廣島蚤の市インタビュー味を刻する
この度の廣島蚤の市のテーマは「味を刻する」。
刻むという言葉からはいろいろなイメージが浮かびますが、今回は「刻印」をキーワードに、「古道具Let ’Em In」「DRAWER」「ENGAWA」の3店舗にお話しを聞いてみました。情報としてだけではない、刻印に込められたもの。そして、刻印の有無などにも国の違いや様々な歴史が見えてきます。詳細は分からずとも、優れたデザインをしているアンティークや古道具たちですが、その物がもつ歴史や物語が見えてくると、きっともっと、好きになるはず。アンティークや古道具の物の見方のヒントが盛りだくさんです。ぜひお愉しみください。
原さん
「刻印に込められたもの」
ー まずは、「刻印」というとどんなものがあるのでしょうか?
代表的なものは焼き物でしょうか。陶器のお皿や壺など。木製の家具や小物では、北欧のもには木工製品の輸出を産業として積極的に進めていたことから、50年代の製品から焼印が見られます。
ー その刻印からはどんな情報が見えてくるのでしょうか。ぜひ教えてください。
例えばウェグナーのYチェアは、生産数がそれほど多くなかった初期は手間のかかる焼印、その後世界的な人気に合わせて簡易な紙製シールになり、さらに時代を重ねると、よりステータス感と高級感のある金属製タグに変化します。世間的な評価が反映されているようで、とても興味深いと思います。
ウェグナーと同じくデンマークのJ.L.Moller社の焼印とシール
そして、刻印があるということは、作者が自信を持って自分の作品であると主張しているということ。
販売するものとしては、どんな古いものでも表情や形の込められた意思をできるだけ読み取りたいと思いますが、刻印があるものに関しては、作者の作品に込めたメッセージをしっかり読み取らなければ、という緊張感がより生まれます。
ロイヤルコペンハーゲンやアラビアなど北欧の焼き物の裏には、デザイナーだけではなく絵付けの職人によるサインも書かれているものがあります。松本民芸の製品には製作を担当した職人の名が刻印されています。これは他の家具メーカーにはあまり見られない特徴だと思います。
ー 刻印以外にも、私たちが古い物を見るときにはどんな視点で見るといいでしょうか?ポイントをぜひ教えてください。
塗装や椅子の張り地、軽微なキズなどはある程度リペア出来ても、深い傷はなかなか消すことができませんが、それが味わいになっています。作業台などはそこから使用してきた職人の仕事に思いを馳せることもでき、長い時間を経てきたこその勲章とも言えるかもしれませんね。あとアンティークがお好きであれば、自分が新しく買う家具や小物が将来のアンティークになり得るか、というモノ選びの際の基準を設けても良いと思います。
ー 味を刻する逸品 出店者さんの持ち物で、これは味わいがあるなあと思うものをぜひ教えてください。
特に味わいを感じるのは、古いイギリス製の鉄製ケースですね。楕円形は帽子を入れるための形です。あまりお目にかかれない物かと思います。
ー 今回、当日お持ちいただけるものについて、注目してほしい部分をぜひ教えてください。
刻印があるものも良いですが、刻印のない無銘のもの、大量生産のグッドデザインにも興味深いものがたくさんあります。時を刻んできた長さが違うと、それぞれに異なる魅力があるもの。種類も様々にお持ちしますので、その辺りも楽しんでいただけたらと思います。
東京都国立市北2-13-48-101
DRAWER
根間さん
「情勢の変化の中生まれた刻印たち」
ー まずは、「刻印」のあるアンティークにはどんなものがあるのでしょうか。また、刻印からはどんな情報が見えてくるのでしょうか。ぜひ教えてください。
陶器のバックスタンプやカトラリーのホールマークなどです。イギリスでは古くから刻印をいれてましたが、フランス陶器の刻印の歴史は19世紀に入ってからのようで、それ以前のものには刻印がないものが多く存在します。
私が集めている陶器も1900年前後に作陶されたものが多く、手仕事から量産化へと移行されていく過渡期の時代でもありました。
その頃はパリでは万博の開催やエッフェル塔が建設されたり、アールヌーボーの芸術運動など、暮らしや生活様式にあらゆる変化がもたらされた時期でもありました。フランスは窯業が盛んで多くの陶窯がありましたが、国や隣国との情勢、労働者のストライキなど、さまざまな事情で吸収・合併をくりかえしながら作陶が行われ、たくさんの種類の刻印が存在していました。
ー 刻印は量産化のものや他の陶窯との差別化の意味もあったのかなと感じますね。19世紀以前のものですと刻印が少ないとのことですが、どのような部分を見て選んでいますか?
風土や生活文化など、それぞれの国や地域の特性が感じられるものや、刻まれたシミやキズなどに人々の暮らしが垣間見れるものが、私のひとつのセレクトの基準にあります。ナイフやフォークの無数のキズが存在するお皿を見かけますが、ヨーロッパで肉料理を主流とした食文化がモノに反映され、かつ、そのキズが絵皿を見るかのように、景色の一部としてなじんでいるものに魅力を感じています。
一方、状態の良いものについては、経年変化の景色を想像しながら、使い込んでいくことで徐々に味わいが増していくようなアイテムを探し続けています。
ー 刻印以外にも、私たちが古い物を見るときにはどんな視点で見るといいでしょうか。ポイントをぜひ教えてください。
花屋で見つけたあの花を飾りたいなとか、テーブルを囲んだ空間のワンシーンなど、アンティークに他のアイテムを組み合わせた見方をするとおもしろいと思います。何色のテーブルクロスで、誰とテーブルを囲んで、どんな料理を盛り付けようか、シーンをイメージしていくことで、アンティークはぐっと身近に感じられてくると思います。
アンティークは一点ものが多いため、ほしいものになかなか出会えないことはよくありますが、少し長いスパンでのんびり待ってみるのも楽しみ方のひとつです。「そういえば2年前に探されていたティースプーンが見つかりましたよ」と、お客さんとやりとりすることもめずらしくはありません。
ー 味を刻する逸品 出店者さんの持ち物で、これは味わいがあるなあと思うものをぜひ教えてください。
白いオーバル皿は、私が古物の仕事を始めた時から変わらず集め続けているアイテムのひとつです。カーブの角度やリムなどの形状の差異に経年変化や暮らしの痕跡が掛け合わさり、無限の表情を見せてくれるオーバル皿は魅力的で奥深く、味わいのあるアイテムだと感じています。
ー 今回、当日お持ちいただけるものについて、注目してほしい部分はどこですか?
木製のカッティングボードです。木材の角は丸みを帯びてナイフの跡が縦横無尽に刻まれて、人々の暮らしを支えてきた愛着を感じる生活のアイテムです。手仕事による切り出しや持ち手の形状も特徴的です。廣島蚤の市には白色をベースとした陶器やゆらぎのグラスなど、買い付けたばかりのアイテムをお持ちしますので、ぜひ実際に見て触ってしっくり手になじむアイテムを見つけてください。
実店舗を持たずイベントを中心に出店。
ENGAWA
荒牧さん
「国内外との違いが見える部分」
Photo by @_yuuuuya Instagram
ー まずは、「刻印」というとどんなものがあるのでしょうか?
日本の物ですと、古いノリタケや東陶などは刻印で詳しく年代が限られているので分かりやすいのです。ですが、ENGAWAの扱う商材は生活骨董と呼ばれるジャンルのもので、残念ながら9割以上が刻印、裏印の無いものなのです。それに比べてフランスやイギリスの器類は確実に刻印で年代がわかるのでその辺りは日本の器との大きな違いかなーと思います。
ー 日本の生活骨董となると、意外にも刻印などは少ないのですね。刻印が無い場合には読み取れる情報も減ってしまうと思うのですが、その年代などを判断するのはどのようにされていますか?
そうですね、何を見て判断しているのかと言われると言葉にするのは難しいのですが、全体的(土や釉薬、絵付けの具合、特徴的なものなど)に見て何となくわかってくる経験?みたいな感じや図録であったり資料との兼ね合いで時代や産地を考察しています。
和骨董は沢山の図録というのがありまして美術館が出しているものや研究者が出しているもの、またコレクターが出しているものなど様々で品物の写真とそれぞれの見解が載っています。
とは言え、古い図録は後ほど新しい発見があって今では違ってきたものもありますし、個人の見解の部分はどれが正解かまだよくわからないところもありますから、実際焼き物に関しては、いまだに色々な意見があるので確実に産地や時代を特定出来るかと言えば難しいところもあって、過去の総合的なところに寄せているといった面が大きいです。
ー 私たちが古い物を見るときには、どんな視点で見るといいでしょうか?ポイントをぜひ教えてください。
例えば、Instagramに載せたアサヒビールのコップ(https://www.instagram.com/p/C7lz6U6vbVc/)は、逆文字である部分は特に分かりやすいですが、その他にも底部分に贅沢に分厚くガラスを使っている事やガラスの質感などから様々な資源が枯渇していた戦中や戦後すぐでは無い事を想像して戦前と見当をつけることができますね。絶対かと言われたらちょっと怯みますが(笑)
そうやって想像しつつ、見当をつけて楽しみながら見てもらえると嬉しいなと思います。
ー 味を刻する逸品 出店者さんの持ち物で、これは味わいがあるなあと思うものをぜひ教えてください。
気が多いので一つに絞るのは難しいのですが(笑)。個人的には酒器と呼ばれるものが好きです。
その中でも、そば猪口に味わいを感じています。収集家も多く今は猪口と呼ばれ酒器の一つに入れられていますが、元々は向付として使われていたもの。それがそば猪口と呼ばれる様になったことで多くの人が集めたり楽しむものとなり現代においても愛され続けていると思います。そば猪口に限らず元々はその用途でなくとも酒器見立てとなるものは酒器というジャンルで扱われ今もなお多くの人の心を惹きつけており日本人にとってお酒を楽しむ時間や器がとても大事な時間であることが感じられます。
こちらのそば猪口はまだストックがあるので広島にも持って行きたいと思っています、
このお花部分が桜だったり梅だったり、アザミ?だったり少しずつ描き手によって違うバージョンがあってそんな違いを見つけるのも楽しいです。
ー 今回、当日お持ちいただけるものについて、注目してほしい部分をぜひ教えてください。
今回の廣島蚤の市では、前回よりもう少しカジュアルな気軽に手にとっていただける様な、直感的に可愛い!とか使ってみようかなと思ってもらえそうなものをメインに考えています。特に、夏に向けてガラスの器類や古手のガラスコップなどを中心に手入れした古い籠類も入れて爽やかな感じでいきたいと思っています。
実店舗を持たずイベントを中心に出店。
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この度の廣島蚤の市のテーマは「味を刻する」。
刻むという言葉からはいろいろなイメージが浮かびますが、今回は「刻印」をキーワードに、「古道具Let ’Em In」「DRAWER」「ENGAWA」の3店舗にお話しを聞いてみました。情報としてだけではない、刻印に込められたもの。そして、刻印の有無などにも国の違いや様々な歴史が見えてきます。詳細は分からずとも、優れたデザインをしているアンティークや古道具たちですが、その物がもつ歴史や物語が見えてくると、きっともっと、好きになるはず。アンティークや古道具の物の見方のヒントが盛りだくさんです。ぜひお愉しみください。
刻むという言葉からはいろいろなイメージが浮かびますが、今回は「刻印」をキーワードに、「古道具Let ’Em In」「DRAWER」「ENGAWA」の3店舗にお話しを聞いてみました。情報としてだけではない、刻印に込められたもの。そして、刻印の有無などにも国の違いや様々な歴史が見えてきます。詳細は分からずとも、優れたデザインをしているアンティークや古道具たちですが、その物がもつ歴史や物語が見えてくると、きっともっと、好きになるはず。アンティークや古道具の物の見方のヒントが盛りだくさんです。ぜひお愉しみください。
原さん
「刻印に込められたもの」

ー まずは、「刻印」というとどんなものがあるのでしょうか?
代表的なものは焼き物でしょうか。陶器のお皿や壺など。木製の家具や小物では、北欧のもには木工製品の輸出を産業として積極的に進めていたことから、50年代の製品から焼印が見られます。
ー その刻印からはどんな情報が見えてくるのでしょうか。ぜひ教えてください。
例えばウェグナーのYチェアは、生産数がそれほど多くなかった初期は手間のかかる焼印、その後世界的な人気に合わせて簡易な紙製シールになり、さらに時代を重ねると、よりステータス感と高級感のある金属製タグに変化します。世間的な評価が反映されているようで、とても興味深いと思います。

ウェグナーと同じくデンマークのJ.L.Moller社の焼印とシール

そして、刻印があるということは、作者が自信を持って自分の作品であると主張しているということ。
販売するものとしては、どんな古いものでも表情や形の込められた意思をできるだけ読み取りたいと思いますが、刻印があるものに関しては、作者の作品に込めたメッセージをしっかり読み取らなければ、という緊張感がより生まれます。
販売するものとしては、どんな古いものでも表情や形の込められた意思をできるだけ読み取りたいと思いますが、刻印があるものに関しては、作者の作品に込めたメッセージをしっかり読み取らなければ、という緊張感がより生まれます。
ロイヤルコペンハーゲンやアラビアなど北欧の焼き物の裏には、デザイナーだけではなく絵付けの職人によるサインも書かれているものがあります。松本民芸の製品には製作を担当した職人の名が刻印されています。これは他の家具メーカーにはあまり見られない特徴だと思います。


ー 刻印以外にも、私たちが古い物を見るときにはどんな視点で見るといいでしょうか?ポイントをぜひ教えてください。
塗装や椅子の張り地、軽微なキズなどはある程度リペア出来ても、深い傷はなかなか消すことができませんが、それが味わいになっています。作業台などはそこから使用してきた職人の仕事に思いを馳せることもでき、長い時間を経てきたこその勲章とも言えるかもしれませんね。あとアンティークがお好きであれば、自分が新しく買う家具や小物が将来のアンティークになり得るか、というモノ選びの際の基準を設けても良いと思います。


ー 味を刻する逸品 出店者さんの持ち物で、これは味わいがあるなあと思うものをぜひ教えてください。
特に味わいを感じるのは、古いイギリス製の鉄製ケースですね。楕円形は帽子を入れるための形です。あまりお目にかかれない物かと思います。

ー 今回、当日お持ちいただけるものについて、注目してほしい部分をぜひ教えてください。
刻印があるものも良いですが、刻印のない無銘のもの、大量生産のグッドデザインにも興味深いものがたくさんあります。時を刻んできた長さが違うと、それぞれに異なる魅力があるもの。種類も様々にお持ちしますので、その辺りも楽しんでいただけたらと思います。
東京都国立市北2-13-48-101
DRAWER
根間さん
「情勢の変化の中生まれた刻印たち」

ー まずは、「刻印」のあるアンティークにはどんなものがあるのでしょうか。また、刻印からはどんな情報が見えてくるのでしょうか。ぜひ教えてください。
陶器のバックスタンプやカトラリーのホールマークなどです。イギリスでは古くから刻印をいれてましたが、フランス陶器の刻印の歴史は19世紀に入ってからのようで、それ以前のものには刻印がないものが多く存在します。

私が集めている陶器も1900年前後に作陶されたものが多く、手仕事から量産化へと移行されていく過渡期の時代でもありました。
その頃はパリでは万博の開催やエッフェル塔が建設されたり、アールヌーボーの芸術運動など、暮らしや生活様式にあらゆる変化がもたらされた時期でもありました。フランスは窯業が盛んで多くの陶窯がありましたが、国や隣国との情勢、労働者のストライキなど、さまざまな事情で吸収・合併をくりかえしながら作陶が行われ、たくさんの種類の刻印が存在していました。

ー 刻印は量産化のものや他の陶窯との差別化の意味もあったのかなと感じますね。19世紀以前のものですと刻印が少ないとのことですが、どのような部分を見て選んでいますか?
風土や生活文化など、それぞれの国や地域の特性が感じられるものや、刻まれたシミやキズなどに人々の暮らしが垣間見れるものが、私のひとつのセレクトの基準にあります。ナイフやフォークの無数のキズが存在するお皿を見かけますが、ヨーロッパで肉料理を主流とした食文化がモノに反映され、かつ、そのキズが絵皿を見るかのように、景色の一部としてなじんでいるものに魅力を感じています。
一方、状態の良いものについては、経年変化の景色を想像しながら、使い込んでいくことで徐々に味わいが増していくようなアイテムを探し続けています。
一方、状態の良いものについては、経年変化の景色を想像しながら、使い込んでいくことで徐々に味わいが増していくようなアイテムを探し続けています。

ー 刻印以外にも、私たちが古い物を見るときにはどんな視点で見るといいでしょうか。ポイントをぜひ教えてください。
花屋で見つけたあの花を飾りたいなとか、テーブルを囲んだ空間のワンシーンなど、アンティークに他のアイテムを組み合わせた見方をするとおもしろいと思います。何色のテーブルクロスで、誰とテーブルを囲んで、どんな料理を盛り付けようか、シーンをイメージしていくことで、アンティークはぐっと身近に感じられてくると思います。
アンティークは一点ものが多いため、ほしいものになかなか出会えないことはよくありますが、少し長いスパンでのんびり待ってみるのも楽しみ方のひとつです。「そういえば2年前に探されていたティースプーンが見つかりましたよ」と、お客さんとやりとりすることもめずらしくはありません。
アンティークは一点ものが多いため、ほしいものになかなか出会えないことはよくありますが、少し長いスパンでのんびり待ってみるのも楽しみ方のひとつです。「そういえば2年前に探されていたティースプーンが見つかりましたよ」と、お客さんとやりとりすることもめずらしくはありません。

ー 味を刻する逸品 出店者さんの持ち物で、これは味わいがあるなあと思うものをぜひ教えてください。

白いオーバル皿は、私が古物の仕事を始めた時から変わらず集め続けているアイテムのひとつです。カーブの角度やリムなどの形状の差異に経年変化や暮らしの痕跡が掛け合わさり、無限の表情を見せてくれるオーバル皿は魅力的で奥深く、味わいのあるアイテムだと感じています。
ー 今回、当日お持ちいただけるものについて、注目してほしい部分はどこですか?
木製のカッティングボードです。木材の角は丸みを帯びてナイフの跡が縦横無尽に刻まれて、人々の暮らしを支えてきた愛着を感じる生活のアイテムです。手仕事による切り出しや持ち手の形状も特徴的です。廣島蚤の市には白色をベースとした陶器やゆらぎのグラスなど、買い付けたばかりのアイテムをお持ちしますので、ぜひ実際に見て触ってしっくり手になじむアイテムを見つけてください。

実店舗を持たずイベントを中心に出店。
ENGAWA
荒牧さん
「国内外との違いが見える部分」

Photo by @_yuuuuya Instagram
ー まずは、「刻印」というとどんなものがあるのでしょうか?
日本の物ですと、古いノリタケや東陶などは刻印で詳しく年代が限られているので分かりやすいのです。ですが、ENGAWAの扱う商材は生活骨董と呼ばれるジャンルのもので、残念ながら9割以上が刻印、裏印の無いものなのです。それに比べてフランスやイギリスの器類は確実に刻印で年代がわかるのでその辺りは日本の器との大きな違いかなーと思います。
ー 日本の生活骨董となると、意外にも刻印などは少ないのですね。刻印が無い場合には読み取れる情報も減ってしまうと思うのですが、その年代などを判断するのはどのようにされていますか?
そうですね、何を見て判断しているのかと言われると言葉にするのは難しいのですが、全体的(土や釉薬、絵付けの具合、特徴的なものなど)に見て何となくわかってくる経験?みたいな感じや図録であったり資料との兼ね合いで時代や産地を考察しています。
和骨董は沢山の図録というのがありまして美術館が出しているものや研究者が出しているもの、またコレクターが出しているものなど様々で品物の写真とそれぞれの見解が載っています。
和骨董は沢山の図録というのがありまして美術館が出しているものや研究者が出しているもの、またコレクターが出しているものなど様々で品物の写真とそれぞれの見解が載っています。
とは言え、古い図録は後ほど新しい発見があって今では違ってきたものもありますし、個人の見解の部分はどれが正解かまだよくわからないところもありますから、実際焼き物に関しては、いまだに色々な意見があるので確実に産地や時代を特定出来るかと言えば難しいところもあって、過去の総合的なところに寄せているといった面が大きいです。
ー 私たちが古い物を見るときには、どんな視点で見るといいでしょうか?ポイントをぜひ教えてください。
例えば、Instagramに載せたアサヒビールのコップ(https://www.instagram.com/p/C7lz6U6vbVc/)は、逆文字である部分は特に分かりやすいですが、その他にも底部分に贅沢に分厚くガラスを使っている事やガラスの質感などから様々な資源が枯渇していた戦中や戦後すぐでは無い事を想像して戦前と見当をつけることができますね。絶対かと言われたらちょっと怯みますが(笑)
そうやって想像しつつ、見当をつけて楽しみながら見てもらえると嬉しいなと思います。

ー 味を刻する逸品 出店者さんの持ち物で、これは味わいがあるなあと思うものをぜひ教えてください。
気が多いので一つに絞るのは難しいのですが(笑)。個人的には酒器と呼ばれるものが好きです。
その中でも、そば猪口に味わいを感じています。収集家も多く今は猪口と呼ばれ酒器の一つに入れられていますが、元々は向付として使われていたもの。それがそば猪口と呼ばれる様になったことで多くの人が集めたり楽しむものとなり現代においても愛され続けていると思います。そば猪口に限らず元々はその用途でなくとも酒器見立てとなるものは酒器というジャンルで扱われ今もなお多くの人の心を惹きつけており日本人にとってお酒を楽しむ時間や器がとても大事な時間であることが感じられます。
その中でも、そば猪口に味わいを感じています。収集家も多く今は猪口と呼ばれ酒器の一つに入れられていますが、元々は向付として使われていたもの。それがそば猪口と呼ばれる様になったことで多くの人が集めたり楽しむものとなり現代においても愛され続けていると思います。そば猪口に限らず元々はその用途でなくとも酒器見立てとなるものは酒器というジャンルで扱われ今もなお多くの人の心を惹きつけており日本人にとってお酒を楽しむ時間や器がとても大事な時間であることが感じられます。

こちらのそば猪口はまだストックがあるので広島にも持って行きたいと思っています、
このお花部分が桜だったり梅だったり、アザミ?だったり少しずつ描き手によって違うバージョンがあってそんな違いを見つけるのも楽しいです。
このお花部分が桜だったり梅だったり、アザミ?だったり少しずつ描き手によって違うバージョンがあってそんな違いを見つけるのも楽しいです。
ー 今回、当日お持ちいただけるものについて、注目してほしい部分をぜひ教えてください。
今回の廣島蚤の市では、前回よりもう少しカジュアルな気軽に手にとっていただける様な、直感的に可愛い!とか使ってみようかなと思ってもらえそうなものをメインに考えています。特に、夏に向けてガラスの器類や古手のガラスコップなどを中心に手入れした古い籠類も入れて爽やかな感じでいきたいと思っています。

実店舗を持たずイベントを中心に出店。