【XMAS 2024】「天地以順動」河内國平・ヤノべケンジ 名匠たちの至高の共創

FOAM CONTEMPORARY|アート
銀座 蔦屋書店 FOAM CONTEMPORARY 2024年11月23日(土) - 12月10日(火)
日本最高峰の刀匠と現代美術作家による共作を発表。刀剣展「『天地以順動』河内國平・ヤノべケンジ 名匠たちの至高の共創」を11月23日(土)より開催。

「『天地以順動』 河内國平・ヤノべケンジ 名匠たちの至高の共創 」を店内 FOAM CONTEMPORARYにて、2024年11月23日(土)~12月10日(火)の期間に開催します。

[開催に寄せて]
このたび銀座 蔦屋書店では、刀匠・河内國平と、現代美術作家・ヤノベケンジによる刀剣展「天地以順動(てんちいじゅんどう)」を開催いたします。
現在、本物の刀剣をつくる刀匠やそのための材料、鍛刀場は減少しています。これは大陸から伝わり、日本で洗練された千年続く文化を失い、過去の名剣の技を深く見る眼を失うことでもあります。
本展は、刀匠の技が現代においても人々の魂を揺さぶるものであることをお伝えする試みであり、そのような日本の優れた技と精神性を継承していくための取り組みとして企画いたしました。河内國平という最高峰の技術を持った刀匠との出会いから気付きを得たヤノベケンジが壮大なコンセプトを描き、匠の技を結集して生み出したコラボレーション作品を発表します。
「天地以順動」とは『易経』の一節です。「天地は順を以て動く」ので日月や四季が循環するように、聖人もまた道理に順って動けば万民も悦服する、という意味を持っています。
二人の匠によってつくられた刀剣は、天と地、過去と現在を結び、世界の災いを払う願いが込められています。ぜひ今を生きる匠の本物の技と美をご堪能ください。
 
[作品について]
●太刀《天地以順動》(2024)
太刀《天地以順動》(2024)※ (※はすべて完成イメージデザイン)
 
太刀《天地以順動》(2024)ディテール写真。銘が刻まれた茎(なかご)には隕鉄が象嵌されている
 
河内國平とヤノベケンジは、旅をして福を運ぶ《SHIP'S CAT》シリーズ、さらに生物のDNAやRNAに含まれる核酸塩基といった「生命の種(sperma)」が、地球外から隕石などによって飛来してきたという「パンスペルミア説」を元にし、GINZA SIXで展開している巨大インスタレーション《BIG CAT BANG》の世界観を、刀剣と漆工芸によって表現しました。刀身は深山に湧き立つ雲海のような刃文に光が差し込んでいるようです。それはまるで、河内が鍛刀場を構える、奈良県東吉野村に発生する雲と朝日のようでもあります。刀身彫刻は、千年の刀剣史上においても随一とも称される金工作家、柏木重光氏によるもので、地球に降り立ち、「生命の種」を授け、人類の誕生を見守った「宇宙猫」が彫り込まれています。

●短刀《護猫神》(2024)
短刀《護猫神》(2024)
 
短刀《護猫神》(2024)柄(つか)部分
 
平安時代から猫が愛玩動物として親しまれてきた様子が『源氏物語』や『枕草子』、『寛平御記』などに記されています。おそらく遣唐使船に、経典や宝物をネズミから守るために乗せられたと考えられています。それもひとつの「SHIP’S CAT」といえるでしょう。昔から、刀剣は闘いの道具であるだけではなく、神の依り代として奉納するものであり、邪気を払い身を守る霊的な役割も果たしていました。猫もまた人と共に過ごし、ネズミなどの害獣から屋敷や船を守る「守り神」のような役割を果たしていたといえます。《護猫神》の刀剣を握る柄(つか)には、京都の職人による銀細工の猫が彫り込まれ、魔除けに使われた朱が塗られた鞘には《SHIP’S CAT》の螺鈿細工や蒔絵があしらわれています。

●短刀「八卦連環」シリーズ
短刀《八卦連環・天》(2024)※
 
《天地以順動》の世界観を表現した短刀です。八卦は易における八つの概念で、太極から両儀(陰陽)、四象、八卦に至ります。自然現象では「天・沢・火・雷・風・水・山・地」に相当し、八振の拵(こしらえ)には、ヤノベケンジが制作した作品の蒔絵が描かれています。また、柄はすべて「宇宙猫」の頭部が立体彫刻で象られています。「天」には、《スター・アンガー》の光る球体の上で咆哮する龍が描かれ、刀身には北斗七星が刻まれています。「沢」は、「美井戸神社」の《アンガー・フロム・ザ・ボトム》、「火」は《ジャイアント・トらやん》、「雷」は《ウルトラ–黒い太陽》、「風」は《風神の塔》、「水」は《ラッキードラゴン》、「山」は《フローラ》、「地」は《サン・チャイルド》が描かれます。

刀身は、河内國平に加え、河内の薫陶を受けた4人の刀匠によってつくられます。髙見太郎國一は、河内の一番弟子であり、2018年に「現代刀職展」(日本美術刀剣保存協会主催)において高松宮記念賞(最高賞)に選ばれ、刀剣界における最高位である「無鑑査 認定者」に最年少で認定されています。つづく小宮六郎國天、金田七郎國真も「現代刀職展」で数々の賞を受賞。さらに河内一平は「新作日本刀 研磨 外装 刀職技術展覧会」(日本刀文化振興協会主催)において経済産業大臣賞(最高賞)を受賞するなど、それぞれ河内の技や想いを受け継ぐ刀匠として知られています。
八振のうち、本展では《八卦連環・天》を展示いたします。

[アーティストプロフィール]
河内國平(かわち・くにひら)
撮影:宮田昌彦
 
1941(昭和16)年、第14代刀匠「河内守國助」の次男として大阪市都島で生まれる。
後に師となる人間国宝、宮入昭平の『刀匠一代』を読んで衝撃を受け、人生の師として宮入の弟子となる。宮入から五箇伝のひとつである「相州伝」を受け継ぎ、1972(昭和47)年、奈良県東吉野村平野に鍛刀場を設立。佐藤栄作名誉会長賞、高松宮賞、全日本刀匠会会長賞など数々の賞を受賞。さらに人間国宝、隅谷正峰に入門し「備前伝」を習い、工法の異なる二つの流派を習得する刀匠となる。1988(昭和63)年、無鑑査刀匠に認定される。1995年(平成7)年には大和伝を修得。
いっぽうで関西大学時代に師事した、高松塚古墳を発見したことでも知られる考古学者で、奈良県立橿原考古学研究所所長となった末永雅雄と、上代の刀剣の復元などにも尽力する。2005(平成17)年には、石上神宮に奉納されていた七支刀の復元を手掛け、「奈良県無形文化財保持者」となる。2014(平成26)年には、無鑑査刀匠らが出品する「新作名刀展」に、「國平河内守國助」を出展。現代の玉鋼(たまはがね)ではできないといわれた、古刀の特色である「乱映り」を再現し、刀剣界における最高峰の賞である「正宗賞」を受賞した。刀剣界のパイオニアとして、さまざまな新しい取り組みを行うことでも知られている。

ヤノベケンジ
撮影:野崎航正
 
1965年大阪府生まれ。現代美術作家。幼少期に大阪万博の解体現場で遊んだ経験から、廃墟になった未来「未来の廃墟」の中でゼロから新しく創造することを夢想。1990年、隔離タンクの中で瞑想する体験型の作品《タンキング・マシーン》でデビュー。「サヴァイヴァル」をテーマとし、混迷する現代社会を生き延びるための機械彫刻などを制作。1994年より活動拠点をベルリンに移す。1997年より自作の放射線を検知する防護服を着て、原発事故後のチェルノブイリなどを探訪する《アトムスーツ・プロジェクト》を開始。2001年、21世紀の幕開けよりテーマを「リヴァイヴァル(再生)」に移行。2003年、国立国際美術館で集大成的な個展「メガロマニア」を行う。2011 年、東日本大震災後、希望のモニュメント《サン・チャイルド》を制作し、国内外で巡回。3 体のうち1 体が茨木市(大阪)に恒久設置される。2013年、ビートたけしと環境汚染をテーマにした寓話的彫刻《アンガー・フロム・ザ・ボトム》を共同制作し、「瀬戸内国際芸術祭」で展示。2017年、福を運ぶ旅の守り神《SHIP’S CAT》シリーズの制作を開始。2021 年、大阪中之島美術館に《SHIP’S CAT(Muse)》が恒久設置される。2024年、生命の旅をテーマにした巨大インスタレーション《BIG CAT BANG》をGINZA SIX中央吹き抜けで展示。美術の起源や存在意義を問い、環境と相互作用をもたらす作品を制作している。
 
 
  • 会期 2024年11月23日(土) ~12月10日(火) ※終了日は変更になる場合があります。
  • 時間 11:00~19:00※最終日は18:00閉場 ※レセプション開催のため、初日11月23日(土)は17:00に閉場します
  • 場所 銀座 蔦屋書店 FOAM CONTEMPORARY
  • 主催 銀座 蔦屋書店
  • 協力 株式会社studio仕組
  • お問い合わせ 03-3575-7755(営業時間内) / info.ginza@ccc.co.jp
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