【ARTIST NEWS】新刊刊行で注目を集める二人がジャンルを越えてエール交換
光嶋裕介×ドミニク・チェン

初めての自伝的エッセイ『未来をつくる言葉〜わかりあえなさをつなぐために』(新潮社)を上梓した情報学研究者で起業家のドミニク・チェンさんと、思想家・内田樹さんの道場兼自宅《凱風館》の物語をまとめた『増補 みんなの家。〜建築家一年生の初仕事と今になって思うこと』(ちくま文庫)を8年の時を経て文庫化した建築家の光嶋裕介さん。
 
共に、海外の地で育ち、日本文化の外からそれぞれの世界を学び、いま日本で独自の働き方をする同世代のお二人から、それぞれの著書への推薦コメントをいただきました。
閉塞感漂う現代社会をいかにして生き延びるかについて「みんな」で一緒に考える機会としたい ― というメッセージの込められたコメントと共に、お二人の著書をお楽しみください。
 
 
 
 
光嶋裕介 書籍
 
『増補 みんなの家。
建築家一年生の初仕事と今になって思うこと』
《蔦屋書店限定 オリジナルポストカード(直筆サイン入り)付き》

光嶋 裕介/筑摩書房
 
光嶋裕介さんの『増補 みんなの家。』は、家を建てることの祝福に満ちた一冊だ。情熱あふれる若き建築家の実直で真摯な言葉遣いで、施主・内田樹さんとの思いがけない出会いからデビュー設計が始まり、次々と素晴らしい職人や表現者たちが加わりながら、「みんなの家」のかたちが紡がれていくプロセスは感動的だ。
今回の増補版に際して、この家の竣工から8年の時を経て熟練を重ねた光嶋さんが章末コラムを追記しているのも、建築家の成長に立ち会っているようで面白い。
この本を読んだ読者は、建築としてだけではなく共同体としての「家」に対する見方も一段と深まると思う。だから、建築家を目指す若者にも、これから家族を持とうとする人にも読んでほしい本だ。
ドミニク・チェン(研究者)
 
 
 
 
 
 
ドミニク・チェン 書籍
 
『未来をつくる言葉
わかりあえなさをつなぐために』

ドミニク・チェン/新潮社
 
ドミニク・チェンさんがこの自伝的エッセイ『未来をつくる言葉〜わかりあえなさをつなぐために』(新潮社)で紡ぐ言葉には、強いチカラが宿る。
父となり、自分の鏡として愛娘と対峙するなかで「わかりあえなさ」という絡まった糸を自らの思考と実践でゆっくり解きほぐそうとする姿勢にこそ深く共感した。
耳あたりの良い単純な言葉ではなく、思考する喜びを森の中に迷いこみながらも、一緒に楽しく学びを発動させ、世界の豊かな複雑さに飛び込む勇気。じっくりと時間をかけて、何度も読み返したくなる。これは、噛めば噛むほどに味わい深い素敵な一冊である。
光嶋 裕介(建築家)
 
 
 
 
 
 
プロフィール
 
光嶋裕介 (こうしま ゆうすけ)
 
建築家。1979年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。一級建築士。早稲田大学理工学部建築学科卒業。2004年同大学院を卒業し、ドイツの建築設計事務所で働く。2008年帰国後、独立。2011年、内田樹氏の自宅兼道場《凱風館》を設計、若手建築家の登竜門であるSDレビュー2011に入選。神戸大学で客員准教授、早稲田大学などで非常勤講師を務める。建築作品に《如風庵》や《旅人庵》《森の生活》など多数。
 
 
 
ドミニク・チェン
 
1981年生まれ。博士(学際情報学)。NPO法人クリエイティブ・コモンズ・ジャパン(現コモンスフィア)理事、株式会社ディヴィデュアル共同創業者を経て、現在は早稲田大学文化構想学部准教授。一貫してテクノロジーと人間の関係性を研究している。著書に『フリーカルチャーをつくるためのガイドブック』(フィルムアート社)、『謎床』(晶文社、松岡正剛氏との共著)、監訳書に『ウェルビーイングの設計論』(ビー・エヌ・エヌ新社)など多数。
 
 
 

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