【コンシェルジュ文庫 2025】コンシェルジュ座談会
「100歳までに読んでおきたい本」とは Vol.2
蔦屋書店では毎年、秋の読書週間・本の日（11月1日）に向けて、コンシェルジュが一つのテーマに沿って選び抜いた文庫本をご紹介するフェア「コンシェルジュ文庫」を全国で実施しています。今年のテーマは「100歳までに読んでおきたい本」。人生100年時代に、年齢ごとにおすすめの文庫本を約50冊、ご紹介しています。自分の年齢に近い本を読んでいただくのはもちろん、未来の自分を想像したり、過去を懐かしく思い出したりしながら、前後の年齢の本を読んでいただくのもいいかもしれません。企画を担当した3人のコンシェルジュに、それぞれが選んだ本について、また、フェアの楽しみ方について聞きました。
座談会参加者
江藤 宏樹 (えとう・ひろき)
広島 蔦屋書店 文学コンシェルジュ。広島の地元老舗書店から広島 蔦屋書店のオープニングメンバーとして転職。文学コンシェルジュとして現在も勤務している。趣味はけん玉やアガベ育成、バイクなど様々、最近は革靴にもハマっている。好きな本のジャンルは文学、人文、SF、ミステリ、など読み物全般。基本的に本は全部好き。
粕川 ゆき (かすかわ・ゆき)
二子玉川 蔦屋家電 アート・デザインコンシェルジュ。大学卒業後スポーツメーカーに勤務したのち、学生時代から通っていた書籍と雑貨の複合店に転職。その後、都内独立系書店に移り店長を務め、2020年春から二子玉川 蔦屋家電に。自ら立ち上げた、店舗の無い“エア本屋”「いか文庫」の店主として、雑誌やテレビなどでも本を紹介している。
松本 泰尭 (まつもと・やすたか)
二子玉川 蔦屋家電 店長・文学コンシェルジュ。大学で映像を勉強後、広告代理店勤務を経て、2015年の二子玉川 蔦屋家電のオープニングスタッフとして勤務開始。2025年から同店店長。好きな作家は絲山秋子、長嶋有、ジョナサン・フランゼン、J.M.クッツェーなど。読書の他にも映画やメジャーリーグを観るのも好き。
過去、現在、未来。いろんな年齢の本を読んで、人生を旅してもらいたい。
――他のコンシェルジュの選書で、印象的だったものはありますか。
江藤：65歳に贈る本は、心が豊かな感じがとてもして、いいなと思いました。
松本：僕も65歳の本は、おもしろいなと思いました。何となく、みんな日本の本を選ぶと思っていたのですが、海外の本があったので。また、ガブリエル・ガルシア＝マルケスの『百年の孤独』が100歳におすすめされると予想していたのですが、65歳向けに別のタイトルが選ばれていたことに意外性がありました。
粕川：私は０歳で松本さんが選んだ『人体大全』（ビル・ブライソン）がすごいと思いました。自分だったら生まれたことを喜ぶイメージで選んだと思うのですが。これから100歳まで生きるのに、どんなふうに身体ができているか、確かに不思議だし知りたくなる、カッコいい選書だなと。自分は小説ばかり選んだのですが、こういう小説ではない文庫もあることを示せているのは、おもしろいですね。
――「100歳までに読んでおきたい本」をどんな風に楽しんでもらいたいですか。
江藤：自分の年齢はもちろん、いろんな年齢の本を読んで、人生を旅してもらえたらと思います。自分の年齢に向けて選ばれた本を、リアルタイムで読めるのはすごくうらやましいです。先の年齢の本を読むことで、その年齢に向けた備えができることは、人生を歩んでいくなかで指針になりますし、過去の年齢の本を読むことで過去を取り戻すような楽しみ方もできます。
松本：今回も店頭では、コンシェルジュのコメントと共に、おすすめ本をまとめた冊子をフリーで配布します。年齢から入ってもいいし、気になるコメントから入ってもいい。冊子が読み物として充実しているので、ぜひ手に取って楽しんでもらいたいです。
粕川：その年齢に向けて、なぜその本がおすすめなのか、冊子にまとめられたコンシェルジュのコメントを読むと、なるほどと思っていただけると思うので、まずは読み物として冊子を楽しんでもらえたらと思います。そして、そのなかから自分の年齢の本や、過去や未来の年齢の本など、選んでもらえたら嬉しいです。
読書のきっかけになることを願って
――「コンシェルジュ文庫」は、他のフェアと違いますか。
松本：これだけの数の本を選び、これだけのクオリティで見せられるフェアというのは、自分１人、また個店だけではとてもできないので、嬉しい気持ちと感謝の気持ちが強いです。仕上がりが最高によく、その分、お客様にも伝わると思いますし、毎回、感動します。そこに自分が参加させてもらっているのが、本当にありがたいですね。
粕川：私は、ただただ勉強になると思っています。自分のカラーができてしまっているので、自分が想像していなかった本が出ているのを見ると、みんなすごいなと。自分はまだまだだなと、結構、落ち込んだりもします。もっとこういう本を選べるようになりたい、もっともっと頑張らなきゃなという気持ちにさせられます。世の中にはこんなに本があるんだなと今更ながら思って、さらに新しい本も出ているし、それを選べるのはおもしろいなと思います。私は毎回、選書は苦労するのですが、出会ってみると、読めてよかったと思うので、人生に似ているなと思います。
――今回、「コンシェルジュ文庫」の開催を記念して、コンシェルジュによるパーソナル選書が抽選で当たるキャンペーンを実施します。３人も参加しますね。
粕川：普段、本を読まない人に手に取ってもらいたいという思いから「コンシェルジュ文庫」を実施しているので、本の選び方が分からないという方に、ぜひお届けしたいです。
松本：より具体的な年齢やパーソナリティが分かると、その方だけに向けたぴったりな選書ができると思います。
江藤：蔦屋書店のコンシェルジュがその方だけに選書するという、とても豪華なプレゼントだと思うので、ぜひ応募いただけたら嬉しいです。
