【イベントレポート】スタイリスト・川上さやかが“おしゃれ迷子”脱却の極意を伝授。『おしゃれになりたかったら、トレンドは買わない。』刊行記念

スタイリストとしてWebマガジン『mi-mollet(ミモレ)』で連載をもつほか、雑誌『Oggi』『BAILA』やファッションブランドのカタログなどで活躍する川上さやかさんの初の著書『おしゃれになりたかったら、トレンドは買わない。』(講談社 刊)の発売を記念し、2019年10月27日(日)、梅田 蔦屋書店でトークショーが開催された。
シンプルでベーシックなアイテムをベースにした知的で品のよいファッションを得意とし、リアルな通勤ファッションの提案に定評がある川上さん。この日は、「服はあるのに着る服がない」「買ったのに着ていない服がある」「似合うものがわからなくなってきた」等の“おしゃれ迷子”を脱する秘策や、タンスの肥やしにならない服選びのコツを伝授してくれた。
 
 
 

銀行員時代のリアルなOL感覚をスタイリングに


川上さん(手前)のコーディネートは、「SLOANE(スローン)」のニット(サイズ3)、「Plage(プラージュ)」のパンツ、「NEBULONI E.(ネブローニ)」のサンダルとパンプスの間のような靴。全体的にブラウントーンでまとめたとのこと。川端さん(奥)は本の表紙に合わせたスタンドカラー。

講談社 担当編集・川端里恵さん(以下、川端):『おしゃれになりたかったら、トレンドは買わない。』は、川上さんにとって初の著書であり、今回は初のトークショーです。
川上さんは銀行員からスタイリストになったという、珍しい経歴をお持ちです。メガバンクに7年間勤務されていたんですよね。その経験はスタイリストのお仕事に活かされているんですか?

川上さやかさん(以下、川上):OL時代に感じていたことは、スタイリングに活かしていきたいといつも思っています。当時は、オンでもオフでも着られるものを選んでいました。カジュアルすぎず、カチっとしすぎないものを。銀行員を辞めた後も、着回し力があるアイテムかどうかというのはポイントになっています。雑誌の打ち合わせで、派手なコーディネートや差し色を入れたら誌面が華やかになるんじゃない?という話が出たりするのですが、派手な色はオフィスには着ていけないですよね。
 
 
 

トレンドを発信する立場で「トレンドは買わない」を提言する真意

川端:本のタイトルは各方面から波紋を呼びました。「トレンドは買わない」。川上さんは雑誌等でトレンドを提案されることもあると思うのですが……。

川上:トレンドと言われているものって、見たことのない形、色、素材のものが多いような気がしませんか? それに合わせる洋服がないんですよね。トレンドのために、それに合わせようと一つ洋服を買うと、また買わなくてはならず、洋服にお金がかかってしまうという失敗を私自身もしてきたんです。あとは、来年着られなくなってしまうものもあるので、断捨離のときに手放すのがもったいないと思っていたんです。 例えば、ガウチョパンツ。ボトムが太く、短くて、バランスを取るのが難しいアイテムです。流行り始めのときは、合わせる足元がよくわからなかったんです。当時は手を出したものの、結局、世の中は使いやすいワイドパンツに流れていきました。

雑誌でコーディネートを見て真似しやすそうだと思えるなら買ってもいいと思うのですが、「自分のキャラクターじゃないかも」「オフィスに着ていけないな」等と思ったら、そのトレンドは一巡目は寝かせることをおすすめしたいです。秋冬に出たガウチョパンツが春夏に出る場合、ブランドとしては、秋冬で出した形をそのまま出すということはないんです。必ず、秋冬での店頭での声を春夏で直してくるはずなんですよ。そうすると、すごく着やすくなっていたり、バランスが取りやすいものが出てきたりするので、2巡目であるこちらを購入したほうが、長く着られるかなと。 そういう思いを込めたタイトルです。
 

 
川端:トレンドに合わせるアイテムの方に、注意点はありますか?

川上:昨年あたりからブラウンが流行ってきましたよね。ここまで続くと思っていなかったのですが、こうなるとブラウンに合わせられるものがどんどん出てきます。色物だと、くすんだブルーやピンクと相性がいいですね。秋冬は各ブランドが暗いトーンやパキっとした色を推してくるのですが、ブラウンと合わせるとどちらも悪目立ちして、難しいんです。ブラウンがベーシックカラーとして仲間入りをした今、合わせやすいくすんだ色の小物や洋服が多く出てくるので、そういう意味でもトレンドを寝かせるということは堅実なお買い物には必要なことなのかなと。

川端:今まさに流行り始めているもので、正直買わなくてもいいな、と思うものはありますか?

川上:今年の春夏に出ていたショートパンツですね。私は膝を出すことが年齢的にはばかられるということもあり、手を出しませんでした。秋冬になってウール素材でセンタープレスが入っている、きれいめな膝丈のハーフパンツも出てきたのですが、それでもちょっと難しいなと。ショートブーツと合わせると可愛いと思うのですが、寒くなると露出する部分に履くものや、タイツの色に迷う。そうなると、私は忙しい朝の時間に考えるのが大変だなと思ってしまって。これは二巡目が世の中に出ているけれど、個人的には違うかも、と思ったアイテムです。
あとはユニクロのカラーダウンは、モコモコした素材でふわっとした色が、オフでしか使えないかなと思ってしまって、様子見しています。一方で、ユニクロのショートダウンはチャレンジしてみたいです。ベーシックカラーで。私は154cmと小柄なので、ロング丈のダウンって難しいんです。手頃な価格で買えるのもいいですね。
 
 
 

これだけは押さえたい、厳選「脱おしゃれ迷子のルール」

「キャラにない色は着なくていい」(川上さん)

川端:本著では「誰も教えてくれなかった脱おしゃれ迷子のルール56」を掲載しているのですが、「これだけは!」という4つを掘り下げてお話を伺えればと。

まずは「キャラにない色は着なくていい」。その心は?

川上:私のクローゼットの中身って、本当に地味なんです。スタイリストというと華やかに思われがちですが、実際は黒やグレー、ネイビーとか、そういう色“しか”持っていなくて。でも、“●●しか着ない”ということを、私自身は素晴らしいことだと思っているんです。
“●●しか着ない”を悲観的に考えてしまう方もいらっしゃるかもしれないのですが、これは自分自身のことをすごくわかっているということ。私はベーシックカラーが好きで、それが自分の色だと理解しているつもりです。それ意外を取り入れたときに「どうしたの?」と言われたりしますし、銀行員時代に「今日何かあるの?」とか言われるのがすごく嫌で(笑)。
好きな色、着心地がいい色というのは、深堀りしていけば素敵なコーディネートができるということです。好みとまったく違うものを無理して取り入れなくてもいいんです。
 
 
 

「サイズを上げることはおしゃれへの第一歩」(川上さん)

川端:次は「サイズを上げることはおしゃれへの第一歩」。

川上:年齢を重ねて今までの服が似合わなくなった、という話をよく聞くのですが、それは似合わないと言うよりも体が変わってきたということ。サイジングが間違っているんです。お尻や腕など、店員さんからは見えない自分でしかわからない隠している部分ってありますよね。提案されたサイズだとパツパツで着られない、なんていうことにもなる。私はいつも、36と38を試着室に持っていって、大きいサイズから試すんです。小さいサイズから着ると、入ったことに満足してしまう。でもそういう時って、パンツに横ジワが入っていたりして。38から履くと、36との違いに気付けるんです。ゆとりのあるサイズのほうが、意外と痩せて見えたりもしますし。
 
この日のパンツも、サイズにこだわったとのこと。「34も入るけど下着の線が気になるし、36はお尻が気になる。38はウエストは緩めだけど調整できるものだし、お尻周りがきれいに見えるので、このサイズにしました」(川上さん)
 
 
 

「とにかく服をまず減らす」(川上さん)

川端:次は「とにかく服をまず減らす」。本には川上さんのクローゼットの写真も掲載されているのですが、衝撃を受けます。私もすぐに服を減らそうと思いました。

川上:服を減らすことは、時短と、断捨離をしたときにいらないと判断した服の規則性を発見できるのが大きいと思っています。キャラクターに合わなかったり、手入れに時間がかかって着る機会が減ってしまったり、など。服を減らすことで、朝の服選びに迷わなくなりますし、失敗してしまった買い物の結果が分かります。好きで選びがちだけど着ないもの、の特徴が浮き彫りになるんです。
 
 
 

タンスの肥やしにならない服の選び方

川端:最後は、「タンスのこやしにならない服の選び方」。本では定番の服の選び方をアイテム別に詳しく紹介しているんですが、今日は持っていただいた服を見ながらいくつかご紹介いただけますか。

川上:まずはニット。ニットは、ハイゲージのものとローゲージのものを2つ持ってきました。
 

向かって左がハイゲージのもの、右がローゲージのもの。

ハイゲージのものは、サイズを上げるというのが基本かなと。体に張り付いて体の線が出るから、いつも着ているものよりもワンサイズ上のものを選ぶと良いと思います。中にはサイズを上げると首元が広がるブランドもあるので、着てみて見極めてください。「SLOANE(スローン)」のニットは、サイズを上げてもあまり広がらず、体周りだけがサイズが上がるのと、ベーシックカラーが豊富にそろっているのでオススメです。あと、素材にシルクが入っているので光沢があり、オンシーンでジャケットの下に着るのもいいですね。とろみや光沢があるパンツと合わせると、華やかな場所でも使えます。

ローゲージのニットは、「AURALEE(オーラリー)」の昨年のものです。ローゲージのざくざく編まれているものはカジュアルになりがちですが、これは肉厚だけどカジュアルになりすぎないんです。あと、肩が落ているとカジュアル感が出るので、先程のハイゲージのものと差がつきます。差がつかないものを買うのはもったいないですしね。
 

スカートはアイラインでスリットが入ったものを。

スカートは、アイラインで、スリットが入っているものを選びます。ここしばらくトップスにボリュームがあるものが続いていますが、アイランには体型をすらっと見せる効果があります。身長が低い人にとってはバランスアップに繋がる要素なので、意識してみてください。アイラインの要素は、色でつくってもいいし、ボウタイみたいな下に垂れるものを取り入れたり、ストライプの柄を選んだりしてもいいのですが。スリットが入っていることで、足元が見えて抜け感を演出してくれます。私はいろいろスカートを試しましたが、マイ定番かなと。長さは短いものだと子どもっぽく見えてしまうし、露出する部分に何を履いたら良いか迷うので、長さがあるものを選びます。靴はフラットを合わせてもかわいいし、ロングブーツもいいですね。
 

「DOUCE GLOIRE(ドゥース グロワール)」のストール。

ストールは、このストールに出会ってからこれしか買いません。ストールって巻き方やあしらいが難しかったりしますが、「DOUCE GLOIRE(ドゥース グロワール)」のストールは正方形でかんたんに巻けます。三角形に折って、かんたんにキマるんです。コートを上から羽織っても首周りがモタつかないのも気に入っていて、色違いで揃えています。私は正方形が使いやすいですが、巻きやすいものを探して選ぶのがオススメです。
 
 
 

「明日からのおしゃれのヒントにしてほしい」(川上さん)

川端:最後にひと言お願いします。

川上:私自身、専門的にスタイリングを学校で学んだわけではなく、アシスタント時代からの実践を経て、好きなものや着こなしにたどり着きました。無理に雑誌を見てオシャレをするよりも、好きなものを深く追い求めるほうがパーソナリティに繋がります。朝の忙しいときに服の迷子にならず、素敵なコーディネートのお手伝いになればと、この本を出しました。明日からのおしゃれのヒントになれば嬉しいです。今日はありがとうございました。
 
 
 
【プロフィール】
川上 さやか

スタイリストとしてウェブマガジン『mi-mollet(ミモレ)』で連載をもつほか、雑誌『Oggi』『BAILA』やファッションブランドのカタログなどで活躍する。大手都市銀行に7年勤めたのち、スタイリストに転身した異色の経歴の持ち主。明日オフィスに着ていけるリアルな通勤ファッションの提案に信頼を寄せるファンが多い。シンプルでベーシックなアイテムを基本としながら、知的で品のよいファッションを得意とする。身長154㎝と小柄な体型を活かした私服コーディネートも人気。

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