【展覧会】岡安秀士 個展「みみをすます/ Whisper of the Midnight 」

アート
2022年10月29日(土) - 11月18日(金)
岡安秀士による個展「みみをすます/ Whisper of the Midnight」を銀座 蔦屋書店アートウォールにて10月29日(土)〜11月18日(金)の期間に開催いたします。
 
岡安秀士は、ニューヨークを拠点に活動するアーティストです。写真やドローイングなどにより蓄積した日常の膨大な記録を画面の中に再構築し、独自の心象風景を描いています。
今回の展示では、岡安が近年取り組んでいるニューヨークでの生活を背景に描いた夜の心象風景画シリーズから新作を発表。谷川俊太郎作の詩「みみをすます」からインスピレーションを得て制作した大型の絵画作品「Whisper of the Midnight」を中心に絵画作品3点と、夜のニューヨークのストリートにいる人たちをかたどったセラミックの彫刻シリーズ「Midnight Tour」を発表します。岡安秀士が日本で作品を発表するのは、10年ぶりとなります。彼の描く、悲しさをはらんだ美しい世界を、どうぞご覧ください。
 
[本展に寄せて]
岡安の作品は、彼の日々直面する様々な事象の二面性を探求しています。 奇妙さと美しさ、現実と虚構、喧騒と静寂、混沌と調和、オフラインとオンライン、現在と夢、過去と未来。ドローイングとペインティングの制作のプロセスを通じて、彼は記録と再構築の無限の実践から2つの世界の間を自由に行き来させます。

 岡安の心象風景作品では、複雑な前景と鮮やかな色の群れが、シンプルで滑らかな背景とのコントラストを生み出しています。 それでも、彼らは一貫した孤独で静かなムードの中で互いに調和しています。 ヒップホップのサンプリング手法に影響を受けた岡安は、構成要素を日常生活での経験や様々な文化と出会う中で視覚的に、そして聴覚的に捉えたものから選択します。 日本の江戸絵画から近代の西洋絵画、アニメーション、漫画、そしてそれらのエッセンスをキャンバスに融合させ、彼が存在する世界を観察し、表現しています。 彼の世界は退廃的でシュールでありながら、どこか現実世界に忠実であり、不安と同時に私たちに希望を提示しています。

Young Jeon SPACE776 Gallery Associate Director
 
[アーティストプロフィール]
岡安 秀士(おかやす・しゅうと)
 
1990年 埼玉県生まれ。
2014年東京造形大学グラフィックデザイン専攻卒業。
2015年に渡米し、以後ニューヨークを拠点に活動。写真やドローイングなどの日々日常の膨大な記録を画面の中に再構築し独自の心象風景を描く。

主な個展
「The Night Has a Thousand Eyes」(Space776Gallery ニューヨーク、アメリカ、2021)
「Midnight Tour」(Space776Gallery ニューヨーク、アメリカ、2020)
「Daidarabotchi」(Space776Gallery ニューヨーク、アメリカ、2018)

参加アートフェア
Volta New York Art fairs (ニューヨーク、アメリカ、2022)
Volta Basel Art fairs (バーゼル、スイス、2021)等
 
[作品集『Whisper of the Midnight』発表]

 
本展の開催を記念し、岡安本人プロデュースによる新作作品集『Whisper of the Midnight』を発売。
銀座 蔦屋書店店頭・オンラインにて販売いたします。
※会期中の販売分は、サイン・ドローイング入り

著 者|Shuto Okayasu
発行者|岡安秀士
発売日|2022年10月29日(土)
価 格|2,970円(税込)
仕 様|B5変型/36ページ

\オンラインストアで購入する/
2022年10月29日(土)10:30~販売開始
 
[作品について]
 
「Whisper of the Midnight みみをすます」3150x1270mm, Acrylic on canvas, 2022
 
「Whisper of the Midnight」
今回のメイン作品「Whisper of the Midnight」は、約40年前に作られた⾕川俊太郎の詩「みみをすます」を、岡安が偶然ニューヨークで読み、⽇々の⽣活と現在のこの世界起こっている様々なことを想い、共鳴したことがきっかけで制作されました。この作品の⼼象⾵景は、岡安の寝室、アートスタジオ、近所の街並み、マンハッタンの夜景、それら全てを覆い尽くす海など、作者が⽇々直⾯している様々な⾵景が組み合わさってできています。そして画⾯上には、詩の中に出てくるそれぞれの⾔葉に共鳴するような⼈やモチーフが、岡安の⽣活の中での実体験を通して、随所に登場します。さらに、今年公開されたWEBB天体望遠鏡の鮮明な宇宙写真や、現在世界で起こっている戦争など、作者がネットを通して知った⽇々の出来事が各所に描かれ、2022年、現代の解釈が加わっています。また、本作には歴史的な絵画作品が多く参照されており、特にゴーギャンの『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ⾏くのか』は本作のテーマも含め、構図にも⼤きく引⽤されています。右から左へと時が移り、⾕川俊太郎の詩と同じように夜から朝へ画⾯が流れるような構図になっています。中央に眠る夜の⻘⾊の⼥性とそれを取り囲む様々な街とこの世界の雑踏。夜の静寂の中、⽿をすませば確かに聞こえてくる、この世界の⾳や空気感が画⾯上に漂っています。
 
 
「Sleep Walker」2022 Acrylic on canvas 1219 x 914mm
 
「Sleep Walker」
絵画作品「Sleep Walker」は岡安の住んでいる近所のデリ(⽇本でいうコンビニエンスストア)と、その前に夜にたむろしている⼈達の情景が描かれています。ここ近年のコロナ禍の中、マスクをしつつ肌を寄せ合っている⼈たちや、ストリートに落ちているロトカードの破⽚やリカーボトルなどのゴミ、所々に貼られたグラフィティのステッカーの痕跡、低所得者に向けての保険のポスターなど作者を取り囲む現代の⽣活が⾊濃く描かれています。また、この場所は作家の⾃宅からスタジオまでの通り道であり、⽇々の⽣活や制作に疲れ意識が朦朧としながら歩く帰り道にそこから⾒た⾵景や体験が元になっています。⽔性の絵の具のにじみなどで表現されたぼやけたデリの光や、有機的に変形した⼈達の形が、作者のその時感じた感情と空気感を表現しています。
 
 
「Midnight Train」2022 Acrylic on canvas 1219 x 1168mm

「Midnight Train」
絵画作品「Midnight Train」は、ニューヨークの電車内の風景が元になっており、時々起きる電車内の停電で暗くなった中、中にいる人々が外に並走する光線と月明かりに照らされています。そこには様々な人種の人たちが佇んでいます。スマートフォンを見ている人や、肩から国旗を掛けプラカードを持った何かのプロテスト(抗議)を行った帰りの人、犬を連れて席で寝ている浮浪者の足、作業着の人、車内で何かを吸っている人など、岡安が普段ニューヨークでの生活で見かける人々が描かれています。外を見ると電車は海の上を走っており、これからどこに向かうか分からない静かで不穏な空気が車内に漂っています。

 
「Midnight Tour」シリーズ「Sleep Walker」2022 Ceramic on wooden pedestal Sculpture 15 x 15 x 15cm
※作品・台座はイメージ。実際とは異なる場合があります

「Midnight Tour」シリーズ
彫刻作品「Midnight Tour」は近年始まった新シリーズで、無数の筆跡で表現された夜の光に包まれた様々な⼈々が、他の絵画作品に呼応するように台座の上をさまよっています。また台座に使われている幾何学模様は、ニューヨークのストリートのコンクリートや鉄格⼦の模様が元になっています。⼈間は、⽂明を発展させ、作品を残し、宇宙の真理を探究し、永遠を求める。しかしながら、すべてのものには必ず終わりと無が訪れる。その虚しさを抱え続けるのが⼈間なのではないかと、制作を通じて感じたという岡安。それでも彼は、その⽭盾をふくんでなお、この世界の美しさを描くと語ります。

 
  • 会期 2022年10月29日(土)~11月18日(金)※会期は変更になる場合もございます。
  • 時間 当店Webサイトをご確認ください。※ 最終日は17時閉場
  • 会場 銀座 蔦屋書店アートウォール
  • 料金 無料
  • 主催 銀座 蔦屋書店
  • お問い合わせ 03-3575-7755(営業時間内) / info.ginza@ccc.co.jp
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