【222通信】Vol.1 サリーン・チェンと齋藤拓実③

【9/7撤収後の対話:前編】
日本での展示やポップアップは初めてだったサリーン。二人展やグループ展は大学の友人としかしたことがなかった齋藤拓実。撤収後すぐに2人の今の感覚を聞きつつ、企画側も次回以降のキュレーションに生かすために色々と質問を投げかけました。

※高田舞・以下 舞)
※齋藤・以下 齋)
※サリーン・以下 サ)
※古屋涼子・以下 涼)

▶設営時のインタビューを読む 前編 後編
【222通信】Vol.1 サリーン・チェンと齋藤拓実①
【222通信】Vol.1 サリーン・チェンと齋藤拓実②

 

 
舞)二人でやってみてどうでしたか?

齋)そもそもサリーンとは友達として遊んでいて、作品の話はしたことがあまりありませんでした。
各々のことを話す機会もなかったし、こんな感じで作品を作ってるんだ、とシェアすることもなかったから面白い体験でした。
キービジュアルを一緒に作ったプロセスは特に。
ペース感とかノリも違うし、二人でやるという経験は他に大学の友人としかなかったからまた全然違うなぁと。新鮮でした。
キービジュアル以外にも時間があったらもうちょっと一緒にやってみたかったですね。
サ)本当だったらもっと展開したいよねという話もしていましたね。

齋)グッズでもコラボレーションしてみたかった。
ちょっと間に合わなかったというのは心残り。

舞)やっていく中でそう思ったの?

齋)初めからですね。どうせやるなら…とは思っていて。

サ)最初から結構一緒にやってる感じはあったんですけど、いざキービジュアルが出来ちゃったら、それぞれになっちゃった感じでしたね。

齋)ちょうど二人ともバタバタしてて、結局制作の過程でのやりとりはほぼキービジュアルだけになっちゃって。もったいなさは感じましたね。

舞)やろうと思ったら出来たのかな?

齋)今回はちょっと難しかったですね。
そもそも自分のスケジュールが限界だったかな。

サ)もう2週間あったら出来たと思う。

舞)そうか。やりたかったね。確かに時間がなかったよね。
結局どのくらい準備期間ありましたか?

齋)1ヶ月半くらいだったでしょうか。
2ヶ月あれば…!って感じですかね。

サ)ですね。途中、スタートが延期になったのでそれでだいぶ助かりました。
(注:スタートが二週間くらい押しました)

舞)今回の1回目は本当に急なことで、ルールとして設定していた企画書は間に合わずGOってなったけれど、企画書も作って…ってなったら、もう少し時間必要だったよね。

サ)そうですね。あとは、もともと販売物を持ってるかどうかは結構大きい気がします。
私たちは何もなくて1から作る感じだったから。

舞)この企画としては、販売物もあるものを並べるより、意図としては新しく作ってもらう方がいいと思っていて。2人展に合致した物を1つでも。
そういう意味では今回すごくよかったと思っています。理想的な内容だったかと。
元々売るものがあると頼っちゃうところがあるでしょう。これで半分埋まるなぁ、って。
負担を考えずに言わせてもらうと、新たに作ってもらった方がお互い発見があるだろうなとは思っていて。
影響しあって作っていく過程こそが面白いし2人でやる意味もより明確になるというか。
ただそうなるとやっぱり時間はある程度いるね。

齋)タイミング的に僕の場合だとZINEが間に合わなかったのはお盆のせいで。

舞)なるほど。そういう時期も配慮した上でタイミングを設定して行く必要があるね。
あとは経験にもよるよね。初めてこういうところでポップアップする人の場合はそれなりにやったことある人と組み合わせる、とかね。

齋)そうですね。僕らは多少関係性があったから割とすんなりスタートができたけれど そうじゃない場合も全然ありますよね。

舞)あくまで企画を対等に(企画側=表現側)やるのがこの222ではとても重要だから したいことを引き出しながら本人たちが主体的にやって行けるやり方を模索して行きたいな。
今回2人でやって、それぞれのやり方・考え方があったでしょう?
それについてはどう感じましたか?メモに書いてくれていたこともあったけど
終わってみてさらにどう感じたのかな?

齋)当たり前の話だけど、キービジュアルひとつとっても、使う色も書体も違うし、判断の仕方も違う。進めて行く中でそういう違いを楽しみながら、この色の使い方は参考にしようとか、そんな風に判断するんだ!というような楽しい驚きもあって。
自分の仕事だけだと、使う色がなんだか一緒だなぁとか、表面的なことですけどそういうのがいっぱいあって。
それは良く言えば個性なのかもしれないけれど、悪く言えばマンネリで、ちょっと変えてみようっていうきっかけにもなったので、こういう体験をもう少し作れたらいいなと。
ひとりだけでやっていると判断が早くなるという意味ではいいんですが、選択肢が広がらないというか。それがサリーンとのやりとりの中では「あ、そっち行くか」という驚きがあったので、自分の仕事でも活かせる要素でもあるなと思って。
普段の仕事も、サリーンだったらこうやるかなぁ、書体もこうだったりして、なんて考えてみるのも楽しいなって。
それとこの間のサリーンの年齢の話は面白かったですね。ああいう話はきっとこういう機会じゃないと出てこないから。

舞)確かに途中で対話するのは面白いね。

齋)LINE上で制作のやりとりしていたので、なんでこういう色なの?といったプロセスについて細かくて聞くことはなくて。だから、こういう意図かな?って想像したりして。
その後でも具体的にこの色はこうで、というやりとりはしてないんですけれど、前回話した年齢とか文化の違う感じとかを聞くと、ああ、自分の選択は無意識に環境から影響を受けているんだなって思ったり。

舞)自分の世界の外側の視点をもらった感じ?

齋)年齢で影響受けてることはないと思ったけど実はあるかもな、とか、思い込みも結構あるんじゃないかって。

舞)それはすごい発見だね!

サ)私は進める中で、一緒に作業できる場が欲しいと思っていました。
通常の仕事がある中で準備をしていたので、なかなか意識を切り替えて進めることが難しくて。
できたらお家遊びに行って、ついでに作業も一緒にできたらきっともっとコミュニケーションも取れましたね。
あとはもう少し早い段階で決まっていたら自分の空いているスケジュールを全部押さえておくこともできたかな。

齋)2人とも東京にいないという時期もあったしね。

サ)そう、少し空いたんですよね。キービジュアルがこんな感じって決まった後、1~2週間空いてしまって。

舞)そういうのもタイミングだね。そう思うとその中でよくやったね。
 サリーンは彼から何か影響は受けましたか?

サ)今まで時々一緒に遊んでたんですけど、こんなに齋藤くんは面倒見がいいとは!って(笑)。
今回の展示を通してすごくそれを感じました。

舞)どんなところで感じたの?

サ)包容力って言えばいいんですかね。

デザイナーって基本みんな主張するじゃないですか。こういう表現をしたい、とか。
こういう意図だから、この色をどうしても入れたいとか。当たり前のこととして。
それをすごく受け入れてくれるなって印象が最初からずっとあって。
自分が投げたアイデアに対しても、面白いね、とか、いいかも、とか、とてもポジティブなことを色々言ってくれて、感動したんです。

齋)いつもいつもそういう訳ではないんです。ただ今回はサリーンからきたアイデアが本当にいいなって思ったから、じゃあもう今回は乗っかってみようっていう感じでした。
こないだ別で開催した3人展のときは逆に僕がイニシアチブを取ってそれぞれの主張を引き出しながらやったんですよね。
でも今回に関しては面白くて新鮮だったから、乗っかった方が全体を見てもプラスな面が多かった気がしたので。

サ)ところどころ、あれ?スムーズ過ぎない?
齋藤くんはちゃんと自分のやりたいことできたかな?って何回も思っていました(笑)。

齋)もちろん必要なところは主張しましたよ(笑)。
共有したデータの中にビジュアルのキャッチボールの経過の記録があるんですけれど、僕がラフを投げたら、サリーンがレイアウトで返してきて、それがまずびっくりで(笑)。もう少し対話をしてからしか進めたことがなかったから、お~新鮮!て。
そこからスタートして2人であーだこーだやっていたら段々とシンプルになって行って。

サ)でも途中見返したら、器のフェアみたいなビジュアルになっていて(笑)。

齋)そう(笑)。
そのタイミングで日にちも決まったので入れて、揉み直して器以外も入れて。
で、ちょうどロゴ(222のロゴ)も来て。



涼)このタイトル(Every Day A Little Different)は二人で決めたの?

サ)はい。元々はタイトルって必要だろうか?っていうのが共通の意見で、最初は無かったんです。

齋)でも途中で必要だねってなって。
普段の作品の作り方の話になった時に、サリーンが普段撮ってる写真を見せてくれて、どうしてこういうのを撮ってるの?という話から、このタイトルになって行きました。

サ)デザインのインスピレーションは割と日常からきていて、それをちょっとアレンジすることで、目新しいものになるというのがなんとなく共通点としてあると気がついて。

齋)お互い生活に根付いたところから物を見ているよねと。
それと、サリーンとやるならタイトルは日本語ではなく英語かなと。

サ)英語は苦手だからとお願いされて(笑)。
それで、サラっと書いてこれになりました。

涼)タイトルの意味、ふたりの言葉で説明してもらえますか?

サ)実は最初はdifferentじゃなくてspecialだったんですよね。

齋)でも、すごいことに気づいてって話じゃないねって。
どっちかというと少しの差、というか、ちょっとした違い、みたいな。

サ)毎日を少し違うように捉えて、みたいな感じじゃなかったかな?
自分のことっていうよりは、作品や商品を見た人にとって。
展示した場所との関係性というのもありますね。ここがライフスタイルのエリアだから、見せるものも日常と関係するものの方がここに合うねって話もして。
見てくれる人の毎日に少しの違いを与えられるように。

 
 
222(ツーツーツー)とは?
代官山 蔦屋書店の建築・デザインコンシェルジュとして日々企画展を運営する古屋涼子、グラフィックデザインのかたわら多くのイベントや企画展/個展を開催してきたAllrightの髙田唯/髙田舞を中心としたプロジェクトチーム。ロゴは平山昌尚。このブログでは、222でキュレーションした展示における様々な対話をアーカイブしていきます。
Instagram:https://www.instagram.com/222_two.two.two/

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