【展示】西久松友花×河合桂「Metamorph」

アート
銀座 蔦屋書店 インフォメーションカウンター前 2025年09月27日(土) - 10月17日(金)
このたび銀座 蔦屋書店では、西久松友花と河合桂による二人展「Metamorph」を開催いたします。
西久松は生命の循環や脱皮といった“変容”をやきものに託し、河合は漆を記憶や、存在を映し出す媒体として制作しています。
さらに今回特別に、古来より“再生”の象徴とされる蝶をテーマに新たに制作したコラボレーション作品を発表いたします。
陶と漆、二つの素材が響き合い、変化し、再生していく世界をぜひご高覧ください。
 
[今回の展示内容、展示作品に関して]
Metamorphとは変化、変身、変容などの意味を持つ。
私は生き物の営みや営巣、生命の循環について関心があり、その生命活動の中で見られる形象をやきものに変換している。
今回の共作は、昆虫や甲殻類に見られる変態や脱皮に焦点を当て制作したものである。
これらの生き物は成長するために、外界から身体を守っている外骨格を脱ぎ捨てる「脱皮」という行為を何度も繰り返す。脱皮は無防備で命懸けの行為であり、その抜け殻は美しい。
身体の形がそのまま脱ぎ捨てられた抜け殻の中に、成長の途中段階の姿が閉じ込められている。私たちの周りのこうした生き物たちの多くは、日々何処かで密かに脱皮を繰り返していて、その内容は計り知れないものだ。
やきものが窯の中で変容していく過程を見ることは出来ないが、焼成するという行為の過程で、窯の内部でも秘めやかな時間が流れている。
 
西久松友花
 
[アーティストステートメント]
「Tree Hole」、W120×D160×H440mm、磁土、釉薬、金、プラチナ
Photo by Takeru Koroda

西久松友花
生き物の営みや営巣、生命の循環について関心を持ち、その生命活動の中で見られる形象をドローイングによって部分的に抽出し、やきものに変換している。
⽣物学者ユクスキュルが提唱した概念「Umwelt=環世界」は、主体が周りに意味を与えながら構築した世界のことである。⼈間が⾒ている世界はほんの⼀部にしか過ぎず、⽣き物が知覚している世界は其々に異なる。
人間とは異なる感覚世界に生きる多種多様な生き物たちの視点に立った時に、どのような世界が広がっているのだろうか。
あまりに小さく人間の世界では見過ごされがちな生き物たちの姿形や彩りは世界を構成する一部であり、土台ともいえるだろう。
⽣き物の営みや成り立ち、⽣命の⽷がどのようにして途切れる事なく連綿と続いてきたのかを探り、世界をどう⾒て、知覚認識していくかを考えたい。
私たちは感覚を介して周囲と繋がっている。
視覚と触覚を使いながら、一つの土の塊から形を立ち上げていく。
現れた造形は様々な生き物の彩りを反映させた釉薬を纏い、焼成を経て長い歴史を内包するやきものへと変容する。
 
 
 
「彼方」、W640×D610×H630mm、漆、麻布、銀箔
Photo by Pedro M Shimura

河合桂
私は器物としての漆と、装飾としての漆の二つの側面から捉え、制作を行っています。
漆器は古来より、器物として用いられる生活道具と同時に、神事や儀礼において特別な役割を担ってきました。特に神社や神棚において、お神酒を奉げるための器である“瓶子(へいし)” や、供物を盛る“椀”などがあります。私はそれらを、人と目に見えない存在とをつなぐ仲介者のように感じており、記憶や遺物とともに作品の中に描き出そうとしています。
装飾においては、例えば戦国時代の“変わり兜”や槍先を覆う“槍鞘”には、漆を用いて自然や動物をデフォルメした形態や、叩き塗りという漆の技法を使った装飾が施されました。それは単なる美的装置だけではなく、武将が自らの存在や権威を示す象徴でした。漆は塗料でありながら、形態を際立たせ、存在を意味する表現媒体でもありました。私はその歴史的背景を踏まえつつ、漆を「塗る」という行為を通して、存在を象徴する装飾の新しい可能性を探っています。
漆は時に実用の道具として人の暮らしに寄り添い、時に象徴や装飾として存在の意味を拡張してきました。私はその両義性に惹かれています。器物としての漆が「人と不可視の存在をつなぐ媒介」であるとするなら、装飾としての漆は「存在を示す装置」であると言えます。私はこの二つの側面を往来しながら、漆を記憶や存在を映し出す表現の媒体として制作しています。
 
 
[アーティストプロフィール]
西久松 友花  NISHIHISAMATSU yuka
Photo by Takeru Koroda
1992 京都府生まれ
2011 京都市立銅駝美術工芸高等学校 日本画専攻 卒業
2016 京都市立芸術大学美術学部工芸科陶磁器専攻 卒業
2018 京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻陶磁器 修了

■主な個展
2021 珠-マニ-(ギャラリーヒルゲート/京都)
2022 化生 (芝田町画廊/大阪)
2022 西久松 友花展(ザ・プリンス京都宝ヶ池/京都)
2024 幽けき棲処(Marco gallery/大阪)
2024 Umwelt(Art Collaboration Kyoto YUMEKOUBOU GALLERYブース/京都)
2025 分解者(ROD GALLERY/東京)
2025 RESIDENTS OF GOKURAKU(75Varick Street/USA,NY)

■主なグループ展2016
西久松友花・山本伊代奈 二人展「湯気」(ギャラリーアンフェール恵文社一乗寺店/京都)
琳派400年記念 新鋭選抜展−琳派FOREVER−(京都文化博物館/京都)
ART OSAKA2016「アートで目覚めるvol.4」(ホテルグランヴィア大阪/大阪)
シブヤスタイルvol.10(西武渋谷/東京)
2017 
Kyoto Art for Tomorrow-京都府新鋭選抜展2017(京都文化博物館/京都)
京展2016 (京都市美術館/京都)
「秋空に高くそびえる」(art space Morgenrot/東京)
2018
京都府新鋭選抜展2018 – Kyoto Art for Tomorrow -(京都文化博物館/京都)
KOGEI  Art Fair  Kanazawa(KUMU KANAZAWA THE SHARE HOTELS/石川)
2019
西久松吉雄・綾・友花展-地のかたち・水のめぐみ・土のちから-(中信美術館/京都)
KOGEI  Art Fair  Kanazawa(KUMU KANAZAWA THE SHARE HOTELS/石川)
新進作家五人展−(京都文化博物館/京都)
2020
京芸transmit program2020(京都市立芸大ギャラリー@KCUA/京都)
以美為用展〜明日へのとびらⅡ〜(京都高島屋/京都)
2021
かめおか霧の芸術祭「霧の芸術館〜線を引き続けるためのプラクティス」(亀岡市文化資料館/京都)
国際工芸アワードとやま2020(富山県美術館/富山)
KOGEI  Art Fair  Kanazawa(Hyatt Centric Kanazawa/石川)
2022
岡山県新進美術家育成「I氏賞」選考作品展(岡山県天神山文化プラザ/岡山)
KYOTO ART LOUNGE EXHIBITION ベールの光景(COCON KARASUMA 2Fアトリウム/京都)
CERAMIX(西武渋谷/東京)
D-art,ART2022(大丸神戸店、大丸京都店/京都、兵庫)
幸山ひかり・西久松友花 二人展「とどまるもの、とどまらないもの」 (真言宗御室派総本山仁和寺/京都)
2023
Kyoto Art for Tomorrow 2023 -京都府新鋭選抜展–(京都文化博物館/京都)
Study:大阪関西国際芸術祭(グランフロント大阪/大阪)
Quatre objets(西武池袋本店/東京)
D-art,ART2023(大丸東京店/東京)
美の予感2023-生彩−(高島屋/東京、京都、名古屋、大阪)
わが陶は ゆくえもしらず はてもなし(京都パルスプラザ大展示場 YUMEKOUBOU GALLERYブース/京都)
循環の合図(Marco gallery/大阪)
Slow Culture #kogei(京都市立芸大ギャラリー@KCUA/京都)
ART FAIR ASIA FUKUOKA2023(マリンメッセ福岡B館/福岡)
藤田つぐみ・西久松友花 二人展「空中幽泳」(ギャラリーヒルゲート/京都)
art KYOTO(元離宮二条城/京都)
ceramic synergy(京都京セラ美術館/京都)
2024
河合桂・西久松友花 二人展「漂う境目」(京都高島屋S.C京都蔦屋書店/京都)
Kyoto Art for Tomorrow 2024 -京都府新鋭選抜展–(京都文化博物館/京都)
Marco Gallery×WALL_alternative「Saturday Night Once More」(WALL_alternative/東京)
京都人×Next Generation Artists2024(京都府立文化芸術会館/京都)
-TORILOGY- Eunoia×Numero.51 Concept Gallery (Numero.51 Concept Gallery/イタリア, ミラノ)
「工+藝」KO+GEI 2024 Tokyo Art Club(東京美術倶楽部/東京)
一番美味しく食べるには(Marco gallery/大阪)
国際磁器展美濃`24(セラミックパークMINO/岐阜)
Art Collaboration Kyoto(国立京都国際会館/京都)
INSIDE(ROD GALLERY/東京)
Reunion-環-(YUMEKOUBOU GALLERY/京都)
2025
周縁の距離/Distance of the Rim(BUoY/東京)
SPRING/BREAK Art Show New York City 2025 Exhibition(75Varick Street/アメリカ、ニューヨーク)
アーティスト・イン・レジデンス (滋賀県立陶芸の森)
第3回日本国際芸術祭(大阪・関西万博会場内EXPOメッセWASSE)
群馬青年ビエンナーレ2025(群馬県立近代美術館/ 群馬)
 
■受賞歴
2014 リサ・ラーソン展関連企画
「陶芸の森デザインコンペ やきものによる動物のインテリア」展 入選
2016 京都市立芸術大学作品展 市長賞
2017 Kyoto Art for Tomorrow -京都府新鋭選抜展2017 NHK京都放送局賞
2017 京展2016 入選
2017 京都銀行美術支援制度2017年度購入作品選抜
2017 京都花鳥館賞奨学金 優秀賞 
2018 京都花鳥館賞奨学金 最優秀賞
2021 国際工芸アワードとやま2020 入選
2023 ART & CITY AWARD presentsシエリアタワー中之島  グランプリ
2023 ceramic synergy 入選
2024 第13回国際陶磁器展美濃 入選
2025 令和6年度京都市芸術新人賞
2025 群馬青年ビエンナーレ2025 ガトーフェスタ ハラダ賞

■主なコレクション
京都銀行/園城寺/中信美術館
 
 
河合 桂 Kei Kawai
Photo by Pedro M Shimura
1996 神戸生まれ

■学歴
2022 京都市立芸術大学大学院修士課程漆工 修了
2020 京都市立芸術大学美術学部工芸科漆工 卒業

■個展
2025 Trans(Enishira stream Gallery/石川)
2024 うつろいの庭(ノートギャラリー/大阪)
2024 かわりもの(ギャラリー恵風/京都)
2022 迂華の間(ギャラリー白kuro/大阪)

■グループ展
2025 京都人X Next Generation Artists2025(京都府立文化芸術会館/京都)
2024 西久松友花・河合桂 二人展「漂う境目」(京都高島屋S.C京都蔦屋書店/京都)
丹波笹山まちなみアートフェスティバル2024(兵庫)
2023 国際漆展・石川2023(石川)
Art Continuation Project 第4回(阪神梅田本店)
IAG AWARDS 2023(東京)
Art Continuation Project 第3回(阪神梅田本店)
2022 第6回ファーストパトロネージュプログラム (東京)
Art Continuation Project 第2回(阪神梅田本店)
丹波笹山まちなみアートフェスティバル2022(兵庫)
Art Continuation Project 第1回(阪神梅田本店)
2021 あいづまちなかアートプロジェクト2021(福島)
河合桂/堀口史帆二人展「漆ふたり、」(GALLERY ARTISLONG/京都)
2019 クラフトAndアート丹波篠山「いらか」2019(兵庫)

■受賞歴
2022京都市立芸術大学作品展 大学院市長賞
2020京都市立芸術大学作品展 漆工奨学賞
 
[販売について]
作品は銀座 蔦屋書店店頭、アートのオンラインマーケットプレイス「OIL」にて販売いたします。
店頭:9月27日(土) 10:30~販売開始
オンライン:9月29日(月)10:30~販売開始
※作品はプレセールスの状況により展覧会会期開始前に販売が終了することがあります。
 
西久松 友花作品はこちら
河合 桂作品はこちら
2025年9月29日(月)10:30~販売開始
 
  • 会期 2025年9月27日(土) - 2025年10月17日(金)※終了日は変更になる場合があります。
  • 時間 当店Webサイトをご確認ください。※最終日は17時まで
  • 場所 銀座 蔦屋書店 インフォメーションカウンター前
  • 主催 銀座 蔦屋書店
  • 協力 YUMEKOUBOU GALLERY
  • 問い合わせ先 03-3575-7755
mail

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