広島 蔦屋書店が選ぶ本 VOL.130

私も当然、超能力ブームに乗っかって必死でテレビを見ていたし、スプーンを曲げてみようと頑張る少年だった。

そのころ清田少年が監修したというファミコンソフトで「マインドシーカー」(*16)というのがあり、ファミコンを通じて超能力を開発する、というのを売りにしていた。

裏向きになったESPカード(*17)の柄を当てる「透視」というのはまだわからないでもないが、「念力」にいたっては、念じながらAボタンを押すと成功とか失敗とか出るという、なんだかよくわからないものだったが、結構真剣にやっていたような気がする。

 

漫画もそのころにはオカルトものが流行っていて、そういった怖い漫画などはたいてい、友達がお兄ちゃんの友達(*18)から借りたというものを学校に持ってきていて、それを読ませてもらっていた。

つのだじろう(*19)の『恐怖新聞』『メギドの火』『うしろの百太郎』(*20)などを読んでは震え上がっていたし、漫画に出てくる「コックリさん」(*21)なども学校で流行り、教師から「コックリさん禁止令」(*22)が発令されるほどだった。

また、ノストラダムス系で忘れてはいけない漫画といえば『MMR マガジンミステリー調査班』(*23)だ。MMRがなんの略か(*24)は知らなかったが夢中で読んでいた。

あの有名なセリフ「な、なんだってー!!!」(*25)に合わせて一緒に驚いていたあのころが懐かしい。

 

そんな楽しかった少年時代もいつの間にか過ぎ、オカルトや超能力ブームもだんだんと下火になり、気がつけばノストラダムスを怖がる気持ちも忘れてしまった。

 

 

 

 

(*15)興奮してアドレナリンが出ていたのか、柔らかいスプーンだったのか、力ずくで曲げて、これは自分の超能力で曲げたんだと言い張って学校に持ってくるやつもあらわれた。
 
(*16)「マッピー」や「ゼビウス」「パックマン」で有名なナムコ。当時はナムコのゲームは全部面白いと思っていたので、迷わず購入したが、面白くないものもあるのだなと気がついた。
 
(*17)△や☆や○や波などの模様が書いてあるカード。裏返しにして画像を当てることで透視能力の訓練になるといってブームになった。よく超能力が特集されたときの雑誌の付録でついていたような気がする。
 
(*18)この頃には、怖い話ブームというのもあって、さまざまな怪談話を学校で聞いていたが、そのほとんどが「お兄ちゃん(お姉ちゃん)の友達が実際に体験した話なんだけど、、、」という始まり方だった。
 
(*19)言わずとしれたオカルト漫画の大家。つのだじろうの漫画で知った知識がどれだけ多いことか。エクトプラズムが口と鼻から出ている絵は忘れられない。
 
(*20)それぞれ忘れられない漫画たち。恐怖新聞では新聞を読むたびに一日寿命が縮まっていくというタイムリミットサスペンス並の展開にハラハラする。読まなければいいのだが、どうしても読んでしまうその魅力に、怖いけど恐怖漫画を読んでしまう自分を重ね合わせていた。メギドの火ではスケールの大きな世界規模の謎に迫り、うしろの百太郎では、地縛霊などと戦うヒーローを描いていた。あの頃のつのだじろうは本当に神がかっていた。
 
(*21)紙にひらがなと鳥居などを書いて、その上に10円玉を置いてそこに皆で指をあて祈りを捧げると、こっくりさんが何でも質問に答えてくれるという占いみたいなもの。狐の霊でそれも低級霊がやってくるという話だったが、なぜ狐の低級霊が友達の好きな人の名前を知っているのか、という疑問はその頃には思いもつかなかった。
 
(*22)儀式をきちんと完遂しないと、霊が帰ってくれなくて取り憑かれてしまうという話もあり、集団ノイローゼのようになった子どもたちが失神してしまうという事件も起こり、学校では禁止された。その後「こっくりさん」よりは名前が優しい「エンジェルさん」も流行ったが、実はエンジェルさんのほうが怒らせると怖いというよくわからない設定もあった。
 
(*23)週刊少年マガジンで連載されていた石垣ゆうきの漫画。週刊少年マガジン編集部員で構成されたMMRメンバーがリーダーのキバヤシを中心に様々な超常現象の謎の解明に挑む。あらゆる謎が、最終的にはノストラダムスに結び付けられる強引さが面白かった。
 
(*24)おとなになってから知ったのだが、マガジン・ミステリー・ルポルタージュ(MAGAZINE MYSTERY REPORTAGE)の略
 
(*25)キバヤシが驚くべき結論を発表するときなどに、メンバーが全員で声を揃えて言うのがお約束だった。私が一番衝撃を受けたキバヤシの一言を例にあげると。
「ノストラダムスは人類が滅亡するとは言っていない!!!」
「な!な!なんだってー!!!」
 
 
次頁へつづく
 
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