【222通信】Vol.1 -後編- サリーン・チェンと齋藤拓実

222の記念すべき1回目の展示はサリーン・チェンと齋藤拓実。
 
【8/17設営後の対話:後編】
前編は日常の満足度からデザイナーとしての働き方に、と話は広がって行き……。
企画側も熱く語る後編!
 
※高田舞・以下 舞) 
※高田唯・以下 唯) 
※齋藤・以下 齋) 
※サリーン・以下 サ) 
※古屋涼子・以下 涼)
前編を読む
 
唯) 二人とも30代前半だよね。年齢とはどういう風に付き合ってますか?
 
サ)今まで年齢は一切気にしたことはないんです。
人の年齢を気にしたこともなくて。
なので年齢を聞かれるのがとても不思議です。
何歳までに何かを達成しなきゃいけないという発想がそもそもなかったから。
 
唯) 日本は結構気にするよね。
 
サ) 日本に来た時は27歳で、その時点で一から始めたけど自分ではそれを何とも思ってなかったんですね。けれど、周りからはもう27歳だから、は結構言われたかな。
(スタートが遅いから)相当頑張らないとって。
30歳くらいでみんな独立するから、今27歳でスタートは相当辛いよって……。
 
唯) 本当は気にしたくないよね。
どうでもいいと思いつつ、気にしちゃう自分がいる。
40歳を過ぎると死が近づいてる気もするし。笑


 
サ) 死に近いというのはどういう気持ちですか?
 
唯) やれることが少なくなってくる気持ちがするかな。
明日死ぬかもしれないのにね。笑
こういういわゆるネガティブな気持ちになるのは外からの刷り込みが大きい気もするけれど。
でもその反面、歳を重ねて来て昔よりも感動できるようになって来たかな。
日常の感動が多くなって来てる。さっきの満足の話で言えばすごく満足してる。
もう今日死んでもいいかなっていつも思ってるくらい。笑
 
サ) 私も今日死んでもいいです。笑
 
齋) 僕は全然逆で、年齢めちゃくちゃ気にしてます。
だらだらしちゃうから、スケジュールを年齢で切ってるんです。
前の会社を辞めた時は25歳くらいで、あと5年で30歳か、と気づいた時に、あ、辞めよう、って思って。
すごく忙しい環境だったから、気づいたら時間が経ってた!ってなるのが怖くて、年齢で切って転職活動しました。
 
舞) 年齢で人と比べることはしない?
 
齋) あんまりないかなぁ。比べるとしても身近な友人と、かな。
 
唯) 年齢の話は面白いね。
一応222はなんとなくアンダー35歳って思ってて。
 
サ) その35歳っていうのは何でですか?
 
涼) 若手って言ったら……35歳以下、みたいな。一般的な概念ですかね。
 
舞) それ以上行ったら我々(40代)と近くなっちゃうもんね。
ひと世代、ふた世代離れてる方がいいかなって感じかな。
 
唯) でも表現のデビューが35歳、みたいな人もいるじゃないですか。
それはもう若手だよね。公に数字は謳わないので、35歳は何となくのもの。
 
舞) 30歳過ぎてたら、多くはキャリアとして7~8年はやってるかなってところだよね。
2組のうちのどちらかはそのくらいがいいかな。
だけどもうひと組はもう少し若くてもいいね。
そう思うと年齢というよりはキャリア、経験ややってることを見て行きたいかな。
 
唯) ちなみに中国では35歳までに一旗あげてないと人生終わり、みたいな感じだと聞いて。
 
舞) 私もそれは聞いたことがある。で、その延長の話として唯さんみたいになるのにどうしたらいい?ってよく質問されるんだよね。
でも、唯さんみたいになるのに、唯さんと同じことをしても意味がない。
それは唯さんのプロセスでありストーリーであって、その上での、あのデザインだから。
じゃあ私のストーリーは何だろう?って考えて実験・表現する力が必要なんだよね。
でも焦ってるから、早く!手っ取り早くそこに行きたいっていう感じなの。
だから、とにかくデザインのテクニックを教えてって。

サ) 香港はイギリス領だったので教育や文化が若干違う気がします。
そもそも仕事を一本に絞るという概念もあまりないかも。
最大の目標は人生を豊かにすることなので、一本にしたら狭いという考えがあります。
 
齋) 日本の場合はあれもこれもはしてはダメ、っていう感じはしますよね。
就職したらそこで長く、という風潮はまだあるし。

唯) 学生(唯さんは東京造形大学で教鞭を執っています)もやりたいことが多過ぎて決められないってよく言ってる。
絞らなきゃいけないと思っちゃってるから、色々やりたいんだけど絞れなくて焦る。
決めたらずっとやらなきゃいけないだろうし、って。
そう思い込んでるから、ハラハラして冷静な判断ができてないのかもね。
大人がどうすんの?どうすんの?って言いすぎなのかもしれないなあ……。
で、とりあえず就職ってみんな言うけどね。
とりあえず独立、はないの?って。笑
 
舞) 前例が少ないことは怖いよね。
みんなと同じだと安心っていう流れを感じるって、サリーンも言ってたけど、それって社会に出てもなお、「みんなと同じにできるように」という日本の学校教育の延長線に乗ったままでいたいってことなのかも。いわゆる正解というか王道みたいな流れがあって、それに乗っていたら安心という。
でも本当は、わからないことにぶつかって、今ここで自分にとっての正解を勇気を持って出してみることこそが仕事や自分の幅を広げることで。
この経験の幅をちょっとずつ広げていくことが私は成長だし成熟だと思ってるからそれは年齢関係なくて死ぬまでやりたいなと思う。
自分の心地いいゾーンをどんどん広げて行ったら、どこに行っても楽だし楽しいかなって。
もちろん狭いところを掘っていく喜びもあるから、それはその違いを分かち合えるといいなとも思う。

唯) 掘りたくなるようなことを探したいね。
これはもうちょっとやりたいかも!!ってことを見つけて
掘って、飽きて、また探して。
 
サ) 穴だらけでいいんですね。
 
ふたりとの対話は、会期後のインタビューに続きます。お楽しみに。


222(ツーツーツー)とは?
代官山 蔦屋書店の建築・デザインコンシェルジュとして日々企画展を運営する古屋涼子、グラフィックデザインのかたわら多くのイベントや企画展/個展を開催してきたAllrightの髙田唯/髙田舞を中心としたプロジェクトチーム。ロゴは平山昌尚。このブログでは、222でキュレーションした展示における様々な対話をアーカイブしていきます。
Instagram:https://www.instagram.com/222_two.two.two/

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