蔦屋書店
    が日本各地の店舗で地域のものづくり文化を活かした「
    本にまつわるおみやげ
    」をつくるために、異なるジャンルの
    二人の作家
    、プロダクトデザイナーの小宮山洋、写真家のGottingham
    が中心となり、新しいR&Dの試みとして展開するプロジェクト
    東京の代官山
    代官山 蔦屋書店のある東京の下町では紙を扱う仕事をしている人が少なくない。周囲に
    加工業
    、印刷業
    を営む人々が多くいるのは、古くから出版にまつわる会社が都心に集中しているからだ。二人が訪ねたのは、江東区にある製本業を営む
    会社。
    製本のたのしみをつたえる会社
    社長は、
    地域
    にある紙加工会社の若社長で結成した印刷加工連
    のリーダー的存在。独自の視点から、紙加工の未来を探っている。工場では断裁、
    紙折
    丁合
    綴じ
    など、様々な工程を経て加工されるなかで、常に大量の紙が運搬されている。二人は、各工程の流れとそれに合わせて設計された特殊な運搬車両に着目し、印刷業界における物の移動や取引、業種間のヒエラルキーを
    リサーチ
    した。
    ここでは「製本」と「紙」をテーマにした
    おみやげ
    を開発した。
      
    佐賀の武雄
    蔦屋書店 武雄市図書館のある佐賀県は、有田・伊万里・唐津など古くから陶磁器の生産として有名。二人が訪ねたのは、佐賀を代表する伝統工芸である有田焼の
    陶園。
    有田焼の陶園
    そのルーツは江戸時代から続く窯元である。現在は総合商社としてデザイナーとのコラボレーションで作り出した現代的なプロダクトの製造、若手作家の支援など、新しい有田焼の文化の創造に取り組んでいる。
    成型
    焼成
    釉薬掛
    など、各工程に特化した企業が同社のような問屋とつながることで、経済の波の中で有田焼がビジネスとして生き残れる体制が出来上がったという。二人は窯元、そして個人作家の工房を訪ね、両者の制作環境や使われる道具などの比較をきっかけに、量産品と個人作品、陶芸産業に色々な形で関わる家族間の関係性を
    リサーチ
    した。
    ここでは「陶器」と「本」をテーマにして
    おみやげ
    を開発した。
      
    宮城の多賀城
    蔦屋書店 多賀城市図書館のある宮城県、その県庁所在地でもある
    仙台
    は、東北地方最大の都市であり、若い人が多く活気がある
    。街を歩いていると不思議と古着屋さんが目に触れる。二人が訪ねたのは、シルクスクリーンによって手作りのTシャツを作る
    工房。
    ハンドメイドTシャツを作る工房
    京都の染工で修行した優れた職人さんたちが丁寧な仕事をしている。東日本大震災で工房が全壊したそうだが、見事に乗り越えた。この地域には震災をきっかけにして若い世代が街を盛り上げて行こうとするエネルギーが溢れており、この
    工房
    丁寧
    に作られた
    1点1点
    のTシャツにも、その心意気が込められている。二人はここで働く人々のものづくりへの動機を聞き取り、政令指定都市に集まる若者たちの移住傾向や、古着などのストリートカルチャー、ヴィンテージの価値について
    リサーチ
    した。
    ここでは「服」と「本」をテーマにして
    おみやげ
    を開発した。二人の作家と蔦屋書店
    それら
    出店地の人々とつくりあげた、いくつかのおみやげ。
    おみやげ
    おみやげづくりを
    探求する
    旅はこれからも続きます。二人が
    目指しているのは
    、美しく機能的であるだけでなく、使う人のライフスタイルをより豊かに楽しくするものづくり。このプロジェクトの特徴は、これらの
    「本にまつわるおみやげ」の開発だけではありません。
    アーティスティック・リサーチ
    二人の作家がアーティスティックな手法を用いて、ものづくりの現場やその土地の背景にあるものごとを捉え、分析し、
    表現
    する
    という手法を通じて、地元のものづくりの「ものがたり」も考察しています。
    二人の眼が
    現場で捉えたことや、人々と交わした言葉がつながり、
    知のストレージ
     (おみやげ作り、リサーチ、展示、書籍) 
    となっていきます。
    本サイトは
    ものづくりのものがたりを探す
    の記録です

    March 2017