【展覧会】植田工 個展
「Sandlot:Organic Alternation / だす」

FOAM CONTEMPORARY|アート
FOAM CONTEMPORARY 2026年10月10日(土) - 11月04日(水)
植田工の個展「Sandlot:Organic Alternation / だす」を10月10日(土)より開催。新旧作品と公開制作を通して、変わるものと変わらないものを見つめる。

植田工の個展「Sandlot:Organic Alternation / だす」を2026年10月10日(土)~11月4日(水)の期間、店内アートスペースFOAM CONTEMPORARYにて開催します。

銀座 蔦屋書店では3年ぶりとなる植田工の個展です。今回は新作と旧作を織り交ぜ、植田の思考と表現の変遷を辿るアーカイブのような展示を行います。作家の手により展示設営された会場において、時間をまとった点在する作品が、やがてひとつの全体像を形づくる可能性を探ります。会期中は、会場に作業台を設置し、作家が公開制作を実施。その過程も展示の一部として提示します。テクノロジーが人間の思考を超えつつある時代に、人間が大切にすべきものや自身が守りたいものを問い直しながら、変化し続け、制作を続ける植田の現在を紹介します。

[本展によせて]
生まれた時から、世界中の土地は誰かに所有されていて、いまもどこかで縄張り争いや奪い合いが繰り返されている。誰もが世界の不条理や理不尽から離れて自由に生きていられる場所はいったいどこにあるんでしょう。

生まれていつのまにか誰に頼まれたわけでもないのに、家の壁に、折りチラシの裏に、与えられた紙の上に線を引き、絵を描き始めている。そこから文字や数字を覚える訓練がはじまると、絵も文字も一緒くただったはずの描くという性質がどうも変わったような気がします。いつのまにか描くことと書くこととに分けてしまったような感じといいますか。
 
文字や数字の抽象的な記号から具体的なイメージに置き換えることがとても難しく、作文や計算をすることがとても苦手でした。これは今も自分が苦しむ何か致命的な欠陥に感じますが、そんな授業時間の苦痛からの逃避が、教科書とノートの隙間の落書きだったのだろうと思います。ただただ目の前に何かイメージを描くこと自体が楽しくて、でも頭の中にある漠然としたイメージにはだいぶ遠くて。その隙間はパラダイスだったのかユートピアだったのか。
 
そのうちにお金がなければゴミ置き場からベニヤ板を拾ってチョークで描いていました。自分で用意した 1 枚のキャンバスや、A4 のコピー用紙、ベニヤ板、この広い地球の中でせめてこの画面の上だけくらいは好きに生きてちょうだいよと自分自身に言い聞かせています。
 
最近、近所に更地が増えてきてるのですが、買い手のつかない空き地には雑草がどんどん生えてくるのを目にします。植物の生命の強さを見せつけられています。
 
展示紹介 ――「植田工の作品解説」
 
《自画像(卒業制作)》oil on canvas、2005年
『即興性』即興性といっても、そもそも絵は描いている瞬間の連続の結果なので、絵は即興の産物であるといえる。絵の制作のプロセスはその時々で違うが、描いている最中に襲ってくる様々な声を払いのけながら、描き現れる絵の状態の瞬間瞬間の判断で描きぬける(駆け抜ける)結果を受け止める。卒業制作に添える自画像は藝大の伝統となっていて唯一大学に残してもらえる絵だけれども、卒業制作の提出日の朝に描き始め4年間のことを数分以内で決着をつける、そういう覚悟を持つことが大事だと、その場所と時間で学んだ。
 
 
《A Mother And A Child》72.7×60.6cm(F20)、acrylic on canvas、2026年
『母子像』10年前、もし神様が人生の最後に1枚だけ絵を描く時間を与えてくれたなら自分は何の絵を描くだろうと思わされることがあった。その時、無心で描いたら、母子の絵を描いていた。そのときに自分が人生で向かい合うモチーフはこれなんだと思わされて以来、母子の絵が自分のモチーフの中心になったが、描き続けていると人間は様々な面が複雑に絡み合い、1枚で収まるものでもないことに気付かされる。描き続けるうちに、マグダラ、パンドラ、セイレーン、人魚などのモチーフが現れてきた。1枚に収まらないならばその上に重ねてしまえ、ということにも繋がっている。
 
《Untitled(王女と王子と犬と車輪)》182×182cm、acrylic,oil pastel, chalk on plywood、2012年
『ベニヤ作品』 ベニヤは紙のつぎに描きやすい支持体で、木炭やチョークやオイルパステルのような描画材との相性もよく、doodle的な描きかたになりやすい。一発描きで潔く仕上げるのには丁度よく、しかし保存状態の保証もない。アートというのは一回性の出来事が大事なので、作品が経年劣化を起こすこと、その変化も大事な要素と捉えている。変化の中に永遠性があり、変わることの中に変わらないものが見えてこないだろうか。枯れること、劣化すること、老化することにみずみずしさを見る。日本の前衛の基本のキではないだろうか。
 
 
《Untitled》72.7×60.6cm(F20)、oil, acrylic on canvas、2020年
 
《MILK In A Pitcher On The Woman》72.7×60.6cm(F20)、oil, acrylic on canvas、2023年
『描き重ね』 一旦は完成した絵に別の絵を描き重ね、図像を積層させることでキャンバスの中の時間とストーリーを耕す。時間を経て表面が経年劣化し、剥落や退色したとき下に隠れていた過去が未来に反転する、過ぎ去る時間の性質に委ねている。発想のきっかけは大学時代の古美術研究旅行で高松塚古墳を訪れたときのこと。埋葬されていた壁画が後世に発掘され、空気に触れて酸化して色が剥落してしまったというようなことを聞いて、この世界に隠された大事なものを人が見ようとしたらその姿が消えてしまうというのは美しいことだなと思った。時代や時間の淘汰に耐え存在し続けられる生命力のあるものにしたいという気持ちはある。
 
 
《景色》29.7×21cm(A4)、pencil, color pencil on paper、2007年
『ドローイング』 無心で描ける状態がベストだけれども、無心になれているかどうかはかなり怪しいが、紙に鉛筆の落書きが一番楽しい。鉛筆ネイティブなので絵筆よりも戸惑いが少なく筆致が出やすい。身体が楽に扱える感じは良し悪しだと思っているが、紙に鉛筆くらい自由にキャンバスに絵筆で描くようにと心がけている。
 
[アーティストプロフィール]
植田工(Takumi Ueda)
 
1978年 東京生まれ
東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業。
東京藝術大学大学院美術学部美術解剖学 修了。(株)オリエンタルランドを退職後、科学者・茂木健一郎氏に師事しアーティストとしての活動を始める。絵画、イラスト、デザイン、映像、コラムなど様々な表現を展開している。

■近年の展覧会
2026年 「A Life of Drawing」OIL by 美術手帖ギャラリー(東京)※須田日菜子との二人展
2026年 「此岸のハナ」調理室池田(神奈川)
2025年 「fixpoint」六本木 蔦屋書店(東京)
2025年 「13年ののち-from 学芸大学 to anywhere」RiseGallery(東京)
2024年 「Among The Daughters Of The Air」六本松 蔦屋書店(福岡)
2024年 「Cultivate_ウラハラに耕されるもの」YOD TOKYO(東京)
2023年 「Punctuation Marks」FOAM CONTEMPORARY(東京)
2023年 「ある風景の中にある風景」ある風景(大分)
2022年 「infantile」A/D GALLERY(東京)
2022年 「On Underlying Images」調理室池田(神奈川) 他
■その他の主な活動
2025年 池上高志監督 監修『生命進化の樹』製作(「PASONA NATUREVERSE」/大阪・関西万博)
2021年 『植田工の展覧会のミカタ』文・絵 植田工(オデッセー出版) 他
 
[販売について]
展示作品は、会場にて10月10日(土)11:00より販売を開始します。
※プレセールスの状況により会期開始前に販売が終了することがあります。
 
  • 会期 2026年10月10日(土) - 11月04日(水)
  • 時間 11:00~20:00  ※最終日のみ18:00閉場
  • 場所 FOAM CONTEMPORARY
  • 主催 銀座 蔦屋書店
  • 協力 株式会社Art Republic
  • オープニングレセプション 2026年10月10日(土)17:30~19:00
  • お問い合わせ info.ginza@ccc.co.jp
mail

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