【ダイレクターズ】『ナミビアの砂漠』

【ダイレクターズ】
六本木 蔦屋書店 WATCH PLANがお送りする日本映画紹介プログラム。
2024年に公開される日本映画の中から、映画監督という切り口で厳選したオススメ作品を紹介していきます。
 
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ダイレクターズ第十五弾は、9/6㈮公開の山中瑶子監督『ナミビアの砂漠』です。
 
ポスター画像
(C)2024「ナミビアの砂漠」製作委員会
 
 
『ナミビアの砂漠』
2024 | 監督:山中瑶子
 
2024/9/6(金)より
全国公開
 
 
カンヌ国際映画祭監督週間出品
今作『ナミビアの砂漠』は第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で上映され、国際映画批評家連盟賞を受賞しました。
監督週間はコンペティション部門やある視点部門などの映画祭メインからは独立した運営が行われているセクションになります。
同じく独立部門である批評家週間が長編2本目までの監督が出品可能という制限があり、新人登竜門の役割を果たしております。
一方で監督週間は、特に新人だけに限った選出は行っておりません。
特徴としては、前衛的だったり実験的な作品が選ばれる傾向にあります。
ソフィア・コッポラの『ヴァージン・スーサイズ』やジム・ジャームッシュの『ストレンジャー・ザン・パラダイス』など後にメインコンペの常連となる監督たちの初期作品なども輩出しています。
最近では“カンヌ監督週間 in Tokio”という特集上映も行われており、ダイレクトに新しい才能を感じる機会も増えております。
 
長編映画までの道のり
世界から注目される存在の山中監督ですが、最初にその名を知らしめたのは10代の時に独学で撮った『あみこ』でした。
自主映画の登竜門として知られるぴあフィルムフェスティバルに入選し、観客賞などを受賞。
その後、単独での劇場公開やベルリン国際映画祭のフォーラム部門への出品など瞬く間に広がりを見せました。
SNSなどで集めたスタッフと初めて監督をする若者というスタッフィングで撮られた作品なので技術的な粗さは散見されますが、それを補って余りある切実さと恐ろしいほど冷静に俯瞰する眼差しを持ち合わせた映画となっています。
『ナミビアの砂漠』で主演した河合優実さんがまだ学生だった時に『あみこ』を劇場で鑑賞し、山中監督に出演を直訴したエピソードは様々な所で語られてきました。
 
ベルリン国際映画祭では長編映画として史上最年少での出品となった山中監督のその後は、山戸結希監督が企画・プロデュースしたオムニバス映画『21世紀の女の子』に短編「回転てん子とどりーむ母ちゃん」で参加したり、映像産業振興機構による若手映画作家育成プロジェクトにて『魚座どうし』をフィルム撮影で撮ったり、テレビドラマを手掛けたりと作品をいくつか発表してきました。
ただ、長編映画となると簡単な道のりではなく、『あみこ』発表から7年の月日を経て、ようやく『ナミビアの砂漠』へとたどり着きました。
『あみこ』は66分という尺だったので、本格的な長編映画という意味では『ナミビアの砂漠』が初とも言えます。
しかも、本来は河合優実さん主演で原作のある作品の制作を山中監督は進めていましたが、それが頓挫してしまい、代替案として急遽書かれたオリジナル脚本作品だったという話も聞こえてきます。
タイミングというものの不思議さを感じるエピソードです。
 
【六本木 蔦屋書店のオススメ:鑑賞前後に観たい作品】
ポスター画像
 
『地獄のSE』
2024 | 監督:川上さわ
 
カナザワ映画祭2022の「期待の新人監督」というコンペで川上さわ監督がグランプリに輝き、そのスカラシップとして撮った作品です。
『ナミビアの砂漠』というよりは『あみこ』に近い初期衝動的なパワーが押し込められています。

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