【展示】大野菜々子 作品展

アート
2023年06月10日(土) - 07月07日(金)
人々の痕跡=「遺してくれたもの」に突き動かされ表現するアーティスト、大野菜々子の作品展を、2023年6月10日(土)〜7月7日(金)の期間に開催いたします。
 
大野菜々子は、東北芸術工科大学日本画コースを卒業した後、山形という自然あふれる地で日本画を学び、自然や生命について考えながら制作を続けてきました。
間接的な表現でありながらどこかノスタルジアな余韻がある大野菜々子の世界をぜひ会場でお楽しみください。
 

「夏の午後1」 500×606mm、キャンバス、アクリル絵の具、2023
 
 
[ステートメント]
私はいま、東京の大きな川の河口の近くに住んでいる。河原は私のお気に入りの場所で、よく散歩に行っている。

東京に引っ越す前は、山形市に10年ほど住んでいた。山形市はその名に山という字が入る通り、大小様々な山に囲まれていた。
山々は春には萌葱色の中に山桜が咲き、夏には葉を青々と茂らせ、秋には燃えるように紅葉し、冬は白銀に覆われる。季節の移ろいをたくさんの色で感じていた。その色たちは圧倒的に美しく、恐ろしくも癒しを与えてくれるものでもあった。また、人間個人では持つことのできない、大きな力でもあると感じさてくれるものでもあった。

東京に住んでからは、そういった山々の色はではなく、季節は気温や湿度で感じるようになった。寒さが続くと思えば、急に暑くなったり、さわやかな風が吹いていると思えば、温室の中のように蒸し暑かったり。最近は急激な変化も多く、今までに無かったその変化に、少し怖く感じることもある。日本に住むということは、自然災害と共に生きるということだという。毎年ニュースで報じられる通り、美しく整えられた街の中で生きていても、日々起こる地震や、大雨、洪水と共にあるのだ。
一方で、生活のほとんどは空調の整えられた部屋の中で過ごしている。朝から晩までパソコンと向き合い、情報のほとんどをスマホから得ている。何かを考えることも、今ではパソコンやスマホの画面を通して行うことが多い。私の作品も、ラフや下図は画像編集ソフト上で作成している。そして画面に集中しているとき、私は自分自身の身体の感覚を忘れてしまう。現代の多くの人もそうなのではないだろうか。自然の中に生きていることも、画面の中で思考することも、等しく生きるリアリティなのだ。

恐ろしい出来事は誰にでも起こりうることではあるが、自分が平穏な日々を過ごすなかでそれはニュースの中での出来事だ。歴史の中で人々は、恐ろしい出来事をニュースに、新聞に、本の中に、絵の中に、神話の中に刻んできた。人々は幾度となく大変な出来事に見舞われ、その上に歴史を、生活を築いてきた。全てを失うこともあれば、乗り越えたこともあっただろう。記録され、強く記憶に刻まれることもあれば、忘却され、それがあったことさえなかったことにされていることもあるだろう。

人間は強く刻まれること、忘却されてしまうこと、暴力的であること、癒しであること、すべての矛盾を抱えて、知らず知らずにいろいろなことを受け継いでしまっているのではないだろうか。

人間と同じように、絵画もまた矛盾を孕んだものである。平面であるのに、物質としては立体である。表面は薄っぺらいが、絵画としての空間を持つこともできる。ポジティブなイメージを与えると同時にネガティブなイメージも与えることができる。私はその矛盾を孕むことができるという点が、人間と絵画の面白い点であると考えているし、絵画を描きたいと願う理由なのだ。
 
 
[アーティストプロフィール]
大野菜々子/OnoNanako
アーティスト、美術家。
リサーチや取材をもとに、土地と人間の関わりについてインスタレーションや絵画作品を制作。日本美術、土俗文化、インターネット表象などを組み合わせ、現代的な表現を模索している。山形、東京、秋田で主に活動している。
2015年東北芸術工科大学美術科日本画コース卒業
2018年東北芸術工科大学大学院日本画領域修了

主な個展・グループ展
2015年「東北芸術工科大学卒業修了制作展」山形展東北芸術工科大学(山形県)
「東北芸術工科大学卒業修了制作展」東京展東京都美術館(東京都)
2016年「DojimaRiver Awards2016」展示会DojimaRiver Forum (大阪府)
「dadacha」展銀座スルガ台画廊(東京都)
「三菱商事アート・ゲート・プログラム奨学生」展原宿GYRE(東京都)
2017年「東北芸術工科大学卒業修了制作展」山形展東北芸術工科大学(山形県)
2018年東北芸術工科大学美術科副手展2018
2019年個展「Iwasbornhere」Room_412(東京都)
OeEXPOプレ展示イベント大江町まちなか交流館ATERA(山形県)
東北芸術工科大学美術科副手展2019
2020年個展「土と木の歌」
東根市文化公益施設まなびあテラス市民ギャラリー(山形県)
2022年第9回郷さくら美術館桜花賞展
『世界一の花束を-Bless these little children-』
第9回大学日本画展<東北芸術工科大学日本画コース卒業生二人展
大野菜々子×渡部加菜実>UNPEL GALLERY (東京)
2023年東北芸術工科大学の卒業生支援プログラム「TUAD ART‐LINKS 2023」
オリエアート・ギャラリー(東京)

受賞歴
2015年三菱商事アート・ゲート・プログラム奨学生
東北芸術工科大学卒業修了制作展日本画コース最優秀賞
2016年DojimaRiver Awards2016入選
2022年第9回郷さくら美術館桜花賞展奨励賞
 
[販売について]
作品は銀座 蔦屋書店店頭、アートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術⼿帖」にて6月12日(月)10時30分より、販売いたします。
※作品はプレセールスの状況により展覧会会期開始前に販売が終了することがあります。
 
\オンラインストアで購入する/
2023年6月12日(月)10:30~販売開始
 
  • 会期 2023年6月10日(土)~7月7日(金)※終了⽇は変更になる場合があります。
  • 時間 当店Webサイトをご確認ください。※最終日は17時閉場。
  • 会場 銀座 蔦屋書店インフォメーションカウンター前
  • 主催 銀座 蔦屋書店
  • お問い合わせ 03-3575-7755(営業時間内) / info.ginza@ccc.co.jp
mail

メールマガジンで、イベント·フェア情報をいち早くお届けしています。ぜひご購読ください。

メルマガ登録はこちら

SHARE

一覧に戻る

RELATED EVENT

RELATED ITEMS

STORE LIST

ストアリスト