[360°Graphics Atelier] ART PRINT VIBES
–アートと版画の未来- Vol.1

アートスクエア|アート
銀座 蔦屋書店 アートスクエア 2024年12月27日(金) - 01月10日(金)
版画は、日本美術の歴史において、絵画や彫刻とは異なる「複製芸術」として特別な地位を築いてきました。江戸時代、葛飾北斎や歌川広重が手がけた浮世絵は、版画技術によって多くの人々に共有され、日本文化を広く世界に伝える役割を果たしました。そのデザイン性や構図の大胆さは、後に西洋の印象派や現代アートにも影響を与え、版画は時代を超えた芸術表現の可能性を象徴しています。
こうした歴史を背負いながらも、版画は現代において新しい表現の可能性を切り拓いています。シルクスクリーンやジークレーといった技術は、現代アートの中で重要な役割を果たし、アーティストが自らのビジョンを具現化する手段として進化を続けています。
1980年代から40年以上に渡って、シルクスクリーン版画を中心にその可能性を追求し続けてきた<360°Graphics>は、アートの未来を見据えた新たな挑戦を続けてきました。
本展では、これまで制作された貴重な版画作品の中から、特に刷り職人が版画制作の技術的経緯などを記録するために保管する「プリンターズ・プルーフ(PP)」と呼ばれる希少な作品に注目します。また、ジークレーやネオシルク版画といった革新的な手法も併せて紹介し、版画の新たな可能性を探ります。
 第一回目となる今回は、松澤宥、MAEDA,Haruko、小松美羽、ロッカク・アヤコ、といった異なるジャンルの著名作家が名を連ね、伝統と革新が融合する多彩な作品群をお楽しみいただけます。
現代に生きる版画のダイナミズムを、ぜひGINZA SIX 銀座蔦屋書店でご体感ください。
コレクション・オブ・アート株式会社
 
[360°Graphics ステートメント]
私は、現代美術家として、また刷師としての活動を同時に展開してきました。二刀流という観点で版画制作にあたり、技術的な分野は当然の事として、作家のコンセプトを読み込む作業が大変に重要と考えています。この世界観を深化させる作業が嵩じて「ネオシルク」という独自のオリジナルな技法を開発することに至ったと思っています。現代の高度なデジタル表現にも対応する版画の技法となることを確信しています。本来はこの版画の歴史の中に封印された制作過程を見ていただきたいと思っていましたが、今回は版画のアートシーンから選抜したジャンルの違う、4人の著名な作家「松澤 宥」「MAEDA,Haruko」「小松 美羽」「ロッカク・アヤコ」を展示いたします。
この作家達ならきっと今までに見えなかった、もう一つのアートのストーリーが版画を通して見えてくることを期待しています。なぜなら、彼らの生き方と人間力の成せる技が作品づくりを共有することで、伝わってくるからです。
以下に刷師から見た彼らの紹介をさせていただきます。
 
松澤宥:1922.2.2-2006
彼はアートの世界に文字を導入した世界で最初の人であり、観念美術の先駆者でもあり、私の恩師でもある。ニューヨークの近代美術館には108点の作品が収蔵されている。世界ではコンセプチュアルアートの第一人者として認知され、ベネティアビエンナーレの出展、サンパウルビエンナーレでは大賞を受賞。消滅をテーマに作品を方眼紙に文字で宇宙を顕す希有な人物といえる。消滅をテーマにするならば作品を作るのではなく、作らないことを考察するのだ。そうだ、作品を制作しない表現を教えることで有名な先生でもあった。版画を作らないことを試みるべきだ、できるだけ透明に、背景に文字がとけ込むように。文字を絵のように、絵を文字のように描く世界を鑑賞して欲しい。
 
MAEDA,Haruko:1983年生
彼女は日本の大学からオーストリアのリンツ芸術大学に編入、数奇な運命をたどりながら著名な教授に才能を見込まれ、若くしてリンツ芸術大学の講師をする。ストックフォルムで初個展を開催し、センセーショナルなデビューをする。その後、描いた作品が全て、次から次へと売れていくので、時間のかかる大型の絵画や教会の壁画など、休む暇なく描き続ける。昨年、オーストリアのクレームス美術館で大個展を開催。美術館の動員記録も更新し、押しも押されもしない若手でナンバーワンの美術家として認知されている。今回は、彼女の哲学的にも技術的にも精緻な絵画をネオシルクの技法を用いて版画にしたかった3点を出展している。
 
小松美羽:1984年生
彼女は新進気鋭の素晴らしいアーティストだろうという印象をもっており、私の中では今後どのような活動をして行かれるのか興味を覚えていた。その頃にホワイトストーンギャラリーの橘氏からの版画制作のお話をいただいた。彼女はパフォーマンス・ライブペインティングなどの世界観を有するので、新たな技法にも理解を示して頂いた。通常のシルクスクリーンで製作すれば40色以上の色数を使用する事になるので一仕事だ。
彼女の絵画はネオシルク技法(ミックストメディア版画)にはピッタリであり、原画の勢いを表現する立体的な印刷処理の仕方などが、非常にマッチしていた。どのような印刷をしているのかを刷師からみても不思議な仕上がりとなり、新たな版画の領域が開拓されていった作業工程は秀逸であった。
 
ロッカク・アヤコ:1982年生
彼女は私の友人が主宰していたアートフリーマーケットの路上で、ダンボールに指を使って絵を描いていたらしい。私の中では、そこで発掘され海外で一躍スターダムに上り詰めたシンデレラガール、という強烈な印象があった。現在は世界的に大活躍をされている。2017年にギャラリーターゲットの水野氏の企画で紹介され、彼女の版画制作に携わる。ダンボールの上にシルクスクリーンの35版・36から38色刷の作業だ。30数年ぐらいまでは、そのような仕事も少なからず存在した。今回は、シルクで刷っているのに、シルクとは思えない手書きのように見えるシルクスクリーンの技法を若いアーティスト達に堪能して貰いたいという想いから、出展させていただいた。
360°Graphics 伊丹裕
 
[プロフィール]
360°Graphics=360°グラフィックスは、ギャラリー360°(表参道)とともにシルクスクリーン版画工房として、1982年にスタート。以来、40年以上にわたり、多くの著名な作家の作品を手がけてきた。
 
[販売について]
店頭にて12月27日(金) より販売いたします。
オンラインストア OIL by 美術手帖は、一部作品のみ販売いたします。
 
\オンラインストアで購入する/
2024年12月27日(金) 10:30~販売開始
 
 
  • 会期 2024年12月27日(金) - 2025年1月10日(金)※終了日は変更になる場合があります。
  • 時間 当店Webサイトをご確認ください。
  • 場所 銀座 蔦屋書店 アートスクエア
  • 主催 銀座 蔦屋書店
  • 企画 360°Graphics、コレクション・オブ・アート株式会社
  • 問い合わせ先 03-3575-7755
mail

メールマガジンで、イベント·フェア情報をいち早くお届けしています。ぜひご購読ください。

メルマガ登録はこちら

SHARE

一覧に戻る

RELATED EVENT

RELATED ITEMS