【六本木ホラーショーケース -ARTICLE-】#025  アリ・アスターが『ドリーム・シナリオ』をプロデュースすることで広げる世界

“活きのよいホラー映画、ご紹介いたします”

【六本木ホラーショーケース】
六本木 蔦屋書店映像フロアがお贈りするホラー映画紹介プログラム。
ホラー映画を広義でとらえ、劇場公開作品を中心にご紹介し、そこから広がる映画人のコネクションや文脈を紐解いていきます。
 
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今回ご紹介するのは、『ドリーム・シナリオ』です。
 
ポスター画像
(C)2023 PAULTERGEIST PICTURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED
 
『ドリーム・シナリオ』
2023 | 監督:クリストファー・ボルグリ
 
 
皆さんお馴染みのA24作品です。
夢でみた見知らぬおじさんが他の人の夢にも出てきているという“This Man”と呼ばれるネットミームをモチーフにした映画となっています。
今作ではA24は北米の配給だけでなく、製作にも携わっていますが、注目すべきはアリ・アスターの参加です。
プロデューサーという形で携わっており、A24と並んで自身が率いるSquare Pegという会社が製作に入っています。
アリ・アスターと言えば、自身の過去三作を全てA24と共に作り、A24を世界に知らしめた立役者の一人でもあります。
今、監督の名前で企画を成立させられる数少ない監督となったわけですが、プロデュース業にも積極的に動いています。
かつてはスティーブン・スピルバーグやサム・ライミ、最近だとジェームズ・ワンやジョーダン・ピールなどが自身のネームバリューを上手く駆使して、様々な企画を成立させてきました。
アリ・アスターもこの道を進み始めています。
5/23公開の『サスカッチ・サンセット』やA24と再び組んだ『Death of a Unicorn(原題)』など話題作があり、ヨルゴス・ランティモス監督が韓国映画『地球を守れ!』をリメイクする『Bugonia(原題)』でもプロデューサーとしてアナウンスされています。
それぞれの作品への関わり方の程度は分かりませんが、映画宣伝の際に監督名より先にアリ・アスターの名が出ることで、その影響力の大きさが分かります。
 
そんな中で『ドリーム・シナリオ』を監督したのはノルウェー出身のクリストファー・ボルグリです。
前作『シック・オブ・マイセルフ』はカンヌ国際映画祭のある視点部門に出品され、話題を集めました。
承認欲求に取り憑かれて過激になっていく女性を描いた作品で、『ドリーム・シナリオ』で突然注目を浴びることとなったしがない教授の言動に作家性を感じることができます。
日常に潜んでいる“嫌な瞬間”を、フィクションとして増幅させる手腕はアリ・アスターとの親和性も感じます。
次回作『The Drama(原題)』でもA24、アリ・アスターと組むことがアナウンスされています。
 
【六本木 蔦屋書店のオススメ:鑑賞前後に観たい作品】
 
 
『シック・オブ・マイセルフ』
2022 | 監督:クリストファー・ボルグリ
 
クリストファー・ボルグリ監督が『ドリーム・シナリオ』の前に手掛けた作品です。
作品の規模感は異なりますが、人が抱える仄暗い欲望を炙り出すスタイルは一貫したものがあります。

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