広島T-SITEのかたち #shodai bio nature
広島T-SITEをかたちづくる個性的なSHOPの数々。
商品の背後にあるストーリーを紹介する。
広島T-SITE 2号館1Fのshodai bio nature。
オーガニック素材や無添加にこだわったパウンドケーキやマカロン、チョコレート、バウムクーヘンなどの洋菓子を取り扱うお店だ。店頭には季節の野菜や果実も並んでいる。
看板商品ミルティ・ペタルと、shodai bio natureの哲学を表すトラディッショナル・バウムクーヘン、この2つの洋菓子について、オーナーパティシエの小代智紀(しょうだいとものり)さんにお話を伺った。
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花びらに宿るフランスと日本
ミルティ・ペタル。6色の花びらのチョコレートが舞う見た目にも美しいチョコレー ト。年間1万個以上を売り上げるshodai bio nature の看板商品のひとつだ。着色料を一切使用せず、自然素材のもので美しい色と豊かな風味が表現されている。チョコレートはオーガニックのフェアトレードのものを使用する、こだわりがつまった逸品だ。
今では、自然素材を使って、味も色も香りも自由自在に表現できるようになったと小代さんは語るが、そこにたどり着くまでには並々ならぬ苦労があったという。
「フランスでペタルを作っている店があって、そこのシェフが友達だったんです。作り方を教えてくれってお願いしたんですが、教えてくれませんでした。まず、かたち をどうやって作るのかっていうのが、わからなかったですね。それに加えて、香料と人工着色料は使わないっていうポリシーがあるから、色をどうやって出すかも難しかった。最初のミルティ・ペタルを発売するまでには10年かかりました。人工着色料を使わずにやっているのは世界でもうちだけだと思います。どうやって作るのかとよく聞かれますが、ペタルだけは教えられませんね。」
shodai bio natureでは、毎月1回季節のペタルが発売されている。
日本の季節が表現されたペタルは見ているだけでも美しい。小代さんはショコラ・フィロソフィという文章の中で以下のように書かれている。「今まで培ってきたフランス的な技術や調理哲学と日本的なフィロソフィから生まれる模倣ではない新しい試みのショコラを皆さんにお届けしたいと思いました。」
1983年にフランスに渡り研鑽を積んだ小代さん。フランス的なものと日本的なものから生まれる新しい試みとは、どういうことか小代さんに聞いてみた。
「いまは誰でもフランスに行こうと思ったら行ける時代ですが、ぼくの時代はそうじゃありませんでした。フランスのものは何でも素晴らしいって考えているときもありましたね。フランスと日本を比較して、日本の野菜や果実は物足りないって。フランスに近づけよう、フランスよりもおいしいものを作ろうって考えていました。でもそれはごまかしのテクニックだって、35歳を過ぎたくらいから気づきました。日本にも、もっと素晴らしいものがあるって。和食に学ぶことは多かったです。余計な味をそぎおとしてシンプルに表現する。それが日本の食材を活かすことにもなるということですね。」
正しい生産者のメッセージを
素直に多くの人たちへ伝えること
飾ることではなく削ぎおとすことで本質を表現すること。それがパティシエの仕事だと小代さんは語る。生産者との関わり方もshodai bio natureの哲学をあらわしている。shodai bio natureではオーガニック栽培の食材中心に取り扱っている。小代さんが自ら生産者のもとに足を運んで取り扱いを決めたものがほとんどだ。
「オーガニックの農家なんて日本には、ほんのわずかしかありません。ぼくたちに安全なものを届けるために野菜、果実、穀類、木の実、乳製品や卵の栽培に人生をかけている人たちがいます。彼らのためにもおいしくないものは作れません。素材の力を引き出すっていうのがぼくの使命。やっぱり自然のものだから、年によっては不出来な年もあります。それでも仕入れをするし、値切ることはしません。信頼できる農家とずっと付き合っていくことが大切。不出来な年でも、仕上がりの味は変わらないようにするのが、パティシエの技量ですね。」
素材の力を活かすというshodai bio natureの哲学が表現されたのがトラディッショナル・バウムクーヘンだ。小麦粉、卵、砂糖、バター、オリーブオイルとシンプルな素材で化学的なものを一切加えず、焼き上げられたバウムクーヘンの芳ばしく軽やかな歯ざわりと口溶けは、懐かしくも新鮮な感動をよびおこす。
「素材の力と焼き手の技術と火の力が調和するようなものを目指しました。自然の香りと味わいは今までにないような、自分らしい表現ができたと思います。」
食べるものが未来をつくる
shodai bio natureのお菓子はすべて人口色素・人工香料・人工甘味料・トランス脂肪酸・保存料不使用。商品ごとのプライスカードにオーガニック素材の使用率やアレルギー情報が表示されていて、消費者に適切な情報を提供している。小代さんは作り手の倫理について以下のように語る。
「生業として食べるものを作っていて、人の身体にダメージを与えるものは作りたくありません。それが責任だし、当たり前に取り組むべきことです。大切な人に毎日食べさせられるかっていうのが基本的な考え。食べるものが未来を作っていくんですから。理念と利益のどっちをとるかって考えたときには理念をとります。自分で考えた理念に嘘はつきたくないですから。」
shodai bio natureはフィードフィロソフィー宣言を掲げている。“すべての人たちが心や身体に自然を感じ、そして現状出来る限りのオーガニック素材や自然由来素材を中心とした生産者と共に食文化の創造と継承を目指します。” というもの。この理念を掲げたのは2012年のこと。SDGsやサスティナブルという言葉が人口に膾炙する前から理念に則った取り組みを継続されている。フェアトレード、生産者を守るという視点について以下のように語る。
「チョコレートの仕入れについては、エクアドルの農園まで行きました。児童労働が行われているところもあるけど、そうじゃないところを選択しました。生産者の人も豊かにならないと。ディファレントシリーズっていうオーガニック90%以上のシリーズがあるですが、売上の3%はオレンジリボン運動っていう児童虐待を防止する運動に寄付しています。未来を作るのは子どもたちですから。」
小代さんのお話を伺っているとすべての取組みがつながっていると感じる。わたしたち食べる人はどのような倫理を持って行動するべきなのか。
「食べるっていうのは命をいただく行為だと思います。生命に感謝すること。生産者に感謝すること。まずは食べ残しをしないっていうだけでも変わってくると思います。安くて大量なものを作るから食べ残しが出るんであって、足るを知るということですね。オーガニックの食材を選ぶことができればいいけど、そうでなくても加工食品を減らすっていうことでも変わってくると思います。」
shodai bio natureはおいしい、美しい、楽しいお店だ。そしてその中に世の中を良くする、世の中を変えていく理念がつまっている。おいしいをきっかけに未来は変えていけるのだ。
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応募期間/2021年10年26日(火) 〜 2021年11月14日(日)
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