南インドの小さな出版社 タラブックス。

今回は世界で同じものが一つとない、インドのハンドメイド絵本をご紹介します。
 
タラブックスは南インド・チェンナイを拠点とする小さな出版社です。
「インドの人々のために良質な本を」という信念の元、絵本を中心に美術書や社会、政治をテーマに扱った書籍を出版しています。

手漉きの紙を使った印刷から製本まで、すべての工程を手作業で仕上げている代表作『夜の木』は2008年優れたグラフィックデザイン・ブックデザインの児童書に贈られるボローニャ国際児童図書賞ニューホライズン部門を受賞し、国際的にも高い評価を受けました。

 
日本語訳も今まで10種類ほど刊行されており、2017年板橋美術館で開催されたタラブックスの展覧会ではたくさんの来場者を動員しました。
職人の手でひとつひとつ刷り上げられる工芸品のような美しい本は、わたしたち日本のファンも含め、世界中の人々を魅了し続けています。
 
タラブックスのハンドメイド絵本は、インドの伝統的な民俗画家によるグラフィカルで色鮮やかな版画はもちろん、版が変わると表紙の画の色が変わることも魅力のひとつです。
例えば『世界のはじまり』は2刷では緑だった背景が、3刷では赤に変わりました。
 
 
自然豊かな清流を泳いでいた魚が海原に飛び出し、漂っているような動きを見ていると楽しくなってきますね。
 
『夜の木』も、刷りごとに木の色が変わり、色々な物語を想像することができます。
重版するたびに表情のちがう絵本たちを買い揃えるのも、タラブックスならではの楽しみかもしれません。


 
また、タラブックスの製本までの過程は、本を通してより良い社会を作る活動としても注目されています。
専業ではない無名の画家と契約し著作権料を払い、印刷・製本の工房の職人たちはともに生活しながら技術を身に付け、語学の教育を受けるなど地域の雇用を増やし安定した勤務体制を提供しています。
出来上がった本そのものに想いやルーツを感じるタラブックスの本。
紙や版画の手触り、インクの匂いは本と出会う喜びを五感で味わうことができ、エディション入りの1冊は手元で大切にしたくなります。
 
代官山 蔦屋書店では、インドの神話をモチーフにした「夜の木」や様々な水辺の生き物たちが描かれている「水のいきもの」の洋書版などハンドメイド絵本のシリーズの他にも貴重な『水のいきもの』のアートプリント(数量限定)も販売しております。

 
今回ご紹介した商品はオンラインストアでご購入いただくことができます。
版画ならではの細かい線まで、じっくり眺めてみいてはいかがでしょうか。
 
 
 
キッズコンシェルジュ
石山 雄紀

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