【銀座 蔦屋書店 週間ランキング】
ファッション (2017年11月5日~11月11日)

週2回書籍の週間ランキングをコンシェルジュの解説付きでお届けします。
11月第2週は、どんな「ファッション」書籍がランクインしているのでしょうか。
和書・洋書それぞれのベスト3をご紹介します。
 
|和書1位は没後も絶大な人気を誇る、あの20世紀を代表する女優!
 
1位『Audrey Hepburn オードリー・ヘプバーン』(クレヴィス)

オードリー・ヘプバーン(1929〜1993)は『ローマの休日』(1953)で映画の世界にデビューし、世界中の人々を一瞬にして虜にしました。その演技でアカデミー主演女優賞を獲得し、その後の『麗わしのサブリナ』『ティファニーで朝食を』『マイ・フェア・レディ』と出演する映画は次々にヒットします。大きな瞳とスリムで長い手足はそれまでの女優のイメージを一新し、同時代のファッションアイコンとしても名を馳せました。ジバンシーとのコンビも有名ですね。
この写真集は、カリフォルニアmptv社の全面的な協力を得て、オードリーが最も輝いていた50、60年代の姿を中心に一160 点の写真が収められています。オードリー・ヘップバーンのファンならずともお勧めできる写真集です。
 
2位『TALES OF TOMORROW Vol.4』(TIMEWORN CLOTHING)

1930~40年代のアメリカン・クローズをベースに、骨太なメンズウェアを生み出し続けるTIMEWORN CLOTHINGの2つのライン、「AT LAST & Co」と「BUTCHER PRODUCTS」のLOOK BOOKも兼ねるこの季刊誌は今号で4冊目となりました。
号を重ねるごとにカタログ的な要素に加え雑誌的な要素が増えており、ブランドの世界観をより感じることの出来るものに変化しています。既に次号を待ち望んでいるのは、自分だけではないはず。
 
3位『Lightning Archives ミリタリージャケット

雑誌「Lightning」のArchivesシリーズのミリタリー・ジャケット編。
近年ではファッションアイテムの定番となったミリタリーデザインの、ヴィンテージをカタログ的に紹介します。第2次大戦時代のUSミリタリーを中心にアーミー、エアフォース、ネービーの主要ジャケットをほぼ網羅。ミリタリー入門としても最適な1冊です。
 
 
|洋書1位は現代の女性像を刷新していった著名なデザイナー、イヴ・サンローラン!

1位『All About Yves』(Laurence King Publishing)

ピエト・モンドリアンの絵画を大胆にミニドレスに配したコレクションや、当時流行のファッションとは縁遠かったペザントブラウス等を大胆に取り入れたコレクション、ロシアをテーマに扱ったことで新たな風を吹き込んだコレクションなど、現代の女性像を刷新していったオートクチュールコレクションで知られる著名なデザイナー、イヴ・サンローラン。
最近ではYSLブランド成功の立役者でもあるパートナー・故ピエール・ベルジェが生前から進めてきたプロジェクトであるイヴ・サンローラン美術館が2017年10月にパリに開館されました。話題に事欠かないが、本書ではこの偉大なデザイナーの幼少期から、若干21歳の若さでディオールの新デザイナーに抜擢され、ファッション業界に本格的に足を踏み入れてから2008年に亡くなるまでの輝かしいキャリアを豊富なテキストと写真で紹介。それだけでない見どころとしてはキャリアを築いていく上でキーとなったコレクションの未公開スケッチやスナップ風のフォトカード、手書きの文書、ペーパードール、コンタクトシート、雑誌や招待状などがページの間のスリーブに挟まっているところです。こういった遊び心が、ファッション史を学ぶ上での堅実な資料としての側面にプラスされ、楽しみながら彼の人生を辿っていくことができる一冊となっています。
 
2位『Calvin Klein』(Rizzoli)

今回はじめてカルバン・クライン本人が携わり、大きな企画として制作された本書は、時代を代表するようなイメージを切り取ってきたファッションフォトグラファーたち―アーヴィング・ペンやリチャード・アヴェドン、そしてブルース・ウェーバー、パトリック・ドゥマルシャリエまで、その他多くの有名フォトグラファーたちとのコラボレーションによって生み出され、クリスティ・ターリントンやケイト・モスなどのスーパーモデルたちによって確立したカルバン・クラインの広告写真をメインに3つの大きなテーマに沿って構成。
「Rebellious」ではカルバン・クラインの代名詞ともいえるセンセーショナルでセクシーな、よりモデルに近づいた、質感を感じさせる写真、主にアンダーウェアや香水などのアイテムで使用された広告を紹介します。「Minimalist」では、現在、アパレルラインのデザイナーを務めているラフ・シモンズのクリエイションにも通ずるブランドアイデンティティとしてのシンプル、モダン、シック、カジュアルを表象した写真を扱っています。「Stories」では当時の雑誌などを取り上げつつ、カルバン・クラインのブランドイメージを築いていったバックグラウンドを紹介。90年代のファッションシーンやカルチャー、流行に関心のある方にはその実際の重量感以上に内容の充実度にも圧倒される一冊です。
 
3位『Yves Saint Laurent Accessories』(Phaidon Press)
※オンラインショップにて販売中

全体が鮮やかなブルーで仕上げられた装丁の美しさに、まず目を奪われます。宝石箱を思わせるハードカバーには木目のエンボスが施され、天地、小口、栞紐など全てブルーであることが、書籍の美しさに拍車を掛けます。
本書はサンローラン初の、アクセサリーに焦点を当てた作品集です。イヴ・サンローランは77年にこんな言葉を残しています。
-「アクセサリーの重要性を絶対に無視してはいけません。アクセサリーは、一着のドレスを全く別のものに変えてしまうのです。私は落ち着いたドレスに野趣溢れるアクセサリーを合わせるのを好みます」-
この言葉でもお分かりのように、サンローランは、2002年の最後のショーまで、ジュエリーや帽子、バックなどアクセサリーをとても大切なものと考えていました。アクセサリーのデザイン画やサンローランがモデルにフィッティングする様子、それらのアクセサリーを身につけてランウェイを歩くモデル達。サンローランのアーカイヴから提供された貴重な資料を基に、自身がデザインした洋服に最後のエッセンスとして加えるアクセサリーがどんな化学反応を起こしたのか、この書籍で垣間見ることが出来るはずです。 
 
 
(ファッションコンシェルジュ)
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