【展覧会】大岡弘晃
「エンチャントテーブルは新月のかたち」

大岡弘晃の個展「エンチャントテーブルは新月のかたち」を2025年12月20日（土）～2026年1月9日（金）の期間、店内アートウォールにて開催します。

 

大岡弘晃は、日本各地に滞在しながら、その土地のもつ空気や記憶を「場読み」として感じ取り、作品に宿すアーティストです。孤独や不安に襲われた状況のなか、“光”に救われたという経験を子ども時代にもっていた大岡は、2018年に地元宮崎での個展に向けて準備中、箔をのせて完成した自身の作品から発する強い光を感じたといいます。これこそが“命が救われる光”だと覚醒し、以降「自身の作品で誰かの心に光を届けたい」という思いが生まれるようになりました。
本展ではすべて新作にて約30点を発表します。ゲームの世界で武器や防具に魔法の力を付与することをさす「エンチャント」に着想を得て、金箔や絵具を幾重にも重ねながら、生命力を感じさせる光を描き出します。新月を、見えない光が満ち始める始まりの象徴として捉え、希望を感じさせる作品が年末年始の会場を彩ります。

 

《Enchanted（幸運）》32cm×21cm、アクリル絵の具、顔料、糊、金彩箔（2025）

 

[本展に寄せて]
マインクラフトが息抜きの一つである私は、自動生成されたランダムな地形を愛している。
餌をあげる必要のない猫に鱈をあげている。村にはおじさんしかいないがベッドを用意してパンをあげておじさん同士の愛の暮らしを助けたりする。洞窟の横の空洞を進めばアメジストの小さな聖域があったりする。生き物の声も、突然鳴り響く音楽も全部機械のつくったタイミングで僕に届けられるけれど、なんともいえないぬくもりを感じてしまう。中が全く空洞の表面の世界。その場で生成された間にあわせのはりぼてだがとても愛おしい。あたたかい。その場で生成する私の為のはりぼては、愛の一つとしてスポーンしたもの。空のものに存在を感じることができる。現実世界ではおまじないは無いものとされているかもしれない。大切なものにエンチャントはできないと思われても、愛おしいものにおまじないを送り続けたい。無意味かもしれない。でもあるかもしれない。つみかさなって大きなものになるかもしれない。

不可視光体新月に向かって、無いように見えるものをあるものと信じて、
愛おしいあなたたちにエンチャントする、幸運　無限　ご安全に。

大岡弘晃

 

《龍の目（苔むした洞窟）》F10、アクリル絵の具、顔料、糊、金彩箔（2025）

 

[アーティストプロフィール]
大岡 弘晃　Hiroaki Ooka