【展示】江場琳觀 作品展

日本文化
2023年03月18日(土) - 04月07日(金)
仏師 江場琳觀(えばりんかん)の新作を含む、20点以上の作品を展示する個展「江場琳觀 作品展」を、銀座 蔦屋書店インフォメーションカウンター前にて、2023年3月18日(土)〜4月7日(金)の期間に開催いたします。
 
江場琳觀(えばりんかん)は、京都の仏師の流れをくみ、寺院に納める仏像を中心に制作をおこなっています。伝統的なルールに則った仏像を制作する⼀⽅、⾃⾝の作品においては、現代の美意識を反映させた創作にも意欲的に取り組んでいます。 
⻑い時をかけて洗練され、「様式美」となった仏像表現。そこから⼀歩踏み込み、彼ならではの解釈と情感を添えるスタイルは、⼀⾒伝統的であるようでいて、既存の仏像には⾒られない特有の世界観を構築しています。
 
前回の展示から展開が始まった「球体佛」シリーズは、内部をくり抜いた球体に、透し彫りの窓を開け、内部に仏像を納め、その球体を蓮華座上に安置した江場琳觀のオリジナル作品です。
まるで寺院の堂宇の中にまつられた仏像を小型化したかのような球体佛は、従来のかたくるしい供養の概念から離れ、暮らしの中に馴染む祈りの時間を生み出しています。
その優美な造形は、仏壇をはじめとした供養のための装置のイメージを、「引き継がなければならないもの」から「故人から受け継ぐ美しい贈り物」へと変える可能性を秘めています。

本展では、球体佛のほか、頭に十一の仏面をのせた十一面観音、密教において最高尊格とされる大日如来など新作を含む20点以上の作品を展示します。
現代の仏像表現の新たな可能性を切り拓く仏師 江場琳觀の世界をどうぞご堪能ください。
 
[アーティストプロフィール]
⼤仏師 江場 琳觀(えば りんかん)

1973年 愛知県に⽣まれる
1992年 松久宗琳佛所に⼊⾨
2001年 松久宗琳佛所を独⽴、雅号「琳觀」とする。江場佛像彫刻所に合流
2004年 「〈特別展〉〜煩悩消滅の願いを込めて〜 江場琳黌・琳觀展」名都美術館にて開催
            法多⼭尊永寺(静岡県)弘法⼤師像開眼に際し、⾼野⼭真⾔宗 資延敏雄管⻑より褒賞を賜る
2005年 愛・地球博「1000年スパンのものづくり」〜仏像と森〜と題し、会場内で仁王像の制作実演をおこなう。
2013年 「〈特別展〉仏像彫刻の美 江場琳黌 琳觀」名都美術館にて開催
2014年 江場佛像彫刻所 代表就任
2016年 天瑞⼭⼤安寺(北海道)釈迦三尊像開眼に際し「⼤仏師」号を拝受
2019年 城向⼭照光寺(⻑野県)阿弥陀如来像開眼に際し、真⾔宗智⼭派 智積院 ⼩峰⼀允管⻑より表彰を賜る
2021年 「江場 琳觀 作品展」銀座 蔦屋書店にて開催
2023年 萬年山青松寺(東京都)弥勒仏造顕計画 始動
 
[アーティストステートメント]
本物の仏像が彫りたい。
とにかくそればかりを思ってきた。
僭越(せんえつ)を重々承知でもの申せば、鎌倉時代以降の仏像はコピーにコピーを重ねて形骸化し、 “創意”は霧散してしまったと言っても過言ではない。そして、定朝や運慶・快慶を完全コピーしても意味は無い。たとえ高い精度でコピーを成したとしても、やはり借り物なのである。
では私たちは古典から何を抽出し、何を生み出すべきなのだろうか。
私はかつての運慶・快慶のように、その時代の美意識を、宗教観を反映させ、空気感をまとった仏像を残したいものだと願い続けている。自分の作品が、定朝や運慶・快慶のように“創意”にあふれ、仏像の正統として変容していく事に憧れるのだ。
「自我を殺して、仏性を彫れ。」
たくらみや自己の表現に拘泥してはならない。という、仏師たる自分への戒めの言葉。
私はこの言葉を胸に、聖なる像をお迎えしたい。そう願っている一方で、聖と俗、無我と我執、それらを超え、むしろ鑑賞者が感情を追える手がかりを、ストーリーを、仏像に籠めようとしている。
たとえ一介の人の感情が俗なものだとしても、その節度をうかがい、「品よく、美質へと結晶させる。」それが叶えば、形骸化した入れ物の内面を補完することができるかもしれない。
恐れ多くも、そう、思うのだ。
 
大仏師 江場 琳觀 拝
 
[作品紹介]
・「十一面観音(じゅういちめんかんのん)」※メインビジュアル写真
950×400×400mm 檜 木地仕上げ 1995
頭に十一の仏面を頂く観音である。頂上に如来面、正面は慈悲の心を表す菩薩面、左側に悪をこらしめる瞋怒面、右側には牙を出し善行を見つめている狗牙上出面、そして後方には悪行に対し大きな笑い声を上げている大笑面が配される。
アトリビュート(儀軌により定められた持物、その物の持ち主を特定する役割を果たす)として、左手に蓮華を挿した水瓶を持ち、右手は垂れて数珠を持つのが一般的であるが、この像はベルリン東洋美術館所蔵の十一面観音像(鋳造鍍金)の姿にヒントを得て、造像した。
琳觀が修行を始め4年目の展覧会出品作で、それまでの古典の模刻を超えたオリジナルアレンジの最初の作品であり、様式美を踏襲しながら取り込んだ動勢豊かなリアリズムは、最初期の作品でありながらある種の叙情を表しており、その後の琳觀の作風を方向付ける記念碑的な作品となっている。

・「球体佛 –誕生仏-(きゅうたいぶつ —たんじょうぶつ— )」
215×175×175 楠 木地截金仕上げ 2023
 
球体佛とは、内部をくり抜いた球体に、透し彫りの窓を開け、内部に仏像を納め、その球体を蓮華座上に安置した、江場琳觀がオリジナルに創意した作品である。
通常の仏像ならば光背にあしらわれる透かし紋様を、本体を三方から囲む窓に配置し、頂上の明かりとりから差し込んだ光は球体内部にめぐらされた金箔に反射し、中央の仏像を包む光となり、透かし彫りから周辺へと木漏れ日のように拡がってゆく。
本像では台座と蓮台をつなぐ「敷き茄子」と呼ばれる部位に、円筒状のクリスタルを採り入れており、〈玻璃の敷き茄子〉と呼んでいる。玻璃とは仏教において七宝の一つとされ、水晶・ガラスを指し、吸い込まれるように見入ってしまう光と浮遊感は、あたかも俗世界とほとけのおわす世界との境界を思わせる。
ある御寺院からの依頼で、「視覚の不自由な方に触っていただけるような、球体に収まった仏像を考案してほしい。」という要望から、「球体仏」のプロジェクトは始動した。
意匠を勘案するうちに、球体に収められた仏像は、寺院の堂宇のなかに祀られた仏像のイメージに合流し、透かし文様があしらわれた窓は「平等院鳳凰堂の対岸から阿弥陀如来を拝む窓」を想起させたという。琳觀は、はたと気がつく。「この試みは、寺院を小型化し、身近に置く。これこそは厨子を生みだし、仏壇へと転じさせた発想に他ならない」と。
琳觀の創意による〈球体仏〉は、その美しさを愛でることはもちろん、従来のかたくるしい供養の概念から離れ、暮らしの中に馴染む祈りの時間をも生み出している。
仏像の座る蓮台の内部には小さな空間が設けられ、故人ゆかりの品などを納める仕掛けが施されており仏壇に変わる新たな供養形態として、想い出とともに引き継がれていく。「球体仏」は、よりパーソナルな礼拝対象として、現代の美意識を反映させた仏像との暮らしを提案している。
〈球体仏〉〈玻璃の敷き茄子〉ともに(意匠登録済み)

・「大日如来(だいにちにょらい)」
 850×520×526mm 檜 木地仕上げ 2004
 
大日如来は密教において最高尊格とされており、金剛界・胎蔵界、両界に大日如来が存在し、それぞれ印相が異なる。如来でありながら、菩薩に近い坐像で表現されることが常であるが、これは宇宙の最高最尊の実体として、王者の姿がふさわしいとの考えに基づく。
本像においては、瓔珞(ようらく)などの装身具の絢爛豪華な一面を強調しているほか、画像に見られる円相(光背の外周に描かれる光の輪)の立体化を初めて試みた。
 
[江場佛像彫刻所とは]
江場佛像彫刻所は京都の仏師の流れをくみ、脈々と受け継がれてきた仏像のかたちや精神性を⼤切にしながら、江場 琳觀(えば りんかん)が中⼼となって仏像制作を総合的に⼿がける⼯房です。
集団で制作する仁王像のような巨像から、⼿のひらにおさまる懐中仏(かいちゅうぶつ)まで、様々な⼤きさの彫刻を制作しています。また、分業されることの多い彩⾊、截⾦までを⼯房内で⼀貫して⾏い、施主や仏師の制作意図を細部にまで反映させる体制をとっています。
近年では、仏像の設置位置や照明といった安置環境の監修や、障壁画の制作、須弥壇、天蓋の設計など空間構成にも展開しており、仏像を中⼼とした現代の礼拝空間に幅広く関わっています。 
 
[展示詳細]
江場琳觀 作品展
 
会期:2023年3月18日(土)〜4月7日(金)※終了⽇は変更になる場合があります。
時間:当店Webサイトをご確認ください。※最終日は17時閉場。
会場:銀座 蔦屋書店インフォメーションカウンター前
料金:無料
主催:銀座 蔦屋書店
お問い合わせ:03-3575-7755(営業時間内) / info.ginza@ccc.co.jp
 
<作家在廊日>
3月18日(土)13:00~16:00
3月21日(火)15:00~18:30
 
※3月28日追記
4月2日(日)   13:00~16:00
4月7日(金)   14:00~ 18:00
 
[販売について]
作品は銀座 蔦屋書店店頭および「蔦屋書店オンラインストア」にて3月18日(土)10時30分より、販売いたします。
※作品はプレセールスの状況により展覧会会期開始前に販売が終了することがあります。
 
 
\オンラインストアで購入する/
2023年3月18日(土)10:30~販売開始
 
 
  • 会期 2023年3月18日(土)〜4月7日(金)※終了⽇は変更になる場合があります。
  • 時間 当店Webサイトをご確認ください。※最終日は17時閉場。
  • 会場 銀座 蔦屋書店インフォメーションカウンター前
  • 料金 無料
  • 主催 銀座 蔦屋書店
  • お問い合わせ 03-3575-7755(営業時間内) / info.ginza@ccc.co.jp
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