【広島 蔦屋書店】かごとブローチ
かごバッグの思い出
(蔦屋書店 河賀)
私には6つ歳上のお姉ちゃんがいます。
大人になった今でもふと思いだす、お姉ちゃんと私の思い出。それは思い出の品とともに私の宝物です。これは、わたしがまだ幼かったころのお話です。
ある日、お母さんがお姉ちゃんにかごのバッグを買ってきました。
お友達とどこかへおでかけするためのものでした。
トランク型の四角いかごバッグで、赤い小さなお花で縁取られたそのバッグの可愛いことといったら!私は一目で気に入ってお姉ちゃんより先に開いてみたり、鏡の前で持ってみたりしました。
こんな可愛いバッグを持っておでかけできたら!きっとどこでも楽しいに決まってる。あぁ、なんて素敵なんでしょう。いいなぁ。ほしいなぁ。
「お姉ちゃん、このバッグちょうだい」
服やバッグが好きで、すぐにおねだりする私とちがって、おねだりする事もなく、こざっぱりした格好を好むお姉ちゃんなら「いいよ」と言ってくれるだろうと思ったのでした。でもお姉ちゃんは、「いいよ」とは言ってくれませんでした。
お姉ちゃんだけずるい...お姉ちゃんばっかりいいな...
あんな可愛いかごバッグを買ってもらい、そのバッグを持ってお友達とおでかけできるなんて。私はうらやましさのあまり意地悪をしてしまいました。おでかけ当日の朝、かごバッグを隠したのです。しかし、隠し通せるはずもなく、お姉ちゃんに問い詰められ、お母さんにも怒られ、追い詰められてしまった私は思わず言ってしまいます。
「お姉ちゃんにはあのバッグは似合わないよ、全然似合っていないよ」
言ってすぐにおこられる!!と思ったのですが...
お姉ちゃんは泣いてしまいました。
お姉ちゃんもすごくすごく気に入っていたのです。そのかごバッグを持っておでかけする事がすごく楽しみだったのです。素直に甘えることのできないお姉ちゃんは、上手におねだりすることの苦手なお姉ちゃんは、お母さんが買ってくれた可愛いかごバッグを何よりも大切にしていたのです。
泣き顔を見て、そんなお姉ちゃんの気持ちが痛いほど分かった私は、情けなくて、恥ずかしくて、投げるようにかごバッグを返した後、今度は私がわんわん泣いたのでした。
その日の夕方帰ってきたお姉ちゃんは私に「これあげるよ」と言ってかごバッグをさし出しました。精一杯の意地と我慢で首を横にふる私に、
「時々貸してくれたらいいから持ってていいよ。ゆきちゃんのお気に入りの白いワンピースに似合うとおもうよ。このブローチもつけたらかわいいよ」
そう言って、お父さんの海外出張のお土産にお姉ちゃんがもらった、シャラシャラとゆれるビーズがきれいな、くじゃくのブローチもくれたのでした。そのブローチもとても憧れで、時々勝手に出してはながめていたし、そう、お気に入りの白いワンピースどっちもすごく合うだろうなって。私も思ったよ。お姉ちゃん...
そんなお姉ちゃんの優しさにいつも素直に甘える私ですが、さすがに申し訳ない気持ちで過ごした数日後、お母さんがひとまわり大きいサイズでおそろいかごバッグを買ってきてくれたのでした。
お姉ちゃんとおそろい!おそろいのバッグで一緒におでかけができる!
私は幸せいっぱいで、ずっと大切にしようと心にちかったのでした。
あれから数十年、そのかごバッグには、私の娘が産まれた時の思い出の品と一緒にお姉ちゃんとの思い出もつめ込んで今もここにあるのです。
お気に入りのもの、持っているだけで、身に付けているだけで、ながめているだけでも楽しくなれるものを見つけたら、こんなに幸せなことはないですね。
もしも、そんな宝物に出会えたら、大切に、大切に、でもたくさん使ってあげましょう。
使わない時があっても、時々ながめて、さわったり。長い付き合いになったな、と思ったなら、思い出がまたひとつ増えるのです。
フェアでは、天然素材で丁寧に作られた作品が並んでいます。じっくりと手にとって、あなたのお気に入りを見つけてください。
【フェアで取り扱い作家さん・店舗】
ninon
灯々舎
リアルな表情の半立体の動物の陶ブローチ、そしてリアルなものを作る反動で作られる
可愛い雰囲気の架空モチーフをブローチで表現される作家さん。
https://www.instagram.com/toutousya/?hl=ja
eMayu..
お砂糖のお菓子のような甘くて優しいイメージで溶けて無くなってしまうような作品を
陶器で表現される作家さん 。
https://www.instagram.com/__e.mayu/
sunawo na katachi
自然をモチーフに木を使ったものづくりをされる作家さん。
https://www.instagram.com/sunawo_na_katachi/
chico accessories
お花をモチーフに手刺繍とビーズでアクセサリーを作る作家さん
https://www.instagram.com/_____chico.o/
オズのかごバッグ
岩手県盛岡市のセレクトショップ。今回のフェアでは、岩手県の天然の国産胡桃の木の皮を使用したカゴを出品していただいています。
menui
東京吉祥寺にあるかごバッグ・雑貨のお店。天然素材のかご・バスケットを中心に
世界各国の雑貨や、日本の器アクセサリー、洋服まで取り揃えています。
あけび蔓
青森在住のあけびを使ったかごバッグ作りをされる作家さん。
Kargo
自然の紅籐を使用しカゴを編む作家さん。春夏秋冬の季節に合わせて、内袋もオリジナルで作っています。
https://www.instagram.com/kar_go_/
ヒトツトテ
広島で、オリジナル鞄・vintageアクセサリー・leatherアクセサリー制作をされる作家さん。
https://www.instagram.com/hitotsu_tote/
- 期間 5月10日(木) - 6月18日(月)
- 場所 1号館1F 広島 蔦屋書店