【コンシェルジュが登場する本】
『「食」と「本」のプロ30名が選ぶ 私の偏愛料理本』
(グラフィック社)

『「食」と「本」のプロ30名が選ぶ 私の偏愛料理本』が2024年12月にグラフィック社より発売されました。1名5冊ずつ、150タイトルを紹介するこの本に、代官山 蔦屋書店の料理コンシェルジュ 澤峰子がプロの1人として登場しています。どのように“偏愛料理本”を選んだのか、また、本への思いを聞きました。 

 

代官山 蔦屋書店 料理コンシェルジュ 澤峰子(さわ・みねこ)



東京都出身。学生時代にドイツ語に出会い、多言語に興味を持つ。料理はレトルト食品の原材料名を見て再現しようとしたところから、料理書は「何が中華たらしめるのか」「ハンバーグのスパイスで何が必須か」と思い、複数の本を見比べるところから探求が始まる。

 

手足も動かして選び、“自分だけ”の情報でおすすめする

――食と本のプロの1人して参加しました。どのように感じていますか。

2024年の春にお話をいただいたのですが、お受けしたときは他にどんな方が参加されるのか分からなかったので、とにかく料理のプロの方に失礼のないようにしたいと思いました。蓋を開けてみると、日本料理店「賛否両論」の笠原将弘さん、フランス料理店「カンテサンス」の岸田周三さん、オンライン書店「CHEF'S LIBRARY」の前久保好平さんなど、売場で紹介している料理本の著者の方や、個人的に注目させてもらっている方とご一緒させていただくこととなり、発売後の今でも緊張が取れません。

――本のなかで紹介した5冊の“偏愛料理本”はどのように選びましたか。

私が世界のお菓子について知るきっかけとなり、実際に何度も作ってきた、まさに愛用の焼き菓子のレシピ本をはじめ、フランスの家庭料理、和食の本など、なるべく違う分野を選んでバリエーションを心がけました。また、代官山 蔦屋書店の料理書売場で強みとしている洋書はぜひ紹介したいと思い、1冊はイタリアンに関する洋書にしました。選ぶのにあまり苦労はしませんでした。

本は自分の足、手、目を使って選んでいます。本がある場所に足を運んで、手で触って、中身を見て、それで初めてどんな本かが分かります。洋書も原語で読むようにしています。今回の5冊もそうですが、そうして自分が直接得た情報や体験、感じたことなど、できるだけ自分だけのオリジナルの情報で本を紹介するようにしています。

本は存在するだけで素晴らしい

 

――澤さんにとって本の魅力は。

本は情報の宝庫です。ネット検索をしても分からないことを教えてくれます。パラパラと斜め読みするだけでもアンテナに引っかかる箇所が出てくるもので、それがその人の宝物になっていきます。普段ネットを使っている方こそ、ぜひ本を手に取っていただき、まずは斜め読みしてみていただきたいと思います。海外のお客様に本を紹介すると、“Thank you for sharing.”と言ってくださることがあるのですが、“share”っていう言葉、とてもいいですよね。一冊の本がもたらしてくれる宝物は分け合えますし、それぞれのなかで、より輝くこともあるのではないでしょうか。


今回の本の発売後、自身のページでご紹介した日本でただ1人のスフォリーノ(手打ちパスタを作る職人)・河村耕作さんに、この本をプレゼントしに行きました。通常あまり笑顔を見せない河村さんですが、本をお渡しすると笑顔になってくださいました。河村さんを知り河村さんのパスタ工房を訪問できたのは、こちらの本のなかで紹介した洋書がきっかけだったのですが、本のおかげで河村さんと重ねて交流することができて嬉しく思いました。本は存在するだけで素晴らしい。本が人もつないでくれると改めて思っています。

書籍情報



書名 「食」と「本」のプロ30名が選ぶ 私の偏愛料理本
編集 グラフィック社編集部
発売日 2024年12月
仕様 A5判、280ページ
価格 2,750円(税込)
ISBN 978-4-7661-3904-4

 

 

 
 
 

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