だしはひきだし
だしはひきだし
いろんな味をひきだす
和食は引き算
だから控えめにひきだす
いろんな味をひきだす
和食は引き算
だから控えめにひきだす
▲左から、書籍は、『野菜だし』、『瀬戸内「やまくに」のいりこで毎日おかず』、『野崎洋光が考える美味しい法則』、『丸元淑生のシステム料理学』。
商品は、「いりこ」、「パリパリ焙煎いりこ」。
これらの書籍4点と商品2点をご紹介します。
●「だしはいらない。水で十分」の理由
まず、南麻布「分とく山(わけとくやま)」の野崎 洋光・総料理長の書籍をご紹介します。
料理長の今までの出版物の総集編と言える一冊です。
◎『野崎洋光が考える美味しい法則』
(野崎 洋光・著、池田書店・刊 、1,600円(税別))
「料理は簡単。小学校3年生でもできる」と書く著者は、
「日本のだしほど簡単なものはない」と言い、
「ポットの湯で作るかつおと昆布のだし」と、「漬けておくだけの煮干しだし」を紹介しています。
商品は、「いりこ」、「パリパリ焙煎いりこ」。
これらの書籍4点と商品2点をご紹介します。
●「だしはいらない。水で十分」の理由
まず、南麻布「分とく山(わけとくやま)」の野崎 洋光・総料理長の書籍をご紹介します。
料理長の今までの出版物の総集編と言える一冊です。
◎『野崎洋光が考える美味しい法則』
(野崎 洋光・著、池田書店・刊 、1,600円(税別))
「料理は簡単。小学校3年生でもできる」と書く著者は、
「日本のだしほど簡単なものはない」と言い、
「ポットの湯で作るかつおと昆布のだし」と、「漬けておくだけの煮干しだし」を紹介しています。
▲「ポットの湯で作るかつおと昆布のだし」を漉したもの(左)と「漬けておくだけの煮干しだし」の煮干しを引き上げたもの(右)。
特に煮干しだしは簡単で、水に煮干しを入れて2~3時間おくだけ!
「上品な味にしたいならば、煮干しの頭や内臓をとりますが、そのままでもかまいません」とさえ書かれています。
「だしはいらない。水で十分」とも著者は言います。
その理由は、煮物やお味噌汁の素材にうまみがあれば水で十分、
うまみが少なければ「だしで補ってあげればいい」ということなのです。
一番簡単な方法は“水出し”のだし。
煮干しと同様、昆布も水にぽんと入れて冷蔵庫に入れておくだけ。
ただし、2~3時間以上、24~48時間以内に使い切りましょう(美味しさと安全のため)。
▲水各150ccに、左の瓶には煮干し3g(サイズの大きい大羽(8~10cm)なら約2本)を、、右の瓶には昆布1~2g(1~2cm角)を入れておくだけ。(各一人分・要冷蔵)
だしが濃いときには水を足して使います。
野崎料理長も「そういう場合は」「水を入れる」と書いています。
●いりこは煮干しと同じもの
主に関東では「煮干し」、関西では「いりこ」と呼ばれています。
カタクチイワシの稚魚を煮て乾燥させたものです。
つまり、「いりこ」と「煮干し」は同じものなのです。
いりこの珍しいレシピ本をご紹介します。
◎『瀬戸内「やまくに」のいりこで毎日おかず』
(ワタナベ マキ・著、女子栄養大学出版部・刊、 1,200円(税別))
著者のワタナベ マキさんは、「いりこの奥行きのある味」を家庭でも味わっていただきたいと、レシピを一冊まるまるいりこだけでまとめました。
いりこの可能性が無限に広がる一冊です。
代官山 蔦屋書店の料理コーナーでは、瀬戸内「やまくに」の「いりこ」も取り扱っています。
代官山 蔦屋書店の料理コーナーで取り扱っている「いりこ」はサイズの大きい「大羽(8~10cm)」で、重さは2尾で約3gです。
水150ccで小さなお碗1杯のお味噌汁ができます。
(ブログ『味噌汁LOVE』2017年5月30日付もご参照下さい。)
もし、水150ccにいりこを2尾使うなら、1袋200gで約66杯のお味噌汁ができます。
一日2杯分のだしを作るなら、この商品は約1か月分ということになります。
頭を付けたままの「いりこ」でとっただしは、味噌汁や醤油味の煮物に使えば問題ありません。
一方、「パリパリ焙煎いりこ」は、すでにはらわたとエラを手作業で丁寧に取り除き、弱火で時間をかけてパリパリに焙煎したもの。
化学調味料無添加の自然食品です。
こちらは下処理不要のため、すぐに使えて時短になります。
下処理済みされている「パリパリ焙煎いりこ」でとっただしは、生臭さが全くなく、上品なだしになります。
「ゼイタクいりこだし」と著者が名づけただしは、「いりこのうまみ『イノシン酸』に加え、昆布の『グルタミン酸』、干ししいたけの『グアニル酸』を加えた贅沢だし」です。
▲「ゼイタクいりこだし」でとっただしと、材料3種の昆布といりこと干ししいたけ。
(ここでは、瀬戸内「やまくに」の「いりこ」、大分のどんこ、羅臼昆布を使いました。)
このだしはこれだけでも滋養の一杯になります。
●昆布と野菜で「野菜だし」
「かんたんでおいしいは成立する」と言う次の著者は、鎌倉で野菜料理の店「なると屋+典座」を営みながら、料理教室も開く方です。
「野菜をより楽しくよりおいしく食べてもらえますように」と願う著者の一冊をご紹介します。
◎『野菜だし』
(イチカワ ヨウスケ・著、主婦と生活社・刊 、1,400円(税別))
「『野菜だし』作りに必要なものは、野菜と昆布と水」で、
「カツオ節もイリコもいりません」と著者は言います。
「『野菜だし』を知れば、毎日の食事作りがらくになる」
「らくになればキッチンに立つのが楽しくなる」
「ぼくは全力でこの本をつくりました」
という言葉を信じて、楽に料理しましょう。
▲「野菜をさっとゆでて、昆布水に浸す『野菜だし』」の章より、「ほうれん草の焼き海苔和え」のレシピを少し形を変えて試作しました。
小さな一皿でも丁寧に作ると、
きちんと食事を摂った実感が湧きます。
●かつお節削りは最高の贅沢
最後に、1982年4月に書かれたものの文庫としての復刊をご紹介します。
◎『丸元淑生のシステム料理学』(ちくま文庫)
(丸元 淑生・著、筑摩書房・刊 、780円(税別))
発行当時ベストセラーになり、その後ロングセラーとなりました。
故・丸元 淑生氏は、この一冊より以降、現代栄養学から見る家庭料理研究家として著作を重ねました。
娘さんの丸元 喜恵さん(料理家)があとがきを執筆しています。
そこで『丸元淑生のシンプル料理』(1993年刊)の一文を引用。
「戦後、女性がかつお節削りを追放したと書いたが、それは大きな誤りであったことに気づいた」
「追放したのは、鉋(かんな)の刃を研がなくなった男たちのほうなのだ」
お父様は、「熱心にかつお節削り器の手入れをして」いらしたそうです。
▲かつお節削り器(家庭用と携帯用)と、かつお節と、削ったかつお(すべてスタッフ私物)。
かつお節の削り断面は、美しいルビー色で、撫でるとすべすべの大理石のよう。
削りたてのかつお節は、それだけで旨いご馳走です。
香りが全然違います。
コーヒー豆をひくように、自分でかつお節を削ると心から豊かな気持ちになります。
かつお節は食べ物だ!と感じるひとときです。
●だし大集合のシフォンケーキ
最初にご紹介した野崎料理長は、前述の著書に「トマトジュースも豆乳も」だしになると書いています。
これらにも「うまみ」があるのです。
そこで、だし大集合のシフォンケーキと釜飯を作ってみました。
▲だし入りシフォンケーキにだしとトマトジュースと豆乳のゼリー(アガーを使用)を添えました。
米粉と米油のシフォンケーキのほのかな甘さに、うまみのゼリーたちがしっとりとよく合います。
大豆入りご飯はだしで炊き、昆布とかつお節、卵焼きに米油を使いました。
どちらも栄養も滋養も抜群です。
おなかも心も満足します。
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【紹介書籍】
1.『野崎洋光が考える美味しい法則』
(野崎 洋光・著、池田書店・刊)
1,600円(税別)
・オンラインストアはこちら
2.『瀬戸内「やまくに」のいりこで毎日おかず』
(ワタナ ベマキ・著、女子栄養大学出版部・刊 )
1,200円(税別)
・オンラインストアはこちら
3.『野菜だし』
(イチカワ ヨウスケ・著、主婦と生活社・刊 )
1,400円(税別)
・オンラインストアはこちら
4.『丸元淑生のシステム料理学』(ちくま文庫)
(丸元 淑生・著、筑摩書房・刊 )
780円(税別)
・オンラインストアはこちら
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だしはなんて控えめな存在でしょう。
なのにふくよかな滋養がいっぱいで、
食材を引き立て、あるいは調和し、
体にしみ込んでいきます。
簡単だしも、丁寧だしも、上級品に変わりはありません。
ひょいと気軽に楽しみましょう。
料理コンシェルジュ
澤峰子
特に煮干しだしは簡単で、水に煮干しを入れて2~3時間おくだけ!
「上品な味にしたいならば、煮干しの頭や内臓をとりますが、そのままでもかまいません」とさえ書かれています。
「だしはいらない。水で十分」とも著者は言います。
その理由は、煮物やお味噌汁の素材にうまみがあれば水で十分、
うまみが少なければ「だしで補ってあげればいい」ということなのです。
一番簡単な方法は“水出し”のだし。
煮干しと同様、昆布も水にぽんと入れて冷蔵庫に入れておくだけ。
ただし、2~3時間以上、24~48時間以内に使い切りましょう(美味しさと安全のため)。
▲水各150ccに、左の瓶には煮干し3g(サイズの大きい大羽(8~10cm)なら約2本)を、、右の瓶には昆布1~2g(1~2cm角)を入れておくだけ。(各一人分・要冷蔵)
だしが濃いときには水を足して使います。
野崎料理長も「そういう場合は」「水を入れる」と書いています。
●いりこは煮干しと同じもの
主に関東では「煮干し」、関西では「いりこ」と呼ばれています。
カタクチイワシの稚魚を煮て乾燥させたものです。
つまり、「いりこ」と「煮干し」は同じものなのです。
いりこの珍しいレシピ本をご紹介します。
◎『瀬戸内「やまくに」のいりこで毎日おかず』
(ワタナベ マキ・著、女子栄養大学出版部・刊、 1,200円(税別))
著者のワタナベ マキさんは、「いりこの奥行きのある味」を家庭でも味わっていただきたいと、レシピを一冊まるまるいりこだけでまとめました。
いりこの可能性が無限に広がる一冊です。
代官山 蔦屋書店の料理コーナーでは、瀬戸内「やまくに」の「いりこ」も取り扱っています。
▲左は「いりこ」(200g、830円(税別)、
右は「パリパリ焙煎いりこ」(70g、830円(税別)。
代官山 蔦屋書店の料理コーナーで取り扱っている「いりこ」はサイズの大きい「大羽(8~10cm)」で、重さは2尾で約3gです。
水150ccで小さなお碗1杯のお味噌汁ができます。
(ブログ『味噌汁LOVE』2017年5月30日付もご参照下さい。)
もし、水150ccにいりこを2尾使うなら、1袋200gで約66杯のお味噌汁ができます。
一日2杯分のだしを作るなら、この商品は約1か月分ということになります。
▲「いりこ」でとっただしと、「いりこ」。
頭を付けたままの「いりこ」でとっただしは、味噌汁や醤油味の煮物に使えば問題ありません。
一方、「パリパリ焙煎いりこ」は、すでにはらわたとエラを手作業で丁寧に取り除き、弱火で時間をかけてパリパリに焙煎したもの。
化学調味料無添加の自然食品です。
こちらは下処理不要のため、すぐに使えて時短になります。
▲「パリパリ焙煎いりこ」でとっただしと、「パリパリ焙煎いりこ」。
下処理済みされている「パリパリ焙煎いりこ」でとっただしは、生臭さが全くなく、上品なだしになります。
「ゼイタクいりこだし」と著者が名づけただしは、「いりこのうまみ『イノシン酸』に加え、昆布の『グルタミン酸』、干ししいたけの『グアニル酸』を加えた贅沢だし」です。
▲「ゼイタクいりこだし」でとっただしと、材料3種の昆布といりこと干ししいたけ。
(ここでは、瀬戸内「やまくに」の「いりこ」、大分のどんこ、羅臼昆布を使いました。)
このだしはこれだけでも滋養の一杯になります。
●昆布と野菜で「野菜だし」
「かんたんでおいしいは成立する」と言う次の著者は、鎌倉で野菜料理の店「なると屋+典座」を営みながら、料理教室も開く方です。
「野菜をより楽しくよりおいしく食べてもらえますように」と願う著者の一冊をご紹介します。
◎『野菜だし』
(イチカワ ヨウスケ・著、主婦と生活社・刊 、1,400円(税別))
「『野菜だし』作りに必要なものは、野菜と昆布と水」で、
「カツオ節もイリコもいりません」と著者は言います。
「『野菜だし』を知れば、毎日の食事作りがらくになる」
「らくになればキッチンに立つのが楽しくなる」
「ぼくは全力でこの本をつくりました」
という言葉を信じて、楽に料理しましょう。
▲「野菜をさっとゆでて、昆布水に浸す『野菜だし』」の章より、「ほうれん草の焼き海苔和え」のレシピを少し形を変えて試作しました。
小さな一皿でも丁寧に作ると、
きちんと食事を摂った実感が湧きます。
●かつお節削りは最高の贅沢
最後に、1982年4月に書かれたものの文庫としての復刊をご紹介します。
◎『丸元淑生のシステム料理学』(ちくま文庫)
(丸元 淑生・著、筑摩書房・刊 、780円(税別))
発行当時ベストセラーになり、その後ロングセラーとなりました。
故・丸元 淑生氏は、この一冊より以降、現代栄養学から見る家庭料理研究家として著作を重ねました。
娘さんの丸元 喜恵さん(料理家)があとがきを執筆しています。
そこで『丸元淑生のシンプル料理』(1993年刊)の一文を引用。
「戦後、女性がかつお節削りを追放したと書いたが、それは大きな誤りであったことに気づいた」
「追放したのは、鉋(かんな)の刃を研がなくなった男たちのほうなのだ」
お父様は、「熱心にかつお節削り器の手入れをして」いらしたそうです。
▲かつお節削り器(家庭用と携帯用)と、かつお節と、削ったかつお(すべてスタッフ私物)。
かつお節の削り断面は、美しいルビー色で、撫でるとすべすべの大理石のよう。
削りたてのかつお節は、それだけで旨いご馳走です。
香りが全然違います。
コーヒー豆をひくように、自分でかつお節を削ると心から豊かな気持ちになります。
▲豆腐に削りたてのかつお節をのせます。
かつお節は食べ物だ!と感じるひとときです。
●だし大集合のシフォンケーキ
最初にご紹介した野崎料理長は、前述の著書に「トマトジュースも豆乳も」だしになると書いています。
これらにも「うまみ」があるのです。
そこで、だし大集合のシフォンケーキと釜飯を作ってみました。
▲だし入りシフォンケーキにだしとトマトジュースと豆乳のゼリー(アガーを使用)を添えました。
米粉と米油のシフォンケーキのほのかな甘さに、うまみのゼリーたちがしっとりとよく合います。
▲この釜飯は、シフォンケーキと同じ原材料です。
大豆入りご飯はだしで炊き、昆布とかつお節、卵焼きに米油を使いました。
どちらも栄養も滋養も抜群です。
おなかも心も満足します。
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【紹介書籍】
1.『野崎洋光が考える美味しい法則』
(野崎 洋光・著、池田書店・刊)
1,600円(税別)
・オンラインストアはこちら
2.『瀬戸内「やまくに」のいりこで毎日おかず』
(ワタナ ベマキ・著、女子栄養大学出版部・刊 )
1,200円(税別)
・オンラインストアはこちら
3.『野菜だし』
(イチカワ ヨウスケ・著、主婦と生活社・刊 )
1,400円(税別)
・オンラインストアはこちら
4.『丸元淑生のシステム料理学』(ちくま文庫)
(丸元 淑生・著、筑摩書房・刊 )
780円(税別)
・オンラインストアはこちら
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だしはなんて控えめな存在でしょう。
なのにふくよかな滋養がいっぱいで、
食材を引き立て、あるいは調和し、
体にしみ込んでいきます。
簡単だしも、丁寧だしも、上級品に変わりはありません。
ひょいと気軽に楽しみましょう。
料理コンシェルジュ
澤峰子