【イベントレポート】新進気鋭のアーティスト・井田幸昌個展「PORTRAITS」

2019年の6月25日から7月7日にわたって、銀座蔦屋書店のイベントスペース「GINZA ATRIUM」にて、画家・井田幸昌氏の個展「PORTRAITS」が開催された。
 
1990年生まれの井田氏は、目下「若手アーティスト」と分類されることが多いが、すでに世界を舞台に活躍している。早くから才能を認められ、学生時代から東京や英ロンドンなど国内外で個展を開催。東京藝術大学大学院在籍中には、ZOZOの前澤友作氏の現代芸術振興財団が主催するCAF賞の名和晃平賞など数々の芸術賞を受賞。Forbes JAPANが選ぶ「30 UNDER 30 JAPAN」の一人にも選ばれた。
 
2019年に同大学院を卒業後も、東京を拠点として精力的に創作活動を行っている。おそらく、明日の成功を夢見るアーティストたちが憧れる生き方を実践する一人ではないだろうか。
 
 
井田氏の特徴は、何よりも【画力】。積み重ねた修練に裏打ちされた技術と、その技術から生じる感情表現は群を抜いているのではないだろうか。また色遣いやタッチなど端々から感じられる美的センスも魅力的だ。端的に言うと、ひと目で「これは井田さんが手がけたものだ」と見分けられる個性が作品に宿っている。国内外にコレクターが多いのもうなずける。
 
作品は、「一期一会」を主題にしたポートレイトなどを手がける。ただし同主題は、Forbes JAPANのインタビューでも答えているように、ベースに【時間】を据えている。そこで【生者】のみならず、過去の偉人や著名人など【死者】のポートレイトも積極的に描く。例えば本個展で目を引いた作品の一つである『Jean-Michel Basquiat no.7』は、アメリカの新表現主義を開拓した早逝の天才画家ジャン=ミシェル・バスキアを描いたものだ。こうした創作姿勢に、井田氏の死生観、哲学、人間に対する探究心がうかがえる。
 
 
『美術手帖』編集長・岩渕貞哉氏との出会いをきっかけに実施された本個展では、井田氏は絵画の「Portrait」シリーズや「The end of today」シリーズなどを展示。1620mm×1940mm、1303mm×1940mmなど一般人を一回り超えるサイズの油彩画は、画面から描き手の熱量も感じられて迫力満点だった。また法王を描いた『Pope』に代表されるように、色遣いや細部までこだわった描き方が印象的だ。
 
 
また今回は、シルクスクリーンや立体作品を初発表。これらの試みは、井田氏の新たな引き出しとなりそうだ。
 
 
井田氏の注目度はとにかく高い。初日の夜に開催されたレセプションパーティーは、100人以上が詰めかける活況ぶりだった。また本個展のプレスリリースを配信するや否や、作品販売に関する問い合わせが書店に殺到。展示された作品は、またたく間に完売した。
 
盛況のうちに幕を閉じた本個展の終了にあたって、井田氏本人は以下のようにコメントしている。
 
「この度の個展に際しまして、本当に様々な方にご覧いただき、心より感謝しております。 今回は実験的な要素も多分に含んだ展示となりまして、たいへん素晴らしい機会と経験をいただきました。 この先も変わらず、チャレンジングに活動して参る所存でおります。応援のほど、宜しくお願い申し上げます」
 
これから先も、ワールドワイドな活躍が期待される井田氏。再び新作を携えて、銀座に舞い戻ってきてくれることを願うばかりだ。
 
撮影:浦野 航気
文:桜井 恒二
 


【プロフィール】
井田 幸昌(いだ ゆきまさ)
1990年鳥取県生まれ。2019年東京藝術大学大学院 美術研究科修士課程 絵画専攻油画修了。VOCA展2016、ZOZO代表取締役社長・前澤友作氏が立ち上げた現代芸術振興財団主催のCAF賞で名和晃平賞を受賞。2017年レオナルド・ディカプリオファウンデーションオークションへ最年少で参加。2018年パリ、2019年北京で個展を実施。東京を拠点に世界で活動を行っている。

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