【フェア】目を捧げよ - the sacre of retina
〈 小野耕石、コムロタカヒロ、岡田舜 〉グループ展
網膜を蕩尽すること、目を捧げること。
インターネットが日常生活と不可分のインフラとなった今日、私たち「人間」の行動そのものもテクノロジーを基盤とした新たな環境に適応することで変化を遂げつつあり、世界的な規模で人間像の更新が進んでいます。
「見る」という行為をとっても、加速度的な画像の消費サイクルとデバイスの身体化の中で、行為の中心にあるのは主体的な「人間」ではなく、むしろ外在化された器官としての「網膜」に置き換えられうる状況となっています。
「網膜」というワードは、美術の歴史の中でも議論を起こしてきた特別なワードであり、「現代アート」の誕生に密接に関わった概念であることは言うまでもありません。
本展覧会は、選出した3名の若手作家による作品を展示し、視覚的芸術である美術の現在進行形の「網膜性」を再考するとともに、美術がもたらす「目の悦び」の来るべき段階を探求します。
シルクスクリーンの技術を応用した微細なインクの柱とレンチキュラーのような視覚的効果を特徴とする小野耕石の作品、電子的ノイズをキャンバスに投影し途方もない絵筆の反復によってそれを描き写す岡田舜の油絵、記憶の残像を独自のキャラクターとして偶像的に立体化するコムロタカヒロのソフビ。
これらの作品が放つ視覚的エネルギーの強度は、個の網膜を解消し融解するところまで突き進むでしょう。
網膜を蕩尽すること、目を捧げること。私たちは「見る」ということの可能性をその臨界点に見出すでしょう。
【プロフィール】
小野 耕石 (おの こうせき)
1979年生まれ。シルクスクリーンを用いた独自の表現方法を追求している版画家。
数ミリの高さに積みあがる「インクの柱」を特徴とする平面作品、立体作品、インスタレーション作品を手掛け、2015年VOCA賞を受賞。2017年にアートフロントギャラリー(東京)で個展を開催。2018年には「モネ それからの100年」展(名古屋市美術館、横浜美術館)に出品し、平面と立体の間を往来しながら版画で可能な表現の領域を広げている。
コムロ タカヒロ
1985年生まれ。古代から伝わる神話や伝承、現代のサブカルチャーに登場する「異形のもの(モンスター)」を、具象的なかたちとして現前させる彫刻家。
1980年代や1990年代のアクションフィギュアやソフビ人形などに影響を受け、そのデザインや構造などの要素を吸収、再構成した独自のキャラクターを彫刻として表現している。2014年SIDE CORE、2016年MASKS / Diesel Art Galleryに参加。今年10月にはJonathan Levine Project(アメリカ・ジャージーシティ)での海外初個展を控えている。
岡田 舜 (おかだ しゅん)
1992年生まれ。コンピュータや電子機器のバグやノイズがもたらす予測不可能な表象をプロジェクターに投影しキャンパスに写し取る作風で知られる画家。
手作業による途方もない作業の反復によって、デジタルグリッドの亀裂の中に潜む「別世界」をキャンバス上に再現。2017年に多摩美術大学大学院美術研究科修士課程を修了後、「Walking the string」(みんなのギャラリー)、「ゲームポリへドロン」(中央本線画廊)に参加。今日注目を集めている若手作家の1人である。
- 会期 2018年8月28日(火) - 9月26日(水)
- 時間 10:00~22:30(営業時間)
- 場所 アートウォールギャラリー(6階スターバックス前展示スペース)
- 主催 銀座 蔦屋書店
- 問い合わせ先 03-3575-7755