【第1回】今井義浩の本棚『monk: Light and Shadow on the Philosopher's Path』(Phaidon)刊行記念

京都哲学の道に佇む、1軒のレストランmonk。

提供しているのは、彼自身の目で選び抜かれた食材を新窯で調理した、シンプルな料理ですが、食べ手の「五感」に訴え、心に残る時間をも届けています。

毎日畑に足を運ぶことで感じる、自然の偉大さや四季の移ろい。

日々、目にする全ての美しいもの。哲学。パッション。

今井氏が影響を受け、自身の料理に映し出す"源"となっている本15冊を、ご本人のコメントと共に味わっていただきます。(全5回)
 
 

【1冊目】調理場という戦場/斉須政雄/幻冬舎

 
料理人としての在り方、仕事との向き合い方、誠実に生きること。料理の道に進むより前に庭師の先輩から頂いたこの本は、その後の私をずっと支えてくれています。修行時代の頃から今に到るまで、常に側に置いてページをめくり、斉須さんの言葉を糧に前へ進んできました。心が通じ合うシェフの仲間の中でも、この本をバイブルにしている人は少なくありません。そして、この10年間、私の下で働いてくれる事になったスタッフには必ずプレゼントしてきた特別な一冊。
 
 

【2冊目】おいしいとはどういうことか/中東久雄/幻冬舎

 
山野草を主体とした京都の和食のレジェンド、「草喰なかひがし」の中東久雄さん。今回のmonkの本では、その哲学と熱量を惜しみなく注ぎ込まれた素晴らしい序文を書いて頂きました。そしてこの余りに本質的なタイトルを冠した中東さんご自身の著書も、幼少期から今に到るまでの経験、思索の過程が刻み込まれています。唯一無二の道を築き、深く探求を続けられている中東さん。今でも毎朝、大原の畑でお見かけする彼の背中は、私にとっての希望です。
 
 

【3冊目】そのときみえるもの/御菓子丸 杉山早陽子/torch press

 
京都在住、同世代の和菓子作家である御菓子丸 杉山早陽子さん。彼女の著書には衝撃を受けました。食という世界でここまでの表現をできる方がいるのかと。
和菓子という手の平に乗る小さな造形の中に、途轍もないイメージの連続と時空間、宗教観までもが拡散し、そして結晶化しています。それぞれのお菓子に添えられた美しく透徹な言葉もまた杉山さん唯一無二のもの。このような境地に到達している食の本を、私は他に知りません。
 

【プロフィール】
今井 義浩 (いまい・よしひろ)
1982年茨城県生まれ。
エンボカ京都シェフを経て、料理写真集"CIRCLE"を出版。
その後フリーランスの料理人として旅をしながら料理を作る。
2015年末、京都にて自店"monk"をオープン。
2021年、Phaidon社より"monk: Light and Shadow on the Philosopher's Path"を出版。
 
 
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【関連フェア】monk~五感に訴える「追求されたシンプルな味」

料理コンシェルジュ
田中

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