【オンラインビューイング】「Kesho」写真展

日本文化|STARBUCKS
スターバックス前平台 2020年07月19日(日) - 08月09日(日)
「Kesho」写真展の作品の一部をオンラインで公開いたします。
銀座 蔦屋書店は、歌舞伎俳優 松本幸四郎、メイクアップ・アーティスト 鷲巣裕香が挑んだ、歌舞伎化粧の新しい表現を紹介します。 
江戸時代より続く日本を代表する伝統芸能である歌舞伎。今もなお、舞台芸術として進化を続け、エンターテインメントとしても、多くのひとびとを惹きつけて止みません。しかしながら、歌舞伎の重要要素のひとつである隈取りや化粧には、大きな変化は⾒られません。
 
「Kesho」とは、歌舞伎化粧を現代のメイクの視点からアレンジし、新しい表現を追求するプロジェクトです。役の性格や特徴、役割を観客に明示するために、俳優の顔に描かれてきた歌舞伎化粧。今回の試みでは、今までの制約から離れ、色彩やデザインを発想の起点とした奔放な歌舞伎メイクの姿が、鮮烈な印象をあたえます。
 
歌舞伎が誕生してから417年。今、あなたは歌舞伎化粧の進化の瞬間を目撃することになります。
 
*本展は、「写真の町」として知られる北海道東川町の協力のもと制作された作品で、2021年に北海道東川町文化ギャラリーにて本企画の大々的な展⽰の開催が予定されています。
 
 
左から無題、静謐
 
黒線
 

左から無題、闇燈、怒鬼
 
無題 (Numero 2019年5月号撮影)
 
[コメント]
 
邪気から身を守るために目、鼻、口、耳へ紅を差したことが始まりの歌舞伎化粧。
信仰⼼から生まれた化粧は“絵画的美”へと進化しました。
歌舞伎が誕生して417年。歌舞伎には、長い年月を生き抜いてきた“鋭い嗅覚”があります。阿国歌舞伎という女性が披露していたものが、男性だけの世界に変化し、男性が女性役をする“女形”が誕生しました。舞台の上で微動だにせず隈取りをした顔で睨みを利かせる、“無音”、“静止”で観客を注目させました。
歌舞伎は時代の流れを嗅ぎ取り、“少し先”を⾛って人々を誘う。この“少し先”という距離が絶妙だと思うのです。
歌舞伎であるために必要不可欠な化粧。別人になることができる“変身”であり、堂々たるフィクションであるファンタジーの象徴です。
歌舞伎化粧の歴史が生んだ“型”に誇りを持ち、“少し先”を皆で刺激的に心から楽しんだ証拠の作品たち、417年目から始まる最初の1ページです。
 
松本 幸四郎
 

 
幼い頃よりメイクに興味を持ち、その芸術性に夢中になっていた私は、ヨーロッパ、そしてアメリカの煌びやかなモード界に憧れ、ファッションの最前線で活躍するアーティストが集うニューヨークへと渡りました。テクニーク、テクスチャー、スキル。「美」について多くを学び、この経験はキャリア形成に大きく貢献し、今となっては私の一部です。しかし、モード界同様、私に大きな衝撃と影響を与え、今でもインスピレーションの素となるのが、各国の民族衣装とメイクです。住民が身につける衣装、身体に施される色やパターン。これら全てには意味があり、その土地文化と住民の個性がインプリントされているのです。よって、大胆で際立った色使いが生まれ、いわゆる「ファッション」とは大きく異なるわけです。
数年前、大の歌舞伎ファンであった亡き母の誘いにより、歌舞伎鑑賞致しました。舞台、音、衣装、模様、色、メイク。五感は刺激され、自分の奥底に眠っていた「日本人としてのルーツ」の目覚めを感じたのです。この職業に就いてから、改めて目の当たりにしたわけですが、その体験は衝撃的なものとなりました。日本を代表する民族衣装とメイクがあるとするならば、「歌舞伎」こそが日本ではないかと。
間も無くして、仕事を通し幸四郎さんとご縁がありました際に、歌舞伎のメイクについてお話を伺う機会をいただきました。歌舞伎にとって、メイクは必要不可欠であり、全ての演目と役には一定の「ルール」があると。もしも、この「ルール」に「現代日本人の民族性と化粧」を反映させたならば・・・。そんな思いを形にしたのが今回の作品たちです。
 
鷲巣裕香 (わしず ゆか)
 

 
自分の人格と別の「何か」の人格を融合させ、存在しないはずの人を「あたかも存在している」かの様に見せられる人が役者と呼ばれる人なのでしょう。 そう思わせられる出来事を目の当たりにしたのが、今回のこの企画でした。
プロジェクトがスタートして初めての撮影の日、私は明らかにそこに存在しないはずの人をファインダー越しに見ていました。というのも、わたしの目の前にいる人は間違いなく男性なのに、ファインダー越しに見えるひとは妖艶な眼差しを持つ、一人の女性。
「化粧」というたった一つの要素だけで仕草、表情、匂い、全てが変化して、性別を超え別人に変身した松本幸四郎さんの姿でした。あの時の衝撃は忘れられません。
そして、撮影の回数を重ねる度に、「化粧」を施し何人もの人格に化けていく一人の役者の、新たな「kesho」と共に古典を超え未知の存在に挑戦していく姿を見ることになりました。
化ける、粧う(よそおう)のが「化粧」。
それは人を欺くのではなく、その一瞬でも相手に夢を与える手段。私はそう考えます。
理想とする女性、魅了される程妖艶な男性、思わず凄んでしまう程の形相の鬼、擬人化した獅子...。瞬時に「今ここ」とは違う異世界に連れ込んでくれる存在と私はファインダーを通して向き合い、そしてその姿を、捉えることができたのではないかと思っています。
 
吉田多麻希
 

 
 
[プロフィール]
 
松本 幸四郎 (まつもと こうしろう)
 歌舞伎俳優。1973年1月8日生まれ。松本白鸚の長男。1979年3月歌舞伎座「侠客春⾬傘」で三代目松本⾦太郎を名のり初舞台。1981年10・11月歌舞伎座「忠⾂蔵」七段目の大星力弥ほかで七代目市川染五郎を襲名。1994年4月名題昇進。2018年1・2月歌舞伎座「勧進帳」の弁慶ほかで⼗代目松本幸四郎を襲名。
 
 
 
鷲巣裕香 (わしず ゆか)
メイクアップアーティスト、ビューティーディレクター。幼少期を米国カリフォルニアで過ごし、バイリンガルスピーカーとして育つ。世界的メイクアップアーティスト、Aaron DeMey氏(現在ランコムクリエイティブアドバイザー)に師事し、ニューヨークでメイクアップアーティストとしてのキャリアをスタート。現在は東京をベースにファッション誌、広告、ファッション&ビューティショウなどを中心に、日本を代表するメイクアップアーティストとして活躍中。また、美とはグローバルな視点のもとに生まれるとの信念から、北米、ヨーロッパに加え中国、インド、韓国などにも活動の場を広げ、アメリカ版のヴォーグ、エル、ハーパースバザー、フランス版ヴォーグ、イタリア版ヴォーグをはじめとする国際的ファッション&ビューティ誌、フォトグラファーらからも高い評価を得ている。モード界のみならず、女優やトップモデルらを多数顧客に持ち、企業のコンサルティングや講演などにも多忙な日々を送る傍ら、2012年からは VOGUE BEAUTY AWARD 選考委員も務めている。
 
 
 
吉田多麻希 (よしだ たまき)
フォトグラファー。神戸/日本生まれ。2000 年より東京を拠点に移し、スタジオワークを経てフォトグラファーとして のキャリアをスタートさせる。主にビューティーを中心に様々な広告/雑誌の撮影を手がける。シンプルで力強い中にもフェミニンさを感じる写真を得意とする。被写体そのものの美しさや強さを前面に出して表現することを常に意識し、光はその被写体を魅力的に見せるアクセントの一つとして捉えているため、自然光での撮影の際にも、自然光だけではなくライティングしながら光を作っていく撮影方法好む。また、いろいろな物質が持つテクスチャや動物にも興味を持ち、特に動物の撮影に関しては、ネイチャーフォトグラフとは違った視点からの表現にとても力を注いでいる。
 
  • 会期 2020年07月19日(日) - 2020年08月09日(日)
  • 時間 当店Webサイトをご確認ください。
  • 場所 スターバックス前平台
  • 主催 銀座 蔦屋書店
  • 問い合わせ先 03-3575-7755
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