【お菓子博 お菓子の物語】 BonoBake

 
_BonoBakeの物語_
 
私が子供の頃、家には父の仕事の関係で料理やお菓子の専門書がたくさんありました。それを絵本がわりに姉や弟とよくみていました。難しいことはわからないけど材料や調理工程の写真、完成の盛り付けの写真をみてはどんな味がするんだろうと想像していました。もちろん絵本もありました。でもお話よりも出てくるお菓子や料理を美味しそうだなあとみている、そんな食い意地のはった子でした。思い出のよく読んでいた本には緑色のパイが出てきました。お話はあまりよく覚えていないのですが、とにかく王様が出てきてそのパイが大好きで美味しいとあったと思います。絵のパイはとてもきれいな緑色でした。鮮やかな緑色のお菓子なんて何でできててどんな味がするのか、全く想像もつかない。もちろん絵本に具体的なレシピはなく、緑の理由も全然わからなかったのです。でもこんなに王様が好きなんだから、きっとすごく美味しいのだろうなと思いを巡らせるばかりでした。実は今でも私は緑色のお菓子や料理があるととても気になるのです。きっとこの絵本の緑のパイのせいだと思います。
おとなになり、ふとあの絵本のパイのことを思い出しました。手元にその本はなく、王様と緑のパイ以外のお話も記憶にないのですが、WEBで検索してみました。「絵本 王様 緑のパイ」すると「王さまの好きなピックル=パイ」と言う題名の絵本がヒットしました。表紙の絵に見覚えがありました。すぐ見つかってびっくりしました。それにしてもピックルパイとはなんだろうと今度はピックルパイを検索してびっくり…ピックルはピクルスの事…お菓子ではなさそうじゃないですか!この絵本はアメリカの本らしく原題は「Pickel−Chiffon Pie」(ピックルシフォンパイ)。レシピを検索して確信しました。パイはパイでもお肉とピクルスの入ったお食事パイ。今ではピックルもピクルスとわかるし、お菓子ではないパイもあるのもわかるけれど子供の頃はパイはお菓子だと思っていたのです。この事実を知ってしばらくひとりで笑ってしまいました。何十年もスイーツ好きの王様のお話と思っていたのに。かわいい勘違いにやっと気付いたのでした。ピックルパイもずっと想像したお菓子の緑のパイも作って食べてみなきゃなあと思います。
 
 

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