【222通信】Vol.1 サリーン・チェンと齋藤拓実④

【9/7撤収後の対話:後編】
タイトルに込められた思いを聞きながら、同世代の2人が共通で感じていること、表現に対する評価やそこから生まれる葛藤について丁寧に紐解いて行きました。仕事自体の次なる可能性も少しお話しています。

※高田舞・以下 舞)
※齋藤・以下 齋)
※サリーン・以下 サ)
※古屋涼子・以下 涼)

▶撤収時のインタビュー③


 
舞)タイトルにある different は今回の大切なテーマだね。
サリーンが書いてくれたメモのデザイナーが作るものの在り方、これにちょっと通じるというか。何かちょっとした気づきを与えたいということなのかな。

サ)そうそうそう。

舞)それを大事にして、悩んで作ったんだなって思ったよ。
並べば同じ商品だけど、ここにどれだけ自分の意思を込められるかの挑戦を感じたかな。

サ)ただ表現したい、私の表現を見て欲しいというよりは見てくれる人にとっても何か吸収できる何か…。そう、栄養にできるようにしたいなって。
あ、こういう見方もあるんだね、というちょっとしたユーモアというか。

舞)それこそ、ここで対話したことからも栄養をもらったよ。
サリーンは元々そういうことに関心があって、それがサリーンの在り方だから、今はこういう風に意思が形として出て来るんだろうし、発言にもそれを感じる。
相手の世界をちょっと広げるというか、視点を加えて広げるような。

サ)話がずれるかもしれないんですけれど、社会に出てデザインをすればするほど少しズレを感じる部分がありまして(笑)。
自分から色々と発信して表現してということが求められる中で、自分は周りからどういうことを吸収できて、自分の観察を通して人のために何ができるかを考えるのが私の在りたいデザイナー像なのかなと。もちろんどっちも必要かもしれないけど。
私には、誰を幸せにするのか、がすごい大事で。
外側にエネルギーを向けるのは自分の幸せ。内側にエネルギーが向くのははみんなの幸せになる。そう感じています。

齋)すごくよく分かる…。

舞)分かるんだ〜!
 今回内側のエネルギーをどう出すかを悩んだのかな。

サ)そうですね。そういう葛藤の中で作って行ったものだから、100%自分の表現とはちょっと思えない部分もあります。
100%自分の表現だったらもっと変なことをやったかもしれないですけど、それが今みんなにとって必要なものなのかまたちょと違うかなって。そのバランスを取ることにすごく悩みました。 結果的にデザインとしては優秀じゃないかもしれないですけど、考える、感じるレッスンにはなりました。

舞)次につながっていきそう?

サ)そうですね、この展示を通してみんなの反応が見られて、最初の決断がどう影響したのかとか、もうちょっと攻めてもよかったな、逆にこれはあんまりなんだな、というのは何となくわかりました。

舞)周りの反応をどう受け取った?

齋)自分では売れると思ってなかったものが売れるっていう…。これ(ボトルのZINE)は、そんな売れないかもなと思っていて。ボトル自体も売れて。

サ)ボトル買った人にインタビューしたいね(笑)。

涼)海外の方がギフトとしてボトルを全て購入していましたよ。お土産かな。

サ) 齋)
え!なおさら聞いてみたかった!(笑)

舞)この場所でやるって面白いね~!


 
齋)Tシャツにした方の作品も、前の展示するまで、いいのかな?って(笑)。
僕の場合はそんなもんなんですよ。すごく自信持って出すってことはなくて。
あんまり自信ないから。基本的に(笑)。でも出していいラインは割と明確にあるっていう感覚。

舞)自信ってなんなんだろう?受け入れられるかどうか?他人の目?

齋)売れなきゃいけないっていうプレッシャーは多少ある中で(補足:222は物を売ることについても作家に問いを投げているのでプレッシャーになった模様)そこに対して自分がどう答えるかってなった時に、やってみたいことを生き生きやってみることかなって振り切ったんです。 そう意味で自信はなかったな、という。

サ)このTシャツすごく売れてましたよね。自信にはなった?

齋)うーん(笑)。そうですね。

舞)人の評価によって自信が得られる?

齋)自信自体はそうですね。
でもそれと自分が外に出していいって思うボーダーラインみたいなのはそんなに結びついてるわけではない…って気づきました。
作った後に、ボトルのZINEはそもそも紙を薄くしたらよかったかな、とか印刷が思った感じとは違ったりして、思うことは色々あったんですけど、そもそもそんなに売れないだろうからいいかと思っていたら、この厚みがいいと言われたり印刷が海外の雑誌みたいで格好いいという評価をもらって思ったより売れて。人の意見によって自分の思い込みが外れて感覚が広がる感覚があったのは面白かったですね。

舞)サリーンは周りの反応をどう受け取った?

サ)みんながどう見てたかが結構気になっていました。
見にきてくれた人がInstagramなどにあげてくれた写真を見て、写真の撮り方、角度、何を思って撮ったかを詳細に見ようとしている自分がいました。
細部を見てくれてる人、展示を見たよ!というアクションをあげている人。
どっちかによって自分がどういう風に評価されたかのは少し繋がってる気がして。
総合的には、すごくいいと言えなかったかなと、自分の中ではそういう印象を受けました。

舞)実際どうなんだろうね。

齋)反応を知るのって、会期中に偶然会って話した人か、Instagramからしかなくて、意外と他にはそういう機会がなかったとは僕も思いました。
今までの展示は在廊してることが多かったのでもっと具体的に聞けたから、ちょっと不思議な感覚でしたね。

舞)ギャラリーじゃないからね。
それこそ222がアーカイブを見せることで、正直こう思ったんです、って返ってくる場所があればいいのかもな。今の仕組みだと感想が伝えづらいよね。
静かに買って、静かに感動してる人もいると思うけれど。
でもそうか。思いをかけて作ったからそう思うんだね。誰が買ったのかな、どう思ったかな。
私たちはどう受け止めたらいいんだろう今回のことを。って。
この先あの展示をを見たんですって仕事が来るかもしれないしね。
そう思うとこれだけ物がある中でやるってこと、誰がどう見るかわからないからこそ、細かいところに意思を潜ませておかなきゃいけないのかもね。
パネルひとつ貼るのですら、できることはもっともっとあるかも。…ということに気づくよね。

サ)これをやってみて初めて、他のブースのクリエイターさん達が、ここでどういう考えでどういうものを置いてるのか、すごい興味を持ちました。
もっとすごい先輩達はどうしてるんだろうなって。
私も仕事でギャラリーでの物販に関わることがありますが、素敵と思えるものが必ずしも売れるわけでもないんですよね。それは場所のカラーも大きい気がします。
だから今回この場所に適したものってなんなんだろうってすごい考えました。
そのまま今回の商品を別の場所に持って行っても同じ反応があるわけでもないと思いますし。
不思議です。奥深いですね。

齋)ちょうど同じ時期にクリエイションギャラリーG8(2023年9月閉館)で唯さんと中村至男さんと2人で展示をされていましたよね。
状況は違うけど、2人でやってるって点では似てるから、どういうやり方をしていたのかなというのは気になっていました。
サリーンと僕でやったからこういう形になったけど、人が違ったら絶対違うだろうし。揉めたり…(笑)。
でも、お2人のトークを聞いて、当たり前だけどまた違ったやり方で、そうか別に正解はないのかと。
僕らで作ったビジュアルに関しては結果的に掛け算にはなってて、その掛け算の仕方は色々あるんだなって。
一人でやるのもいいけれど、可能性を広げるにはたまにこうやって誰かとやるのって大事だなと思いました。
けどこの状況を作り出すって展示ぐらいしかしかないだろうから、仕事ではどうやったらいいんだろう…。
あのビジュアルを見て仕事を頼みたいですって依頼があれば2人でってなるけど、そうはなかなかならない気がしますが…。掛け算の方がいい場合も結構あると思うんですけど。

舞)それこそAllrightが今やってる仕事は唯さんにきたオファーだけど、海外のデザイナーも入れたいって提案してOKもらったよ。
うまくプレゼンできて、それはいい!ってなれば叶うんじゃないかな?

齋)確かにそういう可能性はいっぱいありますよね。

舞)ぜひやってほしい。
すごく刺激を受けあって、お互い良い影響があるし。うまくいかなくてもそれはそれで良い影響だと思ってるよ。
このやり方じゃない方がいいんだ、とか今の自分を改めて見るチャンスにもなる。ぶつかるのも悪いことじゃないと思うから。

齋)みんな避けがちですよね

舞)ぶつかるのは悪いと思ってるのかな。でも自分の意思が出るってすごく大切だから。
ああ、自分はここだけは譲れないんだ、っていうのがわかるだけでも大きな価値があると私は思うんだけど。
確かにストレスはかかるし疲れるから省エネタイプの人たちは避けるかもね。
でもほっといて自分をやればいいんだと思う。いいヒントだったな、ってやってみたらいいね。
次のチャレンジとして。面白かったならばやってみたら。自分の仕事にサリーンをジョインさせるとか。
ちゃんと予算を取る交渉をするのもチャレンジじゃない?それが自分を広げていくってことだと思うよ。

涼)声をかけて、すぐやるって言ってくれたことがすごいんですよ。しかもその場でここにすぐ呼び出すっていう(笑)
(斎藤さんの相方としてサリーンに声をかけた時のエピソード。サリーンの職場が会場すぐだったので、やります!行きます!となって進んで行きました)

舞)結局そういうことなんだよね。

涼)そんな急に無理ですっていう人が多いと思いますもん。

サ)大丈夫?って最初聞いてくれたんですけど。

齋)仕事も忙しいし、準備期間もないし。
無理して体調崩すのはさすがに違うから、それで大丈夫?って。

舞)2人とも短い期間で頑張ってくれて色々感じたことを話してくれてありがとう。
でも時間があればいいってもんでもなくて、経験から言っても時間がないからできることもあると思ってて。たとえ完璧なものが仕上げられなくても。向き合った、ということが大事だから。

サ)今回展示に参加して、こんな風に喋る機会があったのことがとてもありがたく感じます。

齋)普段は喋れない?

サ)職場ではゆっくり仕事を振り返る時間があまりないので、このようにチームメンバーで感想を言い合う時間があってもいいなって思いました。

舞)別の会話ができる場所が今回あったということがよかったのね。

サ)嬉しいです。

舞)私も嬉しい。初回からとても豊かな会話ができて。
おかげで222はとても豊かなプロジェクトになりそうだなって思う。
私はこういう対話がすごく大事だといつでも思っていて。
私も変わるし、みんなも変わるから、変わっていく私たちが、今この瞬間で話せること 感じてることをシェアする。で、また頑張ろうね~となるのがすごく大事だと思ってる。
今のあなたに影響を受けて私もまた変わって。それが面白いよね。
変わっていいと思ってるから。変わってはいけないと思うと苦しい。だから完璧はありえないね。変わる方が面白い。

 
 
222(ツーツーツー)とは?
代官山 蔦屋書店の建築・デザインコンシェルジュとして日々企画展を運営する古屋涼子、グラフィックデザインのかたわら多くのイベントや企画展/個展を開催してきたAllrightの髙田唯/髙田舞を中心としたプロジェクトチーム。ロゴは平山昌尚。このブログでは、222でキュレーションした展示における様々な対話をアーカイブしていきます。
Instagram:https://www.instagram.com/222_two.two.two/

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