頭:9月6日(土) 10:30より販売開始いたします。
 
  • 会期 2025年9月6日(土) - 2025年9月26日(金)※終了日は変更になる場合があります。
  • 時間 当店Webサイトをご確認ください。※最終日は17時まで
  • 場所 銀座 蔦屋書店 インフォメーションカウンター前
  • 主催 銀座 蔦屋書店
  • 問い合わせ先 03-3575-7755
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