【展覧会】リュ・ジェユン 個展「非/通過儀礼」

アートウォール
銀座 蔦屋書店 アートウォール(GINZA SIX 6F) 2026年06月27日(土) - 07月24日(金)
リュ・ジェユン 個展「非/通過儀礼」を6月27日(土)より開催。日本、イタリア、韓国の文化や技法が交錯し、終わらない「移動」の状態を陶と空間で表現。

韓国出身で現在京都を拠点に活動するアーティスト、リュ・ジェユンの個展「非/通過儀礼」を2026年6月27日(土)~7月24日(金)の期間、店内アートウォールにて開催します。
 

韓国出身で現在京都を拠点に活動するリュ・ジェユンは、陶芸をベースに独特な質感と色味、油絵具や金など多様な材料を組み合わせ、自身のアイデンティティや物語性を表現してきたアーティストです。故郷や移動、記憶の交錯といったテーマを扱い、現実と過去の間を行き来するような空間的表現に取り組んでいます。

本展のタイトル「非/通過儀礼」は、ある状態から次の状態へと移り変わるプロセス(通過儀礼)が完結せず、その中間の「どちらでもない場所(境界)」にとどまり続ける状態を指しています。作家自身が経験している、終わりなく持続する「移動」の感覚を、陶という物質へと表現する試みです。

本展では、日本で使い続けてきた「土と釉薬」、イタリアで出会った古代の運搬用器「アンフォラの形態」、そして韓国で身につけた剥地や透かし彫りといった「伝統技法」など、異なる文化的な要素が作品に落とし込まれています。これらはひとつの様式へと整理されることなく、完全には結びつかない状態で関係を作り出しています。展示空間は、多彩な平面作品と白黒を基調とした壺型の立体作品が向き合うように構成されます。鳥や卵、灯台といったモチーフが散りばめられたインスタレーションを通じ、平面と立体のあいだで意味が多層的に交錯する感覚を生み出します。

[アーティスト・ステートメント]
私は韓国の島に生まれ、現在は日本を拠点に制作を行っている。私にとってこの「移動」は単発的な出来事ではなく、現在進行形で持続する条件である。本作は、異なる場所のあいだに形成される「関係的状態」を前提に構成されている。
故郷である白翎島(ペンニョンド)は、地理的な孤立の一方で、歴史的には移動と通過が反復されてきた場所である。カトリック宣教師の海上入国経路であり、流刑や避難、定住といった経験が幾層にも重なっている。この島は閉ざされた空間というよりも、複数の流れが交差する「境界の地点」として機能してきた。
このような構造は、アルノルド・ヴァン・ジェネップが定式化した「通過儀礼」の概念と接続される。通過儀礼とは、既存の状態からの「分離」、中間段階である「移行(リミナリティ)」、そして新たな状態への「再編入」という過程を経て、存在の変容を成立させる構造である。ヴィクター・ターナーはこの中間段階をリミナルな状態と定義し、既存の秩序が解体され、新たな秩序が未だ成立していない「閾(しきい)」の状態として説明した。
しかし、本作が扱うのは、この構造が完結しない状態である。分離の後の段階は終結せず、新たな状態への編入は保留されたまま持続する――この条件を、私は「非/通過儀礼」と定義する。
それは、通過儀礼の否定ではない。経路は開かれているが移動は完了せず、儀礼的形式が有効に機能しないまま持続する状態を指す。このとき存在は特定の場所に帰属せず、常に境界にとどまり続ける。この条件は、現在の私の生活環境においても反復されている。日本という場所は到達点ではなく、別の境界状態として機能し、言語や制度、社会関係のなかで、私の位置は継続的に調整され続けている。
本作は、この構造を物質へと翻訳する試みである。
土は時間と圧力が蓄積された物質であり、堆積、乾燥、収縮、亀裂といった過程を経て形態が立ち上がる。そのプロセスにおいて内部と外部は分離されず、表面は常に内部変化の結果として現れる。すなわち形態とは固定された結果ではなく、形成過程の蓄積そのものである。土は結果を規定するための素材ではなく、形成過程を可視化する媒体として機能する。
釉薬もまた、熱と時間に応答する物質である。窯の内部で溶解し、流動し、異なる成分と結合することで、予測不可能な変容が生じる。焼成を経て土と釉薬は一つの形態として現れるが、それは単一の状態への収束ではなく、複数の層が重なり合った「構造」として成立している。
本作は、特定の場所を再現するものではない。完結した到達や固定されたアイデンティティを前提とせず、異なる場所と時間のあいだで持続する「移行の条件」を基盤として、私の表現は構成されている。

リュ・ジェユン

《海の向こうに / Beyond the Sea》H30.8×W25×D4cm, 粘土・釉薬・ラスター・油絵具・酸化焼成, 2026年

[アーティストプロフィール]
リュ・ジェユン(RYU JEYOON / 류제윤)


リュ・ジェユン(RYU JEYOON / 류제윤)

1990年 韓国生まれ
2009年 韓国陶芸高等学校卒業
2013年 ポーランド・ヴロツワフ美術大学交換学生課程修了
2015年 慶煕大学校陶芸学科学士卒業(韓国)
2021年 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程陶磁器専攻修了

現在、京都を拠点に韓国、日本、台湾、中国などで活動

■主な個展
2025年「二つの島を行き来するカモメ」 / 京都 蔦屋書店(協力:YUMEKOUBOU GALLERY)、京都
2025年「人生の端っこで出会う鳥」 / gallery NEUTRAL、京都
2025年「陶影山景」 / LUTRA GALLERY、TSUTAYA、上海、中国
2024年「LIFE MONSTER」 / Marco Gallery、大阪
2024年「山は動く」 / gallery Main、京都
2023年「沼の夢、沼の部屋」 / studio J、大阪
2023年「生きてゆく英雄達」 / Gallery KKI、ソウル
2022年「母国へ送る手紙」 / Gallery SEIN、ソウル

[販売について]
会場展示作品は、6月27日(土)10:30より販売開始。
プレセールスの状況により会期開始前に販売を終了する場合があります。

 

 
  • 会期 2026年6月27日(土)~7月24日(金)
  • 時間 10:30~21:00※最終日は18時まで
  • 場所 銀座 蔦屋書店 アートウォール(GINZA SIX 6F)
  • 主催 銀座 蔦屋書店
  • 協力 YUMEKOUBOU GALLERY
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