【展示】青野千穂 作品展「柔らかなカタチ」

アート
2023年10月14日(土) - 11月10日(金)
アーティスト 青野千穂の新作を展示する、個展「柔らかなカタチ」を銀座 蔦屋書店インフォメーションカウンター前にて10月14日(土)〜11月10日(金)の期間に開催いたします。
 
青野千穂は、粘性のある流動体となった有機物が支持体を侵食していくかたちを、陶を素材として表現するアーティストです。作品の表面に網目や動植物の模様をマットに描くことで、陶はまるで布のような質感を獲得し、硬さ、重さから解放され、何でもない不思議な存在感を湛えています。
粘性のある流動体に心を惹かれるようになったのは、幼少期に親戚総出で行われた餅つきの体験がきっかけといいます。それから、そのような形態を持つ生物、イソギンチャクやサンゴ、微生物などに興味がわき、有機的なかたちへの関心が高まっていったと言います。粘土で造形する陶という素材と、かねてからの関心が出会い、彼女独自の表現方法が生まれました。現在はオーストリア、リンツにて制作を行っている青野。作品に描かれる模様にその影響を垣間見ることができます。モチーフは、流動体より連想される水紋からヒントを得た網目模様から、ヨーロッパの古い部屋を訪ねたときに目にする壁紙のような文様、連続した植物や動物の文様へと変化が見られます。生活と芸術を一致させることを主張した1880年代の「アーツ・アンド・クラフツ」運動によって、ヨーロッパの人々の生活に根付いたデザインが、彼女にインスピレーションを与えています。

陶という素材から解き放たれた美しい有機物が粘り、流れ、侵食する。奔放にかたちを変える青野の作品は鑑賞者に動きを感じさせます。例えば、オーストリアでよく見かけるというアコーディオンの形状にインスパイアされて制作した「とある楽器」のように、有機物が既存の無機物に侵食するあり様を表した作品では、抗い難いものに対する抵抗や感情、湧き出す生物的エネルギー、変化と順応を想起させます。 
本展では、オーストリアに渡る前の2003年から23年までの作品、20点以上が展示されます。
『人生を楽しめ I』 2022年(W25×D30×H20cm)/ 陶
 
[アーティストステートメント]
私が作品に有機的な形態を用いるのは、鑑賞者に感情移入をたやすく促すからです。動かない物体ですが、粘性の形状は動いているような錯覚を生み出します。
しかし、作品によって流動体の物理的な運動を正確に再現しようとしているわけではありません。形状は不格好に変形したり、意識を持った軟体動物であるかのように、重力だけでは発生しない方向性を持っています。 なぜなら、その形状が物理的に一致しない動きを持っている時、その中に物語性や感情などが生まれるからです。
 
表面のパターンも、はじめは流体のような形状と付随する水の波紋にインスパイアされた織りパターンから始まり、波紋のような円を描くことに発展していきました。 ヨーロッパに住み始めてから徐々にウィリアム・モリスの壁紙に植物や動物が連続して描かれるなど、生活と芸術の融合を提唱するデザインに影響を受け、同様のモチーフを描くようになりました。
 
釉薬の代わりにマットな色を使うと、布地のような不思議な質感になります。重いのか柔らかいのか硬いのかわからない質感と、生地にプリントされているようなモチーフを描くことで、作品がセラミックの物質感から解放される効果を生み出しています。作品の形状や連続した有機的なパターンと具体的なモチーフも、基本的には自然からインスピレーションを得たものです。
 
青野千穂
 
[アーティストプロフィール]
青野千穂/Chiho Aono

1974年 横浜生まれ。
多摩美術大学にて油絵科の中にある陶芸クラスにて陶を学ぶ。
1999年多摩美術大学 大学院修了。
2008年以降、オーストリア・リンツにて作陶。
2010年 平成22年度 文化庁 新進芸術家海外留学制度 派遣作家
2012年 リンツ美術大学 大学院修了
2022年 信楽陶芸の森 招待作家
2023年 アッパー・オーストリア/グムンデン陶器 招待作家
2024年 ウィーン工房(陶)のための作品(エディション)を制作予定
 その他、アメリカ、韓国などで作品展を多数開催
 
[販売について]
作品は銀座 蔦屋書店店頭、アートのオンラインマーケットプレイス「OIL by 美術⼿帖」にて販売します。
店頭|10月14日(土)10:30より販売開始
OIL by 美術⼿帖|10月16日(月)12:00より販売開始
 
\オンラインストアで購入する/
2023年10月16日(月)12:00~販売開始
 
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