【展覧会】大山エンリコイサム展「Scale / Effect」を4月5日(金)より開催。238個のキューブによる作品など拡大と縮小でモティーフ「クイックターン・ストラクチャー」を表現した新作群

展示・展覧会
2024年04月05日(金) - 04月23日(火)
 
京都 蔦屋書店では、大山エンリコイサム個展「Scale / Effect」を、4月5日(金)~4月23日(火)の期間、 5F エキシビションスペースにて開催します。
 
 
 
 
 
 
概要
 
大山エンリコイサムは、ストリートアートの一領域であるエアロゾル‧ライティング (※)のヴィジュアルを再解釈したモティーフ「クイックターン‧ストラクチャー」(以下 QTS)を起点にメディアを横断する表現を展開し、国内外で注目を集めるアーティストです。
 
今年1月にNADiff Gallery(東京‧恵比寿)で行われた個展では、QTSを自律するブックエンドとして三次元化し、書物とのあいだに生じる相互作用によって空間の変容を試みました。今回、大山はかたちが同じでも大きさが違うと物体の特徴が変化する「寸法効果(scale effect)」の概念に着目、拡大と縮小を通してQTSを表現し、再解釈しています。会場には絵画作品とともに、大型の立体作品や、絵画作品のひとつ《FFIGURATI #616》を238個の小型キューブに分解して再構成した新作の平面作品などが並び、スケール横断の効果を体現する構成となっています。
 
※NYのストリート文化から発展した、自分の名前をアートとして描画する表現文化  
 
 
 
アーティストステートメント
 
物体はかたちが同じでも、大きさが異なると、力の作用が変化する。あるサイズで自立する物体は、別のサイズでは自立しないことがある。表面積は寸法の2乗に、体積は3乗に比例するため、2センチ角のキューブが20センチ角になると表面積の増加が、200センチ角になると重量の増加が、変化の特徴となる。このように、サイズの変更が物体の物理的におもとなる特徴を変えることを「寸法効果(scale effect)」と呼ぶ。
 
美術には、見慣れた対象のサイズを極端に変え、ギャップや違和感を生むことで私たちの認識を揺さぶる作品がある。そのとき外観は見慣れたままでも、内側はしばしば別の構造や組成をしている。もろく繊細に見える作品が、耐久性のある素材で作られることもある。しかし物理的な変化のみではない。サイズの変更が対象をもとの状態から美術作品に変える点で、寸法効果はその社会的な定義をも同時にかき換えている。
 
それを敷衍して、寸法効果は物理的な大きさ(サイズ)のみでなく、社会の位相や集団の規模といった抽象的な大きさ(スケール)の変化にも付随すると思考実験したい。たとえば年長者を敬うという考えは、家庭や地域ではマナーや慣習として、企業では年功序列の制度として表れるが、もとは古代中国の国家思想であった。同型の考えが社会的なスケールの変化により、慣習、制度、思想という強度の異なる概念になる。
 
モティーフ「クイックターン・ストラクチャー(QTS)」はこれまで、メディアを横断するアイコンとして展開してきた。本展「Scale / Effect」ではその点をいっそう推し進め、ひとつのQTSを拡大と縮小のなかで表現し、マテリアルと設計、メディアと形式、空間とレイアウトの変化、そしてQTSの図像そのものが再解釈されるさまを提示することで、物理と概念の両面からスケール横断の効果を引き出した構成になっている。
 
大山エンリコイサム
 
 
Objects of the same shape but different sizes experience different effects of force. An object that stands independently at one size might not do so at another. The surface area of a cube is proportional to the square of its dimensions, while the volume is cubic. This means that we will experience the enlargement of a 2-centimeter cube to 20 centimeters differently than the same ten-fold increase of a 20-centimeter cube to 200 centimeters. In the former, the most striking change will be in the cube’s size (surface area), whereas in the latter, we are more likely to sense the increase in weight (volume). This phenomenon, where changes in size alter the primary physical characteristics of an object, is known as the “scale effect.” 
 
In contemporary art, some works drastically alter the size of familiar objects, creating a sense of discrepancy or discomfort that challenges our perception. Even if the exterior appearance remains familiar, the internal structure and composition often change. A work that appears fragile and delicate may in fact be made from durable materials. However, these changes are not purely physical. When the size of an object is altered, transforming it from its original state into a work of art, the scale effect also redefines the object’s social meaning. 
 
Extending this idea, we can conduct a thought experiment to consider how the scale effect applies not only to physical size but also to more abstract dimensions, such as social phases or group sizes. For instance, the concept of respecting elders manifests as manners and customs in homes and local communities, while in companies, especially in Japan, it appears as seniority-based wage systems. Originally, this idea came from ancient Chinese state philosophy. In this way, a single concept can transform in significance—from custom to system to ideology—based on the social scale. 
 
My signature style, “Quick Turn Structure (QTS),” has so far developed as a visual icon across various media. In this exhibition, “Scale / Effect,” this concept is taken further by expressing a single QTS through enlargement and reduction. By showcasing the reimagination of material and composition, medium and form, space and layout, and the very imagery of QTS itself amidst these transformations, the exhibition draws out the effects of “scale-crossing” both physically and conceptually.
 
Enrico Isamu Oyama
 
アーティストプロフィール
 
 
大山エンリコイサム/Enrico Isamu Oyama
 
美術家。ストリートアートの一領域であるエアロゾル・ライティングのヴィジュアルを再解釈したモティーフ「クイックターン・ストラクチャー」を起点にメディアを横断する表現を展開。イタリア人の父と日本人の母のもと、1983年に東京で生まれ、同地に育つ。2007年に慶應義塾大学卒業、2009年に東京藝術大学大学院修了。2011-12年にアジアン・カルチュラル・カウンシルの招聘でニューヨークに滞在以降、ブルックリンにスタジオを構えて制作。これまでに大和日英基金(ロンドン)、マリアンナ・キストラー・ビーチ美術館(カンザス)、ポーラ美術館(箱根)、中村キース・ヘリング美術館(山梨)、タワー49ギャラリー(ニューヨーク)、神奈川県民ホールギャラリー、慶應義塾ミュージアム・コモンズ(東京)などで個展を開催。『アゲインスト・リテラシー』(LIXIL出版)、『ストリートアートの素顔』(青土社)、『ストリートの美術』(講談社)、『エアロゾルの意味論』(青土社)などの著作を刊行。『美術手帖』2017年6月号を企画・監修したほか、コム デ ギャルソン、シュウ ウエムラ、JINS、アウディなどの企業やブランドとコラボレーションを実施。大相撲令和4年1月場所では、横綱照ノ富士の「三つ揃え化粧廻し」にアートワークを提供し、話題となった。2023年3月に東京・天王洲で開催されたアートフェア「RE:FACTORY」ではアーティスティック・ディレクターを務め、多角的に仕事をする。2020年には東京にもスタジオを開設し、現在は二都市で制作を行なう。
 
 
 
 
販売について
 
作品は、店頭にて4月5日(金)11:00より販売します。
※オンライン販売はございません。
※プレセールスの状況により会期開始前に販売が終了することがあります。
 
 
 
展覧会詳細
 
大山エンリコイサム「Scale / Effect」
会期|2024年4月5日(金)~4月23日(火)
時間|11:00~20:00 ※最終日のみ17時閉場
会場|京都 蔦屋書店 5F エキシビションスペース
主催|京都 蔦屋書店
協力|Takuro Someya Contemporary Art
入場|無料
お問い合わせ|075-606-4525
 
  • 会期 4月5日(金)~4月23日(火)
  • 時間 11:00~20:00 ※最終日のみ17時閉場
  • 会場 京都 蔦屋書店 5F エキシビションスペース
  • 主催 京都 蔦屋書店
  • 協力 Takuro Someya Contemporary Art
  • 入場 無料
  • お問い合わせ 075-606-4525(営業時間内)kyoto.info@ttclifestyle.co.jp

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