【インタビュー】蔦屋書店では銀座のみ。安藤忠雄ファン垂涎の『ANDO BOX Ⅲ』展示販売中。
―建築コンシェルジュ坂山が語る安藤忠雄と売場づくり
今や、安藤忠雄という建築家を知らない者は、日本はおろか海外でも数少ないのではないだろうか。
半世紀以上、建築に携わってきた安藤忠雄が、設計した建築を自身が撮影した写真でまとめたポートフォリオ集『ANDO BOX Ⅲ』(限定30部)。蔦屋書店では、銀座が初の取り扱いとなることを受け、建築コンシェルジュの坂山にインタビューを行った。
―『ANDO BOX Ⅲ』が、蔦屋書店では銀座が初の取り扱いとなりましたが、その経緯をお伺いできますか?
坂山:銀座 蔦屋書店では、BIG BOOKコーナー(※)があります。約50種のBIG BOOKの展示・取り扱いがあるのは、日本でここだけです。また、銀座 蔦屋書店のコンセプトが「アートのある生活提案」であることが、出版元であるamanasalto様からお声がけいただけた理由かと思います。
※BIG BOOKコーナー:50センチ×70センチ・重さ約40キロ、海外ではSUMO BOOKとも呼ばれる大型本のコーナー。
『ANDO BOX Ⅲ』と建築コンシェルジュの坂山さん。
坂山さんお気に入りの『TADAO ANDO DETAILS 2』を手に。
―『ANDO BOX Ⅲ』はW483×D705×H152mmですから、本当に大きいポートフォリオ集です。特筆すべき特徴を教えて頂けますか?
坂山:やはり、安藤さんご自身が撮影されたということと、写真作品は全てプリント技法として最も永続性に優れたプラチナプリントで制作されていること、そして、安藤さんの手描きオリジナルドローイング作品が1点ついてくることです。さらに銀座 蔦屋書店では、特別にオリジナルドローイングを2点ご用意頂けましたので、ご購入の際はどちらかお好きな1点をお選びいただくことができます。
安藤忠雄ドローイング作品2点。
左 : #04(Punta Della Dogana, Italy / プンタ・デラ・ドガーナ(イタリア・ベネチア))
右 : #22(Modern Art Museum of Fort Worth / フォートワース現代美術館(アメリカ・テキサス州))
―今回でポートフォリオ集も第3弾となりますが、『ANDO BOX Ⅲ』は海外建築に焦点を絞られているようですね。
坂山:そうです。フォートワース現代美術館(2002年)、上海保利大劇院(2014年)など、安藤さんの代表的な海外の建築物が、安藤さん目線の写真で収められています。
―坂山さんご自身も現在、建築家としてご活躍中ですが、安藤さんとの出会いはいつ頃でしたか?
坂山:大学で建築を学んでいた時、東京大学で開催された安藤さんのレクチャーに参加したのが始まりです。その時から、僕の中で憧れの建築家の1人になりました。今でこそ、安藤さんの建築はスケールの大きいものが多いですが、その頃はまだ海外でご活躍される前だったということもあり、僕は安藤さんから「小さい建築をいかに工夫して作るか」を、実物から一番学ばせてもらったと思っています。
―具体的に、安藤建築のどういう点に憧れを持たれたのですか?
坂山:一目で「安藤さんの建築だ」と分かるような強烈な個性がある所ですね。安藤さんは独学で建築を学ばれたことで有名ですが、「とにかく実物を見て歩き学んだ」というエピソードを知り、そんな安藤さんに倣って、僕も大学時代は国内の安藤建築のほぼ全てを見てまわりました。
―では今回の『ANDO BOX Ⅲ』の取扱いは、かなり嬉しかったのでは?
坂山:興奮しましたね。ですので、このポートフォリオ集を出来る限り多くのお客様に見ていただきたいと思っています。コンシェルジュにお声がけいただければ、一部ですが中をご覧いただくことも可能です。
こちらが実際の『ANDO BOX Ⅲ』の中身(※一部)。
奥に立てかけた額装入りのプラチナプリント トリプテックも同梱される。
―もちろん、購入も可能ですよね?
坂山:はい。価格はコンシェルジュに直接お伺いください。なお、銀座 蔦屋書店の売り場づくりの特徴の一つとして、古書販売も行っております。安藤忠雄の既に絶版となった書籍なども、出来る限り取り揃えています。
―坂山さんオススメの古書をご紹介いただけますか?
坂山:『太陽(10月号)』(平凡社/1995年)です。昨年、新国立美術館で開催された「安藤忠雄展 -挑戦-」の展覧会初日に、同じく平凡社より発売された『別冊太陽 日本のこころ 255』と一緒にご購入いただければ、安藤さんの軌跡や変遷を窺い知ることができるのではないでしょうか。
他にも、『家(1969→96)』(住まいの図書館出版局)もおすすめです。ただ古書は変動が激しく1点物も多いため、お探しのものがありましたらお気軽にお問合せいただければと思います。
左:『太陽(10月号)』(1995年)。 右:『別冊太陽 日本のこころ 255』(2017年)。
22年という歳月の重みを、安藤忠雄の肖像からも感じ取ることができるのではないだろうか。
―安藤忠雄さんの書籍は、オンラインショップで購入も可能ですか?
坂山:はい、販売可能な書籍を随時アップしておりますので、店頭へお越しいただくのが難しいお客様にご活用いただければと思います。
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安藤忠雄 関連書籍のご購入はこちらから >>オンラインショップ
※『ANDO BOX Ⅲ』のオンラインショップ販売はございません。予めご了承ください。購入をご希望の方は、お手数ですが店頭もしくはお電話(03-3575-7755)にてお問合せください。
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―ありがとうございました!
今回インタビューした建築コンシェルジュの坂山さんは、ご自身が建築家ということもあり、建築に関する知識が非常に豊富なコンシェルジュです。建築コーナーは安藤忠雄さんに限らず、日本・海外の建築家を幅広く取り扱っておりますので、建築関係の書籍をお探しのお客様はぜひお声がけください。
.................................................................................................................................................... 『ANDO BOX Ⅲ』
安藤忠雄のプラチナプリントポートフォリオ集。
『ANDO BOX The 1st Round [drawings]』(第1弾)、『ANDO x ANDO - Photographs』(第2弾)に続く第3弾となる今回は、海外における安藤建築を安藤独自の視点で捉えた写真作品を中心に、海外における安藤建築の集大成となっている。
PORTFOLIO BOX
15 x 24 インチのプラチナプリント8点
17 x 26 インチのプラチナプリント トリプテック1点(額装付)
安藤の手描きオリジナルドローイング作品1点
ボックスサイズ:W483 x D705 x H152 mm
エディション:30
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【プロフィール】
安藤 忠雄 (あんどう ただお)
1941年大阪生まれ。建築家。独学で建築を学び、1969年に安藤忠雄建築研究所を設立。1979年「住吉の長屋」で日本建築学会賞受賞。代表作に「光の教会」、「大阪府立近つ飛鳥博物館」、「淡路夢舞台」、「FABRICA(ベネトン・アートスクール)」、「フォートワース現代美術館」など。
イエール大学、コロンビア大学、ハーバード大学の客員教授を務め、1997年から東京大学教授、2003年から同大学名誉教授。日本芸術院賞(1993年)、プリツカー賞(1995年)、国際建築家連合ゴールドメダル(2005年)、文化勲章受賞(2010年)、フランスの芸術文化勲章最高位コマンドール賞受勲(2013年)ほか受賞多数。
坂山 毅彦 (さかやま たけひこ)
銀座 蔦屋書店建築コンシェルジュ。東京都立大学大学院 建築学科卒。坂山毅彦建築設計事務所を主宰。2016年「これからの建築士賞」受賞。主に個人邸宅の設計・建築を行っている。大学時代に安藤忠雄と出会い、影響を受ける。
取材撮影・構成・文 : 銀座 蔦屋書店 石谷