【展示】西村友輝『 Force Is Mine Ⅱ 』

アート
蔦屋書店2号館 1階 ギャラリースペース 2026年10月01日(木) - 10月14日(水)
美術家 西村友輝の展示を開催いたします。
アルミホイルで物体を覆った代表作なシリーズ「The Thing」の展示販売いたします。


高校生になった頃、上京していた兄から真っ白なエアフォース1を贈られた。
地元の高校生だった私にとって、そのスニーカーは眩しいほど特別なものだった。
汚すのが惜しく、しばらく箱にしまって眺めていたが、通学にも慣れた頃、ようやく履いて学校へ向かった。

しかし、それはほんの短い時間しか私のもとになかった。
通学に使い始めて間もなく校内で盗難があり、その日を最後に私のエアフォース1は戻ってこなかった。犯人は同級生だった。後に兄はその話を聞き、「盗んだ側じゃなくてよかったね」と言ったという。

世間に広く愛されるそのスニーカーを、私はどこか避けるように眺めてきた。
広く共有されたイメージや価値を持つものでも、それに結びつく感覚や記憶は個々人によってまったく異なる。ある人にとっては憧れであり、ある人にとっては日常的な消費財であり、また別の誰かにとっては喪失の記憶かもしれない。

「The Thing」の作品では、物体をアルミホイルで覆い、その本来の姿を曖昧にしている。私たちは覆われた対象を前に、それが何であるかを理解しようとする。しかしその認識は、それぞれの知識や経験に基づいた推測に過ぎず、そこには必ず個人的な解釈の差異が生まれる。

物事を認識するということは、思っている以上に曖昧で、不確かな営みなのだと思う。そして私は、その「分かり合えなさ」を否定するのではなく、むしろそれを「分かち合いたい」と考えている。互いに異なる感覚や記憶があること、それぞれに固有の物語があること。その事実を理解し、尊ぶための余白として、この作品を提示している。
 

【プロフィール】
西村友輝(にしむら・ともてる)
頭の中に立ち上がるイメージを実在するモチーフとして再構成し、それを起点に主にペインティングを制作。アルミホイルで物体を覆ったシリーズ「The Thing」では、対象の情報を意図的に曖昧化することで、私たちがものごとを認識し理解する過程そのものを主題化している。
見ることと捉えることのあいだに生じる揺らぎを通して、認識の不確かさと、その先に広がる想像の余白を提示する。現在、関東を拠点に活動。
  • 会期 2026年10月1日(木)~2026年10月14日(水)
  • 時間 営業時間の通り
  • 場所 蔦屋書店2号館 1階 ギャラリースペース
  • 主催 代官山 蔦屋書店
  • 問い合わせ先 03-3770-2525

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