【ダイレクターズ】『SUPER HAPPY FOREVER』
【ダイレクターズ】
六本木 蔦屋書店 WATCH PLANがお送りする日本映画紹介プログラム。
2024年に公開される日本映画の中から、映画監督という切り口で厳選したオススメ作品を紹介していきます。
六本木 蔦屋書店 WATCH PLANがお送りする日本映画紹介プログラム。
2024年に公開される日本映画の中から、映画監督という切り口で厳選したオススメ作品を紹介していきます。
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ダイレクターズ第十八弾は、9/27㈮公開の五十嵐耕平監督『SUPER HAPPY FOREVER』です。

(C)2024 NOBO/MLD Films/Incline/High Endz
『SUPER HAPPY FOREVER』
2024 | 監督:五十嵐耕平
2024 | 監督:五十嵐耕平
2024/9/27(金)より
全国順次公開
全国順次公開
彷徨う作家性
五十嵐耕平監督の作家性を一言で表すと“彷徨う”という言葉が当てはまる気がしてきます。
長編映画監督デビュー作の『夜来風雨の声』では関係性や生活が彷徨うカップルを描き、続く『息を殺して』では亡霊が彷徨う工場での年越しを様子を映画にしていました。
どちらも在学中に撮られた作品ですが、演出・撮影・美術・ロケーションなどどの要素をとってもこだわりと狙いが感じられ、早くから明確な作家性を感じさせます。
『泳ぎすぎた夜』は珍しい成り立ちをしています。
ロカルノ国際映画祭に『若き詩人』を出品していたフランスのダミアン・マニヴェル監督と、同じく『息を殺して』で参加していた五十嵐監督が意気投合し、共同監督として日本の地で撮影された作品です。
ここでも父を探して雪の青森を彷徨う少年を追いかけています。
そして『SUPER HAPPY FOREVER』では、亡き妻の面影を追いかけるようにリゾート地を彷徨う男の物語が前半で語られます。
五十嵐監督の描く“彷徨い”は、場所だけでなく時間や次元を超えた行為ではないかと考えます。
明確なSF的ギミックやホラー描写があるわけではありませんが、今は亡き者や実在しない存在と重なるような感覚を覚えます。
“彷徨い”を通して様々な境界を曖昧にし、言葉にできない感情を浄化する儀式的なプロセスなのかもしれません。
五十嵐耕平監督の作家性を一言で表すと“彷徨う”という言葉が当てはまる気がしてきます。
長編映画監督デビュー作の『夜来風雨の声』では関係性や生活が彷徨うカップルを描き、続く『息を殺して』では亡霊が彷徨う工場での年越しを様子を映画にしていました。
どちらも在学中に撮られた作品ですが、演出・撮影・美術・ロケーションなどどの要素をとってもこだわりと狙いが感じられ、早くから明確な作家性を感じさせます。
『泳ぎすぎた夜』は珍しい成り立ちをしています。
ロカルノ国際映画祭に『若き詩人』を出品していたフランスのダミアン・マニヴェル監督と、同じく『息を殺して』で参加していた五十嵐監督が意気投合し、共同監督として日本の地で撮影された作品です。
ここでも父を探して雪の青森を彷徨う少年を追いかけています。
そして『SUPER HAPPY FOREVER』では、亡き妻の面影を追いかけるようにリゾート地を彷徨う男の物語が前半で語られます。
五十嵐監督の描く“彷徨い”は、場所だけでなく時間や次元を超えた行為ではないかと考えます。
明確なSF的ギミックやホラー描写があるわけではありませんが、今は亡き者や実在しない存在と重なるような感覚を覚えます。
“彷徨い”を通して様々な境界を曖昧にし、言葉にできない感情を浄化する儀式的なプロセスなのかもしれません。
東京藝大の繋がり
本作には実は映画監督がスタッフとして参加しています。
共同プロデューサーと編集として『泳ぎすぎた夜』を共に監督したマニヴェル監督がクレジットされており、交流が続いていることが伺えます。
それだけでなく、助監督として『石がある』の太田達成監督が参加しています。
太田監督は清原惟監督の『すべての夜を思いだす』にも参加しており、五十嵐・太田・清原の三監督は東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域の修了生です。
それぞれ在学していた時期は異なり、先輩後輩の関係となります。
共に2024年にオルタナティブな制作体制で長編映画を発表しており、日本映画の盛り上がりを語る上で重要な交流だと言えます。
本作には実は映画監督がスタッフとして参加しています。
共同プロデューサーと編集として『泳ぎすぎた夜』を共に監督したマニヴェル監督がクレジットされており、交流が続いていることが伺えます。
それだけでなく、助監督として『石がある』の太田達成監督が参加しています。
太田監督は清原惟監督の『すべての夜を思いだす』にも参加しており、五十嵐・太田・清原の三監督は東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域の修了生です。
それぞれ在学していた時期は異なり、先輩後輩の関係となります。
共に2024年にオルタナティブな制作体制で長編映画を発表しており、日本映画の盛り上がりを語る上で重要な交流だと言えます。
役者の持ち込み企画
この作品は主演した佐野弘樹さんと宮田佳典さんが監督に持ち込んだ企画だったといいます。
これもインディペンデントな体制ならではの成り立ちで、どちらも本名と同じ苗字で役に挑んだ意気込みが感じられます。
まだまだ珍しい形ではありますが、広山詞葉さん・福宮あやのさん・河野知美さんが堤幸彦監督と作り上げた『truth~姦しき弔いの果て~』という作品もあり、日本映画界における新たな動きとして注目していきたいです。
この作品は主演した佐野弘樹さんと宮田佳典さんが監督に持ち込んだ企画だったといいます。
これもインディペンデントな体制ならではの成り立ちで、どちらも本名と同じ苗字で役に挑んだ意気込みが感じられます。
まだまだ珍しい形ではありますが、広山詞葉さん・福宮あやのさん・河野知美さんが堤幸彦監督と作り上げた『truth~姦しき弔いの果て~』という作品もあり、日本映画界における新たな動きとして注目していきたいです。
【六本木 蔦屋書店のオススメ:鑑賞前後に観たい作品】

(C)Turkish Riviera Run Club Limited, British Broadcasting Corporation, The British Film Institute & Tango 2022
『aftersun/アフターサン』
2022 | 監督:シャーロット・ウェルズ
2022 | 監督:シャーロット・ウェルズ
リゾート地を舞台としていたり、劇中にカラオケが重要なシーンで登場したりと共通項を見いだせます。
そして在りし日の記憶と現在という2パートに分かれ、亡き人への思いをどうにか慰めようとする姿勢にシンクロニシティを感じます。
そして在りし日の記憶と現在という2パートに分かれ、亡き人への思いをどうにか慰めようとする姿勢にシンクロニシティを感じます。