【広島 蔦屋書店】心地よいかたち 道具とデザイン
身の回りのありとあらゆる人工的なモノは、誰かによってデザインされている。
そんな、考えてみればあたりまえのことに改めて気付かせられたのは、「広島が生んだデザイン界の巨匠 榮久庵憲司の世界展」を観た時だった。
榮久庵さんのデザインで最も有名なのは、キッコーマンのしょうゆ卓上びん(1961年デザイン)だろう。
展覧会の図録によると、「しょうゆ卓上びんは、中身が見えるガラス素材にカラフルなキャップでモダンなデザインだが、榮久庵はビンを持ち上げると自然に小指が離れ、使う姿が美しく見えることを意識したという。彼がどんなデザインにも日本的な美意識を大切にしていたことが感じられるエピソードだ。」とあった。
それまでの卓上用の醤油差しといえば、陶器製が主流で中身が見えず、注いで戻す際に液だれを起こしてしまうものが多かった。榮久庵さんは、ガラス素材にすることで中身が見え、液だれを起こさないように注ぎ口を改良。卓上びんの首の細さは、きっと、持ち上げる時の姿の美しさ以前に、手の小さな女性や子どもでも持ちやすいことや醤油を継ぎ足しやすいことなど、さまざまな想いの中で試行錯誤が繰り返され作り上げられたラインであったのだろう。
しょうゆ卓上びんは、シンプルなラインの中に、使い手の暮らしを想う気持ちを詰め込んだ優しく美しいデザインだった。
使っていて心地よい道具とは、きっとこういう事なのだろう。自然と手に取る。無意識的に。まるで身体の一部でもあるかのように、しっくりとくる。もちろん、それが機能的で便利だから。だが、そう感じさせてくれているのは、モノの向こう側にいる誰かだ。モノを通して想いを受け取っている、つながっていると感じる。
人工的なものは、使い手を想う優しさを詰め込んでデザインされたもの。
その想いを、知らず知らずのうちに受け取っているからこそ、手に取るだけで心地よく、永く愛し使い続けていけるのだ。
広島 蔦屋書店 犬丸
【お取り扱いブランド】
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1926年、刃物の町、新潟県三条市にて創業。ニッパー型のつめ切りは、一般ユーザーはもちろん、プロのネイリストや医療従事者にも愛用され、一度使ったら他のつめ切りに戻れないその切れ味には著名人のファンも多い。材料吟味から仕上げまで職人の手作業で製造しており、その技術を見学する為、国内外から年間3万人もの来場者が2011年にオープンの「SUWADA OPEN FACTORY」へ訪れる。
https://www.instagram.com/platchamp/
「自分らしい空間を大切な人達とシェアする。」がコンセプト。
家のテーブルでカジュアルに彩ったスタイルを海や山へ、
ワイルドなキャンプ料理を家のテラスやガーデンへ、
ホームパーティーやキャンプというフィールドをボーダレスに楽しみたい。
何気ない日常に愛着が湧くものを側においてるだけで特別な空間になる。
カッコよく気取らない小物やツールをスタイリッシュに提案するブランド。
- 期間 5月16日(土) - 6月25日(木)
- 場所 2号館1F